生きる力を試す実験
「こんなもんでいいかなー」
ワープロから指を離し、いつものようにタバコに火を点けた。
私の名前は、望月スマイル。
もちろんペンネームだ。
24才だけど、定職に就くことなくブラブラしている。
生まれつき、妄想や空想をすることが大好きで、思い付いたら、すぐこのワープロに書き留め、出版会社へ応募する。
ジャンルは不問だし、枚数だって自由。
年齢や職業、容姿だって問わないし、思い付けば、誰だって応募できる。紙とペンさえあれば、無制限の世界がそこで描けるんだ。時間だって無制限だし、資本金のいらない、当たれば儲かるギャンブル性の高い職業、といったところだろうか? …3日前、バイトはクビになるし、何をやってもダメ。でも、小説なら毎日続けられる気がする。
2本目のタバコに火を点けた時、携帯が鳴った。
「はい」
「望月スマイルさんの携帯でしょうか?」
「はい」
男性の声だった。
「〇〇映画制作会社です」
「映画制作会社?」
「ハイ。
以前、ご応募いただいておりました、プロフィールの審査が終わりましたので、お電話差し上げました」
すっかり忘れていた。こういう事は、だいたい忘れた頃にやってくる。数ケ月前のことだったー。