~はじまりはいつも雨~
ここはセニンランド歴256年。最果ての村。
人々は農業を営み自給自足の生活を行っていた。
村は今、豊作を迎えた作物の収穫の真っ最中だった。
「やぁ村長、調子はどうだい。」
「ぼちぼちだよ。 そっちは?」
「順調だよ。 今年はよく育ったねぇ……」
「あぁ、怖いくらいにな。」
村は活気にあふれていた。
そんなある日の午後、村長は空を見上げ叫んだ。
「なんだあれは!!」
突如空を覆った黒い雲の隙間からどす黒い城が姿を現した。
と同時に、真っ黒の雨が降りはじめた。
村がざわめき始める。
「村長! どうなっているんだ!」
「わしにもわからん! とりあえず全員避難するんだ!」
村人たちがざわめくのを止めるように、城の反対側で大きな雷鳴とともに雷が落ちた。
「いったい何が起きているんだ……」
村長は村の者数名を連れて落雷のあった場所へ出かけた。
するとそこには一人の青年が倒れていた。
「おい青年! しっかりしろ! 大丈夫か!」
声をかけても起きる気配がない。
村長たちは一度村へ連れ帰ることにした。
ここはセニンランド歴256年。最果ての村。
人々はまだ、この世界に大きな災いが訪れることなど
知る由もなかった。
閲覧ありがとうございます。