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11.サタンがよく現れるようになりました。


マリーさんに掃除の仕方を習う。といっても知ってる掃除の手順とそんなに変わりはない。

上から下へ向けて、掃除していく。床は掃き掃除をしてから拭き掃除。モップを使えるので嬉しい。学校だとモップが人数分無いのザラだから……。

それから家具も同じようにはたきや小さなブラシで埃を落としてから磨いていく。金属や木、石など素材で使う布は変えてねと言われた。一緒くたに拭いてはいけないらしい。ちょっと面倒いけどそれもそうか。

それから客間ということで当然ベッドやバスルームもある。ベッドメイキングや水回りの掃除も教わった。覚えることが多い。

と、一旦全体的な流れを教わって、今度は実際にやる流れである。教わった通りに、マリーさんと一緒に手を動かす。上からということではたきで埃を落としていると声を掛けられた。

「仕事は捗っていますか?」

「うわ!?え、は、はい」

「そうですか」

当然、といっていいのか現れたのはサタンだった。何しに来たん。三十分くらい前にも来たでしょ。

「サタン様!?……何かご用ですか?」

「様子を見に」

「先程来られたばかりですよね?」

マリーさんの視線にもサタンはどこ吹く風でにこにことしている。

「ちょっと見に来ただけですよ。それでは」

そう返すとサタンは姿を消してしまった。何だその瞬間移動。さっき普通に帰ったよねあれ?

「……続きしましょうか」

「はい……」


◆◆◆


黙々と、と言いたいけどちょいちょいサタンが現れる。おかげで今一つ集中が続かない。

そんなに私信用されてないんかな。サボってるとか思われてんのかな。でもマリーさんいるからそれはないって思ってもらえそうなものなのになぁ。

「進んでますか?」

「!!」

「サタン様!?またいらしたんですか!」

少し怒った様子でマリーさんが言った。流石のマリーさんも何度もサタンが来るから呆れたらしい。まぁ今怒ってるしな。

「様子見です」

「一体何度目ですか……」

「さて。数えていませんので」

若干苛ついてるようなマリーさんの言葉に、サタンは全く気にする様子もなくにこにこ答える。

そういえばマリーさん魔王相手に結構普通に話してるよな。付き合い長いのかな。はっ、もしやそういう関係だったりするんだろうか。

よくあるよね王族と使用人の身分差恋愛。とても好きです。憧れます。駆け落ちもいいし頑張って周囲を説き伏せて結婚するのもいい。勿論病んだ王族に閉じ込められる的なヤンデレも好きです。萌える。

「……サク?」

「はい?」

「何か妙な事を考えていませんか?」

「何がですか?」

一瞬意識が別の世界に行きそうになっていたのを引き戻す。危ない危ない。

「……まぁいいです。ちゃんとやるんですよ」

そう言い残してサタンはいなくなる。マリーさんがはぁ、と溜息を吐いた。

「リュカが怒るわ……」

「何でですか?」

「……魔王様にもお仕事はあるの。リュカがそれを取りまとめるんだけど……サタン様がこんなに出歩いていたらきっと仕事は進んでないわ」

「あの人がちゃんとやれって話ですね」

「ふふっ、そうね。その通り。……本当、その通り」

一瞬笑ってくれたけどすぐに真顔になった。マリーさんも大変そうである。

「……ちょっと早いけど、お昼食べに行きましょうか」

「はい」


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