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19.少しは慣れてきました。


翌日。日曜日。疲れたよぅとか眠いよぅとか思いながら何とか起きた。冷静に考えたら向こう三年私に休日って訪れなくない?平日は学校だし土日はバイトだし。

もしかしてこれで衰弱死とか狙ってんだろうかあの魔王。そんで魂食ってやろうとか思ってたりするんだろうか。回りくどくて嫌だな……。

欠伸をしながら支度をする。ふと、昔買った十字架のペンダントが目に留まった。

(……これ、持ってったらサタン来なくなったり……)

安い、銀色の十字架。百均か、手芸専門店で2~300円くらいで買ったかのどちらかだったと思う。

多少は効果が出ないだろうか。それを首に掛けて、外から見えないように服の中に入れた。そして合わせ鏡を作る。

この手鏡自立してくれたらいいのに。スマホスタンドとか用意しようか、と思いながら姿見に手を差し込んだ。


◆◆◆


「おはようございます」

「おはようございます……」

サタンはいつものようににこにこしていた。その隣には知らないメイドさんと、マリーさんが立っている。朝だけど元気だよな。つーか魔王って朝から活動してんの?今更だけど。

「眠そうですね」

「眠いです……」

「それでもちゃんと来ましたから、偉いですね」

来て当然とか、そういうことを言われるかと思っていたのにそうではなかった。予想外に労うようなことを言われて、ちょっと嬉しい。魔王なのに、悪魔なのに優しいんだよな。

「どうかしましたか?」

「優しいんだなーって思ってました」

「早々に死なれても嫌なので」

「そういう」

「早死にしたいんですか?」

「嫌です。……そういえば何で魔王なのに敬語なんですか?」

「いきなりですね。……今度、時間があれば話してあげてもいいですよ。そろそろ行きなさい」

「はーい」

「行きましょ、サクちゃん」

「はい!」

頭を下げてマリーさんと部屋を出る。敬語云々は聞いてはいけないことだったのだろうか。

ていうか、そろそろ行けとか言う割にどうせまた来るんでしょう知ってる。

今日もまたマリーさんのお部屋で着替えさせてもらって、客間の掃除だ。それにしても客間多くない?毎回別の部屋だよな。……お城だもんなぁ。人を呼んだりすることもあるのだろう。見たことないけど。

「今日は分担してやってみましょうか」

「分担ですか……?」

「ええ。今まで教えたこと覚えてるかしら、っていうチェックも兼ねて、ね」

「……はい」

どうしよう。出来るかな。不安に思っているとマリーさんが笑う。

「別に出来てなくても怒らないわよ。まだ」

「まだ」

「ええ。一ヶ月くらいは入ったばかりですもの。仕方ないわ。特にサクちゃんは週に二日ですもの。余計怒れないわよ」

「はい……」

「だからまだ当分はそんなに不安がらなくていいわ」

マリーさんの言葉に安心する。つくづく優しい。もっと厳しいかと思っていたけどそんなことはなかった。人間界の方がブラック企業とかバイトとかあるからあっちの方がやばいんじゃないか?悪魔の方が優しいって、一体……。

「というわけでやってみましょう」

「はい。どう分担するんですか?」

「そうね、この控えと寝室、どっちがいいかしら?」

「えっと……」

広さはそんなに違わない気がする。どっちでもいいけど……うーん、と悩んでいると「そんなに悩む事なの?」と笑われてしまった。

「す、すみません……、じゃあ寝室で……」

「わかったわ。それじゃあお願いするわね」

「はい!」


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