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闇夜に光る下弦の月  作者: マー坊
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プロローグ壱

 血飛沫が舞い、空を赤く染める。地を這うような呻き声が覆い尽くす中、重なり合う銃声と、刀と爪が当たる金音。存在するのは異形の者達。その中にまるで光を纏っているとすら感じてしまう剣閃と弾閃。

 閃光が煌く。繰り出される幾多の光炎の斬撃と銃弾、迎え撃つは千を超える異形の者達。全てを無に還す神速の弾丸と、それに呼応するかのように奔る(はしる)消滅の刀身は既に神技のようであり、空間を穿つような力を秘め、激しさを増す。

 両者、いや二人対千体の戦いは治まるということを無視して苛烈する。光と化した一撃は減ることなく、その場に増える屍のように重ねられていく。もっと迅く、なお多くという攻防は人外の領域に入り、神ですらその迅さについて来れるかという速度までに高まり、奔る。

 ただただ大地には屍が積み上げられ、その光景は地獄で舞う天使の姿を彷彿とさせる。

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