神に見放された男
序章
火に油と薪を注ぎ、そこにふたをしようとして石炭を積み上げたかの如く燃え盛る戦場。
最前線の最も安全なところですらも、鉄臭い血の匂いと死肉の腐った腐敗臭が漂う。
前線の生き残りは大抵同じ心持ちで、そもそも安全圏などどこにもないのだと心の中であきらめを覚える。
そんな殺伐とした最前線の一角が、今まさに悲鳴を上げて崩壊する。
敵の猛攻に耐え切れずに逃げ出す兵士の悲鳴が響き、あちらこちらで砲台が爆発音を奏で、
敵の銃砲撃音と勝鬨の狂声が重なって美しいオーケストラが鳴り響く。
熱で歪んだ銃身の固定機銃はまだ熱をのこしているが、残されている歩兵の亡骸はすでに冷たくなっている。
しかしこの戦域が崩壊した知らせを受けても、最高指揮官は問題視をしていない。
その戦域には誰よりも強く、神にすら見放されるほどの不運な男がいることを、
死神と揶揄され、煙たがられ、嫌悪されてきた男がいることを、彼は知っているからだ。
そして期待されていることに当人が気づくこともなく、指揮官の思惑通りに事が進むことになる。
死ぬことを許されない不運な男が、崩壊した前線のなか目を覚ます。
爆発するかもしれないオルゴールです。初投稿作品ですので、イメージとかあまり固まってないうえに、
執筆経験がないので文体もがたがたかもしれない(そうなのかどうかすらわからない)完全な初心者です。
訂正箇所などありましたらばんばん書き込んでいただけると嬉しいです。