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13.引き続き掃除をすることになりました。



さっきの部屋に戻って再び掃除である。壁や棚の上は済んだのでベッドメイキングを教わった。修学旅行とかでホテル泊まるけど、あんな風にぴしっとさせるのはとても難しいと知った。

何度もやり直してコツを教わって、合間に休憩を挟んで練習して、何とか出来るようになった。と言ってもマリーさんの指示に従わないと手順はこんがらがってしまうし時間もかかるけど。

「それじゃあ次は床ね。でももうすぐ時間だから……今度にしましょうか」

マリーさんがポケットから懐中時計を出した。かっこいいー。

「もうそんな時間ですか?」と聞きつつ一応自分の持参した腕時計(濡れるとあれなのでポケットに入れている)を見れば四時五十六分。確かにそんな時間だった。

「ちゃんと仕事しましたか?」

「うわ!?」

「サタン様。……どうかされましたか?」

あまりに突然出てくるのでマリーさんが慣れた。普通に一礼してた。私はといえば背後に急に出て来られるのでなかなか反応が出来ない。慌てて頭を下げる程度だ。

「そろそろ時間ですよ」

「ええ。ですので今日はもうお仕舞いにしようとしていたところでした」

「そうですか」

「ちゃんと、時計も見てますからわざわざ教えにいらっしゃらなくても大丈夫ですよ」

「…………」

マリーさんの言葉にサタンが何だか寂しそうな顔をする。しょんぼりしているような。

「……ですが、サク一人になっていたら時間はわからないでしょう?」

「私も時計持って来てるんで大丈夫です」

「それに私も当分は付きっきりでいますよ」

「………………」

サタンのしょんぼり加減が増した気がする。これは何だ。どうしたらいいんだ。

マリーさんの方を見ればマリーさんも困ったような顔をしていた。視線だけでこれどうしますどうしましょうみたいな会話が成り立った気がする。

沈黙が重い。どうしようと思っているとマリーさ

んが言った。

「……でも、そうですね。サタン様が教えてくださるなら確実ですね」

ぱち、とマリーさんがウィンクした。成程、と察して「そうですねー安心ですねー」と雑に頷く。

二人とも棒読み気味だったけどサタン的には嬉しかったらしい。さっきまでのしょんぼりが消えて嬉しそうに笑っている。子供か。

「では今後もちゃんと教えに来ますからね」

「……あらーよかったわねーサクちゃん」

「……わーありがとうございますー」

何なんですか、これ、と思いながらもそんなことは言えなかった。



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