表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
152/154

148.



 後日、俺は王城に来ていた。

 現在、政治を仕切ってる王子(次期国王)キールの執務室にいる。


 部屋には俺とキールだけだ。


「ジュードさん。今回は本当にありがとうございました!!!!!!」


 キールが何度も頭を下げてくる。

 国内にできた巨大ダンジョン。


 ほっとけば国規模で災害が起きていたことだろう。

 それを未然に防いだから、俺に感謝してるってわけだ。


「ジュードさんには感謝してもしきれません……なんとお礼を言って良いものやら」


 俺は、一つの考えを持ってここに来ていた。

 そして、俺は彼に言う。


「礼はいい。俺のお願いを一つ聞いて欲しいんだ」

「お願い? なんでしょう!!!!!」


 待ってましたとばかりに、キールが身を乗り出してくる。

 元気になったなぁ、昔は病弱だったのにな。成長にちょっとじーんときてしまう。やーね、俺ってばもうおっさんになったもんだ。


 まあそれはさておき。


「グスカスをさ、許してやって欲しいんだよ」

「!」


 グスカスの顛末を、俺は全て聞いた。

 色々やらかして、水オチして、奴隷落ちまでしたってさ。


「キール、おまえが色々やったんだろ? 部下を使って」

「あ、いや……それは……」


 なんでそんな、グスカスを追い詰めるようなことをしたのか、俺にはわからない。

 多分兄弟でしか、理解できないことなのだろう。


 教え子にたいして、結構酷いことをしていたことは、許せない……が。

 グスカスに非がなかったわけじゃあない。


 グスカスは酷いことをした。

 罰を受けるべきなのはその通りだ。


 キールはやり過ぎて他が、まあその罪への罰と捉えれば……まあ、多少溜飲は下がる。


「……すみません」

「いや、いい。昔のことはもういいさ。それより今は次の話だ。グスカスはどうなる?」


 今、グスカスは城にて軟禁状態になっている。

 人を殺して、その罪で。


「殺人罪は立派な犯罪です。もう一度鉱山送りで、一生働かされるか、死罪」

「どうにかならんか?」

「どうにもなりません。これは、法で定めたことですから」


 まあ、そうだよな。

 グスカスも、それを受け入れてる感じがあった。


 ここへ来たとき、諦めた顔をしていた。

「…………」


 人を殺したことは、確かに悪い。 

 それはもう、変えられない過去だから。

「そっか……じゃあ、こういうのはどうだ?」


 俺はキールに提案する。

 彼は渋い顔をしたあと……。ちいさくため息をついた。


「わかりました。二度も世界を救った英雄の、頼みなら。承りましょう」


 本当に嫌そうにしてるキール。

 それでも、許してくれたのは、俺の功績と……。


 そして、多分だけど、やっぱり、家族を殺すことに、ためらいを覚えていたのだろう。


「ありがとな、キール」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 善人よりも自分たちも含めた悪人にこそ救いの機会があるというけど、素朴な正義感からは納得しにくいところもありますよね。 もっとも、グスカスちょっと可哀想だったので、これはこれでありだと思いま…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ