1話 ~ここは…… 俺は一体……~
目が覚めると、そこには見慣れない景色が広がっていた。
「ここは……」
ゆっくりと体を起こす。
「おぉ、気が付いたか。」
「あんた誰だ…?」
厳格な顔をしたじいさんが水を持ってきてくれていた。
「恩人になんて口の利き方だ。 まぁ無理もないか、森の中で倒れていたんだからな。」
「倒れていた… なぜ…?」
思い出そうとすると、頭に衝撃が走った。
そうだ、俺はさっきまで自室でゲームをしていたのだ。
よくあるRPGで黙々とレベルを上げていた。
ひたすら魚のモンスターを倒していると目の前が真っ白になった。
真っ白の世界で聞き覚えのない声がした。
「青年よ… おぬしの名は何という…」
俺は、今にも消えそうな意識の中答える。
「俺は… 雨夜… 光…」
「では光よ問おう… 汝の夢はなんじゃ…」
間髪入れずに聞いてくる声。
「夢!? なぜそんなことを…」
「汝の夢はなんじゃ…!」
口調が強くなる。
「俺の夢… それは…」
「さぁ… 答えるのじゃ…!」
「主人公に… なりたいっ!!!」
―― フワ~~~ ――
そう答えた瞬間に意識がふっとんだ。
考えているとじいさんが聞いてきた。
「おぬし。 名は何という。」
「俺は雨夜 光。 そっちは。」
「最果ての村、村長のレイガンだ。」
お互い自己紹介が済んだところで、入り口の扉が勢いよく開く。
「おい村長! 村の入り口に王都の兵士たちが大勢押し寄せてきたぞ!」
「兵士たちが…? 一体何事だ…」
そう言って、村長は兵士たちのもとへ歩いて行った…
閲覧ありがとうございます。
次回は場面が変わって王都編です。
焦りすぎな王様が大暴走します。