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第2話「仲間を追放した騎士」

 コンコン。ガチャ。ギィィ。カランコローン。


「ソーダさん。ご相談があるのですが」

「こんにちは。今日はどうなされました?」


「実は……パーティの仲間を追放してしまったんです」


(むぅ?)


「みんな気が張っていて、下級の回復魔法しか使えないからとその場で」


(むむむ?)


「彼に悪いことをしたと謝りたいのですが、それからというもの消息がつかめず」



(ははーん。“あのパターン”ねっ!)



「騎士さま、ご安心ください。その人はあなたの決断に悲しみこそあれど、憎しみはもっていないはずです。ですから、まずは自分たちの行いをかえりみましょう」


 その人きっと、チート的な応用法をみつけて復讐にくる追放者さんだわ!

 悲しみの連鎖を引き起こさないためにも、穏やかなルートを模索するべきね!

 たぶん追放者さんだって改心した仲間の姿を見たら、溜飲も下がるはずだもの!

 才色兼備のソーダさんらしく、今日もバシッとサポートしてあげなくちゃ!


「自分たちを、かえりみる。それがただしい道であると?」

「はい。その人はきっと、今をがむしゃらに生きているものかと思います」

「そうですね、親友のあいつはいつもそう……くそっ、俺はなんてことを!」


「悔いても彼には届きませんよ。再会する日のため、背筋をただしてください」

「背筋を、ただす」

「ええ。そのときがくるまで、自分の行いに向き合い、真摯に謝罪できるように」


「……そうですね。そうすべきだ。いつか彼に謝るため。ありがとうソーダさん」

「いえ、お仕事ですから。今日も健やかな一日を」



~~~後日~~~



 ドドドド! ガチャ! バタン! カランコローン。


「いますね! ソーダさん!」

「ひぃっ! 自治課の輝希さん!」

「ライトレアです。あなたは一体なにを相談されたんですか!」

「……私ぃ、またなにかやっちゃいました?」


「例の騎士ですが、帰ってきた追放者に無抵抗のままボコボコにされましたよ!」

「ええー……」


 自治課の輝希さんによると、例の騎士さんたちはあれから改心し、自らを律して奉仕の心を養ったところ、その世界でも有数の聖騎士パーティになったらしい。

 しかし、件の追放者さんは世界の一大決戦の最中にも関わらず、謝罪の意を示した騎士さんたちを一方的にボコボコにしてしまい、評判が地に落ちたとか。


「追放者にガス抜きは不可欠です。それを捻じ曲げてしまうとは愚かなことを」

「はい……」


「今では追放者は完全に悪者扱いです。これでは魔王になる危険すらあります」

「はい……」


「秩序の在り方は世界で違えど、個人の復讐には相応の正当性もあるものです」

「はい……」


「あなたの行いは間違いではありません。ですが、相談課としては過ちです」

「しゅびばしぇん……」


 結局、自治課主導による「追放パーティのマイナスな過去を掘り起こして、世論をギリギリ納得させられる状況を作り、追放者の立場をイーブンまで引き上げる」ことで、双方の名誉にはならなかったが、追放者さんの汚名は払拭できた――。


――――――――――――――――――――――――――――――


 ここは皆さまに親身に寄りそう「ソーダさんの生活相談所」。

 隠している本当の名は、「日本異世界転生者管理局相談課」。


 日本発の異世界転生者に快適な人生を送ってもらうべく、

 現地の方々にも無用な混乱を与えないよう調整するべく、

 空間や時間などといった細かいことはぜーんぶすっ飛ばして

 超未来の日本の超技術で、異世界を日夜サポートしております。


 未来の日本でも「相談課のソーダさんは優しすぎる」と評判です。

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