140.
《キャスコSide》
「キャス姐さん! ジュードさんまだっすかね!?」
キャスコ、そしてオキシーの二人はボス部屋でボスと相対してる。
キャリバーは倒れ、そしてジュードも眠っていた。
しかしジュードは別に、ボスの攻撃を受けて眠ったのではない。
「……もうすぐ戻ってきます、きっと」
「きっとって……くっ!」
ボスはガスを固め攻撃してくる。
オキシーは防御に徹し、それらを裁いている。
だが、敵を倒さないといずれ消耗し、やられてしまうだろうことは明白だ。
「ジュードさん……」
戦闘の途中、彼は言ったのだ。
グスカスの力を借りたいと。
キャスコは頼まれてグスカスの中に、ジュードの精神を送り込んだのだ。
かなり難しかったが、ボスの精神攻撃を分析し、それを使えるようにしたのである。そこはさすが天才魔法使いの面目躍如といったところ。
ジュードはグスカスを迎えに行ってる。
だが正直、キャスコは……オキシーも、グスカスが必要とはどうしても思えなかった。
あの臆病で、卑怯なグスカス一人きたところで、状況が好転するはずがない……。
「姐さん! あぶねーっす!」
「!?」
ボスがキャスコを狙って、攻撃を仕掛けてきた。
ぼうっとしていたので対応が遅れてしまった。
いけない……ここで自分が倒れたら、戦線が崩壊する!
キャスコは魔法障壁を展開しようとしたが、もう遅い。
ガスの腕が無数に押し寄せてくる。
もうだめだ……そう思ったそのときだ。
ざんっ……!
「! ジュードさん!」
ジュードが、ちょうど戻ってきたのである。
そしてその隣には……。
「……グスカス」
ジュードとグスカス、二人が精神世界から戻ってきたのだ。
ジュードは剣を持ち、そして……。
グスカスの手には、黄金に輝く宝剣が握られていた。
「それは……勇者の聖剣!」
そう、勇者グスカスは戻ってきたのだ。
現実の世界に、聖なる剣を携えて。
「いくぞグスカス」
「ああ、ジューダス」
二人が剣を構える。
その姿は……まさに、勇者だった。




