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砂島1

「砂ですね」


私は眉の上の汗をぬぐいながら、そうつぶやきました。


ここは「砂島」。


文字通り辺り一面に砂がひしめき合う灼熱の大地です。


いわば超砂漠ってやつですね。


……何が超ですか。


自身の語彙のなさを自覚させられますね。


だって仕方ないでしょうよ。


こんな上も下も灼熱のサンドイッチ状態じゃ、頭のひとつも回らなくなりますよ。


一言一句が神ワードで構成されている私の発言も、陳腐なものになりさがりますよ。


え?


一言一句が陳腐だって?


……今の言葉は聞かなかったことにしましょうか。


命拾いをしましたね、フフフ。


……と、そんな一幕もはさみつつ、これから私が向かわなくてはならぬ地、それは!


ゴクリ……。


いや、ゴクリは口で言うものではありませんでしたね。


失敬失敬。


気を取り直して……向かわなくてはならぬ地、それは!


ゴクリ……。


ずばり!


オアシスです!


いいですか水がなくては口が乾く、口が乾けば舌が回らなくなる。


イカしたトーク力も空の彼方へ!


私の口からは支離滅裂な単語の雨あられが繰り出されることでありましょう!


……ん?


いつも舌が回っていないだろ、ですって?


……今の言葉は聞かなかったことにしましょうか。


再び、命拾いをしましたね、フフフ。


さて、命を拾ってばかりだと、カゴが拾った命の重さで満たされ、このままでは後方に倒れてしまいます。


頭を打つかもしれません。


これ以上、頭の回転に支障をきたすのは望ましくありませんね。


では、どうするか?


……無駄口を叩かず進むしかありませんね、オアシスに向かって。


さあ、行きましょうか!


……で、オアシスってどっちでしょうか?


ん?


知らねーよそんなもん、ですって?


……まったくです。


そんぐらい調べてから来いってものです。


どうすんですか、このままじゃ行き倒れですよ。


困りましたねー。


……まあ、誰かに聞けばいいですかね。


他力本願〜他力本願〜♪


あ、歌ってる場合じゃなかった。


さっさと進みましょう。



あっ、奇跡!


これぞ奇跡ですね、人がいましたよ!


……こんなへんぴな場所で何してるんでしょうね。


頭おかしいんじゃないですかね?


まあ、私が言えたことじゃないですけど。


とはいえ、類は友を呼ぶ。


頭おかしいもの同士、気が合うかもしれまん。


オアシスの場所も知りたいし、話しかけてみますかね。


「あっ、こんにちわ」


軽い会釈と共に私は目の前の女性に挨拶しました。


……「あっ」って言っちゃいましたね。


引っ込み思案特有の開口一番の「あっ」ってやつ。


……何なんですかねこの「あっ」は、勢い的なあれなんですかね。


まあ、発声の助走みたいなもんだと思って、多めに見てください。

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