92.
キャスコと朝の掃除をし終わったあと……。
家に帰るなり、金髪の幼女がぼふっと抱きついてきた。
「パパ!」
「おー、タイガ、おはよ~」
「はよー!」
この子はタイガ。
雷獣というモンスターの子供だ。
上級モンスターは人間の姿になる、人化と呼ばれるスキルを覚えている。
タイガは今、長い金髪に猫耳をした、獣人っぽい見た目をしている。
「パパ! キャスちゃん、はよー!」
「……はい♡ おはようございます」
タイガはキャスコの胸の中に飛び込む。
よしよし、と頭をなでてもらってご満悦の表情だ。
「ぱぱ、あたち、はらへったー!」
「おー、そうかそうか。じゃ、朝ご飯つくるから、キャスコとおとなしく待っててくれるかな?」
「いいともー!」
俺はキャスコにあとのことを任せて、喫茶店のカウンターへと向かう。
キャスコたちは窓際の席に座っていた。
「あのねーキャスちゃん、最近あたち、ひとりで寝れるんです! すごくなーい?」
「……ええ、すごい♡ 大人ですね」
「でっしょー! あたちもうおとななので!」
タイガは結構ませてる。
ちょっと前は一緒に寝ないといけなかったのだが。
子供の成長は早いもんだなぁ~……
とか思いながらご飯完成。
「タイガ~。ハルちゃん起こしてきて」
「りょーかいっ!」
ずびし! と敬礼すると、タイガは空を飛んで2階へと向かう。
雷獣の力で彼女は空も飛べるのだ。
「はーるちゃーーーーん! あさーーーーーー!」
タイガの元気な声が1階まで聞こえてくる。
キャスコも俺も苦笑していた。元気だなぁ。
やがてタイガを抱っこした、寝ぼけ眼なハルコが1階へとやってきた。
「おふぁー……よー……ございますぅ~……」
「うん、おはよ」
今朝あいさつしたはずだったんだが、どうやらまだ寝ぼけるらしいな。
キャスコはコーヒーを人数分いれておいてくれた。万事手回しのいいやつなのである。
俺、ハルコ、キャスコ、タイガ。
この四人が、今の俺の新しい日常を彩っている。
「んじゃ、いただきまーす」
「「「いただきまーす!」」」
あー、平和ですなぁ。




