126.勇者グスカス
【☆★おしらせ★☆】
あとがきに、
とても大切なお知らせが書いてあります。
最後まで読んでくださると嬉しいです。
グスカスは、今自分がどこにいるのかわからなかった。
奴隷に墜ちて、ダンジョンのなかにいはずだった。
でも今は、魔王戦まで時間が遡っている。
そこでグスカスは、仲間たちと上手くやっていた。
一度目の、手ひどい失敗。
それがあるからこそ、グスカスは買われた【はずだった】。
一度目のように、横柄な態度を取らなければ、ジューダスのことをよく聞いて、彼に逆らわなければ……。
今度こそ、成功する。
そう……思っていた。だがそれが、間違えだった。
……彼はすっかり忘れていた。
大前提を。
★
グスカスたち勇者パーティは、魔王城の最奥、魔王の間の前までやってきていた。
回復も済ませて、準備完了。
グスカスも戦う覚悟を決めていた。
もう前回のような無様は、決してサラしてなる物か……。
「いくぜ」
ジューダスがそういうと、魔王の間の扉を開く。
豪奢な部屋の奥には、ひとりの、フードを被った男が玉座に座っていた。
魔王が勇者達をゆっくりと見渡してから、ゆっくりとよく通る声で話しかけてきた。
『よく来たな、勇者とその仲間たちよ』
穏やかな口調に反して、その声には魔力がこもっていた。
聞いてるものを恐怖させる、そんな声。
ジューダスは臆することなく、魔王と会話する。
記憶の中にあるとおりだ。
『悪いな、今日であんたを倒させてもらうぜ』
『ほう……貴様が勇者なのか?』
『いんや……俺は単なるこの子たちの、引率さ。倒すのは彼らだよ』
ジューダスが信頼のまなざしを向けてくる。
キャスコほか、その目に答えるように、しっかりと目を見てうなずいた。
……ただ、ひとり。
グスカスだけがうつむいていた。
『グスカス?』
『あ、え……?』
『どうした、震えてるぞ?』
『え……?』
……グスカスは自分の体が震えていることに、はじめて気づいた。
『え? え……な、なんで……』
グスカスは困惑していた。
戦う覚悟は決めたはずだ。自分は改心したはずだ。
だから、同じ失敗を繰り返さないはずだ。
その、はずだったのに……。
気づけば、グスカスは魔王を前に怯えていた。
それはまるで、1度目の人生と、まったく同じ。
『ははは! 勇者のやつ震えてるぞ、引率係よ。なんともかわいらしいじゃあないか』
邪悪なるオーラに圧倒され、グスカスは……。
『あ、あああ』
おめおめと、きびすを返して……。
『うわあああああああああああああああああああああ!』
『グスカス……!!!!!!』
……あろうことか、グスカスは尻尾を巻いて、その場から走って逃げてしまったのだ。
それは、一度目とまったく同じ結末だった。
グスカスは勘違いしていた。
時間がループしようと、いくら自分が変わったと思い込んだとしても……。
所詮、人間の性根は、そうそう、簡単に変わる物ではないのである。
彼が、臆病者であることは……たとえ人生を繰り返したところで、変わらないのだった……。
『はっはっは! 勇者が無様に逃げていくぞぉ! はーっはっはっはっは!』
【★☆★読者の皆様へ 大切なお知らせです★☆★】
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タイトルは、
『【連載版】俺だけステータスオープンできる件~はずれスキル【開】のせいで実家を追放されたが、ステータス確認できる俺はチートスキルもS級アイテムも選び放題で気づけば世界最強。俺を虐げた皆ねえ今どんな気分?』
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