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邂逅・女戦士(アマゾネス)傭兵隊編・ダンジョン突入

今後も本作を宜しくお願い致します。

大陸歴438年霧の月三十日黄昏ダンジョン・マスタールーム


ダンジョンへの強引な突入を強いられ準備を整えるクーリア率いる女戦士の傭兵隊とそれに同行するユーティリアの様子は周囲に展開する使い魔達によってマスタールームに送られ、アイリスはミリアリアやリリアーナと共にその様子が映し出されている魔画像を確認していた。

「……ふーん、強引な突入命令で押し切っちゃうねえ、まあ、女戦士の傭兵隊に興味があったからこちらとしては願ったり叶ったりな展開ね」

アイリスがそう呟いているとダンジョンに侵入の気配ありとの報せを受けたアイリーンとマリーカがクラリス、サララ、アナスタシア、カッツバッハを従えてマスタールームに到着し、アイリスは彼女達をテーブルに座らせた後に魔画像に映る女戦士の傭兵隊を示しつつ口を開いた。

「此方に向けて前進していたロジナの傭兵部隊が派遣した偵察隊がこのダンジョンを発見したわ、偵察隊は女戦士の傭兵隊でヴァイスブルクの捕虜を道案内の名目で保護しているわ」

「……第十騎士団副団長ユーティリア・フォン・ヴェルガー、彼女も生き永らえていてくれたのね」

「……女戦士は敵味方を問わず勇士を尊びます、ユーティリア殿の実力なら女戦士達も敬意を表すでしょう」

アイリスの説明を聞いたマリーカとアナスタシアは魔画像に映るユーティリアの姿に感慨の呟きをもらし、アイリスは穏やかな眼差しで頷いた後に表情を改めながら説明を続けた。

「ダンジョンを発見した女戦士の傭兵隊はダンジョンを監視しながら本隊の到着を待つつもりみたいだったけど同行してたロジナの連中に突入する様強いられたみたいなのよ、まあ、あたしとしては女戦士の傭兵隊に興味があったから願ったり叶ったりの展開になったと言う所ね、ロジナの連中には御礼として御褒美をあげなきゅならないわ、ボーンマジシャンの分隊をつけたスケルトン1個小隊とジンベルヴォルフ4体に魔狼12体をつけた部隊を出撃させるからヴァイスブルク伯国亡命政権から指揮要員数名を派遣して貰えるかしら?」

「承知しました、カッツバッハ、人選は貴女に任せるわ」

アイリスは説明の終わりに女戦士達が突入する原因となったロジナの一団に対する襲撃計画と指揮要員派遣の要請を行い、マリーカがそれを承諾した後にカッツバッハに人選を委ねるとカッツバッハは暫し思案した後に口を開いた。

「直に日も暮れます、フィリアスとラーナディアがいた中隊はヴァイスブルク伯国軍の夜間戦闘教導中隊でしたのでこの刻限での戦闘に適任だと判断します」

「それは頼もしいわね、襲撃隊は女戦士達がダンジョンに突入して暫くしてからロジナの連中を襲撃して貰うわね、ロジナの隊長は見るからに下っ端将校みたいだから捕虜にする必要はないわ、連中を殲滅した後は入口を封鎖して女戦士達を袋の鼠にして頂戴」

カッツバッハから派遣される指揮要員の名を聞いたアイリスは頷きながら出撃する部隊が取るべき方針を伝え、カッツバッハは頷いた後にフィリアスとラーナディアに出撃を命ずる為にアイリス達の前を辞した。

「……女戦士達の突入準備が整ったみたいね、歓迎の準備をしなきゃならないわね」

カッツバッハの背中を見送った後に魔画像に視線を向けたアイリスは女戦士達の準備が整った事を確認すると目を細めながら呟き、マリーカ達とアイリーン達は真剣な表情で頷いた後に魔画像に映る女戦士達とユーティリアの様子を見詰めた。


ダンジョン周辺・女戦士傭兵隊


アイリスが突入に備えた準備を整えていた頃、クーリア率いる女戦士傭兵隊31名にユーティリアとロジナ側から支援要員(と言う名目の目付)としてつけた魔導士と2名の軽装歩兵を加えた計35名からなるダンジョン突入隊は準備を終えてダンジョン前に整列していた。

「……これよりダンジョンに突入する、突入前にスキャニングによるダンジョン捜索を実施する、ダイナ頼む」

「……クーリア殿、私も実施する」

クーリアが女戦士の1人にダンジョン突入前のスキャニングによる捜索を命じているとユーティリアも参加を志願し、それを受けたクーリアが頷く事でそれに応じた後に改めて女戦士、ダイナとユーティリアの両名にスキャニングによるダンジョン捜索を命じた。

クーリアの命を受けたダイナとユーティリアはダンジョンに対してスキャニングによる捜索を実施し、このダンジョンが形成されて1ヶ月程度な事と内部が一本道の第一階層のみなのを確認してその旨をクーリアに告げ、それを告げられたクーリアは思案の表情になりながらユーティリアに対して問いかけた。

「この森にダンジョンが存在していないのは間違い無いんだな?」

「……ああ、元々この地にはそれなりの魔力濃度はあったがダンジョンが自然発生する程の濃度では無いしダンジョン発生の報告も無かった、多少の誤差はあるかもしれんがこのダンジョンが形成されて1ヶ月程度なのは間違い無いと思う」

「……私もその見方に同意します」

クーリアの問いを受けたユーティリアが返答すると続いてダイナもその意見に同意したがその表情には捜索結果が余りに平凡だった事に関する幾らかの懸念が見られ、クーリアはそれを感じたが後方に控えるロジナの下級将校達に粘ついた視線を感じて忌々しげに小さく舌打ちした後に口を開いた。

「……スキャニングの結果は確認した。2人の懸念は承知しているが、このまま突入する」

クーリアの言葉を受けたダイナは小さく一礼した後に整列した女戦士達の列に戻り、クーリアはそれを確認した後に配下の女戦士達を見渡しながら号令を発した。

「……これよりダンジョンに突入するっ!各員己が責務を完遂せよっ!……戦女神に我等が戦闘をっ!!」

「「戦女神に我等が戦闘をっ!!」」

クーリアが突入を命じた後に女戦士独特の鼓舞の鯨波をあげると女戦士達も同じ鯨波の声をあげ、クーリアは頷きながら右手を掲げ、その手をダンジョンに向けて降り降ろした。

クーリアの動きを確認した女戦士達の列から10名の女戦士達が小走りに駆け出してダンジョンの入口へと突入し、暫しの間を置いた後にその内の1人がダンジョンの外に出てクーリア達に向けて大きく手を振った。

「行くぞっ」

尖兵がダンジョン入口を確保したのを確認したクーリアは短く皆に命じた後に後続部隊の先頭に立ってダンジョンの入口に向けて駆け出し、ユーティリアもクーリアの傍らに並んでダンジョン入口に向けて駆け出した。

「……やっと突入したか」

支援要員にも関わらず何もしていなかった魔導士は大儀そうに呟いた後に護衛の軽装歩兵達と共にダンジョンへ向けて歩き始め、下級将校と護衛の軽装歩兵達はそれを見送った後に宵闇の中で焚き火を熾こして夕餉の準備を始めた。

一方マスタールームでクーリア率いる女戦士傭兵隊の突入を確認したアイリスはダンジョンの外で暢気に夕餉の支度を始めた下級将校達を攻撃する為にフィリアスとラーナディア率いる襲撃隊に出撃を命じ、出撃したフィリアスとラーナディアはアンデッドとジンベルヴォルフ、魔狼の混成集団を率いて下級将校達を遠巻きに包囲し始めた。

その頃下級将校がダンジョン発見とクーリア達の突入を報せる為に派遣した伝令が野営の準備を始めていた捜索集団の元に到着し、伝令の報告を受けたスコットは増援として中隊規模の獣人族の傭兵隊を出撃させ本隊は翌日合流する事を決して残る部隊にはこのまま野営するよう命じた。

梟等に擬態して捜索集団の動きを監視していたアイリスの使い魔達は出撃した新手の傭兵隊の様子をダンジョンに送り、出撃した傭兵隊は自分達の行動が筒抜けだとは露とも思わねままダンジョンに向けて前進を始めた。



目付役によりダンジョンに突入する事を強いられたクーリアは懸念を抱きながらもユーティリアと共に配下の女戦士達と共にダンジョンへと突入した。

これに対してアイリスはダンジョン入口で野営の準備を始めたロジナの下級将校達を襲撃する為に部隊を出撃させ、一方下級将校の派遣した伝令からダンジョンの発見とクーリア達の突入を報されたスコットは増援部隊として新たな傭兵隊を出撃させた……


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