表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
147/154

143.勇者グスカス



《グスカスSide》


 グスカスは仲間とともに、ダンジョンボスに挑んでいた。

 ジューダスの指示を聞き、その通りに動く。


 だがそれだけに終始しない。

 自分の判断でこうするべきだと思ったら、その通り行動した。


 ズバンッ……! 

 グスカスの手には、今黄金の剣が握られている。


 聖なる剣。

 女神に選ばれた、勇者の証。


 ……だが、グスカスはどうして自分にこの剣が戻ってきたのか理解できていなかった。


 自分の罪は決して軽くなく、自分の過去は消えない。

 人を殺した事実は、変わらない。消せない。


 だが、それでも。いや、だからこそ。

 前に進まないといけないのだ。


「ぜやぁああああああああああ!」


 神秘光結界ミスティック・ケージによって逃げられなくなった、ボス。

 グスカスの剣がボスの体を浄化していく。


 ボスの体が徐々に消えていく。

 敵がグスカスを集中して殺そうとしてくるのだが……。


 がきぃいん!


「守りは任せるっす!」

「グスカス! おまえは自分の仕事をするんだ!」


 仲間たちが、支えてくれた。

 でも彼女たちはグスカスを許したわけでは、決してないことを理解している。


「ありがとう!」


 それでもグスカスはお礼を言った。

 彼女たちに迷惑をかけたのに、それでも、一緒に戦ってくれることに対する感謝だ。


 ボスが、自分の体をガスにして、グスカスに精神攻撃を仕掛けてきた。


『人殺し!』『臆病者!』『恥を知れ……!』


 夢の中で、仲間たちが自分をののしってくる。

 だがグスカスは気合いでその悪夢を振り払い、剣を振る。


「ああ、そうさ。おれは人殺しで臆病者で、恥知らずの最低の男だ……!」


 グスカスは剣を振り続けた。

 自分の罪、弱さ、全て受け入れて……。

 それでも、戦っている。

 今ここで戦わないと、いけないからだ。

 仲間たちの攻撃はボスにはきかない。

 自分のもつ聖剣だけが、敵に有効打を与えられる。


 ジューダス含め、みんなそれぞれの、幸せな場所がある。

 グスカスは、彼らを、そこへ帰してやりたい。


 その一心で戦っていた。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ