121.勇者グスカス
グスカスは【それ】を視認できなかった。
だが、確実にいることだけがわかった。
「う……うぐ……な、んだこれ……」
グスカスの呼吸が荒くなる。
恐怖から来るものだということだけはわかる。だが、それ以外の何もわからない。
「はあ……はあ……はあ……はあ……!」
そこに居るはずの敵を見ることができない。
でも、おぞましい何かがいることだけはわかる。奇妙な感覚だ。
生存本能が、逃げることを強く進めている。
だが逃げようにも足が震えて逃げられないのだ。
(にげろ……にげろにげろにげろにげろ……!!!!!)
『艮《GON》』
と、どこからか声が聞こえた。
その声を聞いた瞬間……。
どば……と目から血が噴き出した。
「ガハッ……!!!!!!」
グスカスの全身に激しい痛みが走る。
「いてえ……いってえよおぉお……」
訳がわからない。
目から血が垂れている。さらに、体中に痛みを感じてる。
全身の毛穴に針を無理矢理ぶち込まれてるような痛みだ。
さらに止めどなく血があふれ出ていく。
「ぐ……そ……なんなんだよぉおお……」
子鬼王よりよっぽど、恐かった。
誰がそこに居て、何をされたのかまったくわからない。
未知の恐怖が襲ってくる。
立ち向かうことも逃げることもできない。
ましてや、増援が来る気配がない。
自分ひとりだけ、孤独。
化け物とただひとり相対する、しかも職業による補正がない。
そんな最悪の状況下にグスカスは置かれていた。
【★お知らせ!★】
新作の短編です!
タイトルは――
『追放教会の神父が実は最強魔王だった~無実の罪で断罪・追放された悪役令嬢たちの悩み相談所として有名な辺境の教会では、元魔王の俺が神に代わって復讐&ざまぁしてる~』
ページ下部↓にもリンクを用意してありますので、ぜひぜひ読んでみてください!
リンクから飛べない場合は、以下のアドレスをコピーしてください。
https://ncode.syosetu.com/n7216ii/




