122.勇者グスカス
『グスカス? おい、グスカス!』
誰かが自分を揺すり起こしてる。
誰だろうと目を覚ますと……。
『!? じゅ、ジューダス!?』
自分の師、指導者のジューダスがそこにいた。
『なんで……? おれはダンジョンの中にいたんじゃあなかったのか……?』
『ダンジョン……? おまえ何言ってるんだ?』
『え……?』
グスカスは気づく。
そこは……ダンジョンの中なんかでは、無かった。
周りを見渡すと、夜の荒野が広がっていた。
満天の星空に、果ての無い荒野。
……どうなってる?
なぜこんな場所に? なぜジューダスがここに居る? ボスは?
頭のなかに、無数の?マークが浮かんでいると……。
『……ジューダスさん』
『おお、キャスコ。見張りありがとなー』
グスカスは、再度目を剥く。
そこには、勇者パーティの賢者にして、自分の思い人……キャスコがいたからだ。
ジューダスがいる時点でおかしいのに、キャスコまでいる。
ここはどこで、一体何がおきてるのか……?
『……明日の魔王戦、がんばりましょうね』
……。
………………。
…………………………は?
『ま、魔王……戦? 何言ってんだキャスコてめえ……』
グスカスは思わずキャスコに食って化かかる。
『魔王は死んだだろ? そこのジューダスが倒してよぉ!』
『……? 何を言ってるのですか?』
キャスコは、戸惑っていた。
まるでグスカスが、オカシナことを言ってるみたいだ。
だがオカシイのはキャスコのほうだ。
だって魔王はとっくにジューダスが倒して……。
『……魔王とは、これから戦うのではないですか?』




