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作戦会議

2000PVアクセス及び600ユニークアクセス突破出来ました、これからも宜しくお願いします。

ミリアリアを追って二度に渡ってダンジョンへと侵入してきたロジナ候国軍残党狩部隊57名は待ち受けていた死霊騎士率いるアンデット部隊によって全滅させられ、それを確認したミリアリアは彼等から救出したリーナ、アリーシャ、ライナの3人にここに至るまでの詳しい経緯の説明を行い、3人はミリアリアから告げられた話のあまりにも特異な内容に驚きの表情を浮かべていた。

「そ、それじゃあ、このダンジョンってミリアリア様を追手から護る為に、造られたんですか?」

「……まあ、その、そう言う事になる、な」

話を聞き終えたリーナは唖然とした表情で周囲を見ながらミリアリアに問いかけ、ミリアリアが歯切れの悪い口調で応じるとアリーシャが恐る恐ると言った様子でミリアリアの隣に座るアイリスに視線を向けながら口を開いた。

「……そして、このダンジョンを造ったのがこちらにいらっしゃる……えっと、その」

「紹介はして貰ったけどあたしからはまだだったわね、あたしはアイリス、貴女達が言う所の魔王って言う奴よ、宜しくね」

アリーシャが言い淀んでいるとアイリスがのんびりとした口調で改めて3人に挨拶を行い、それを聞いたライナは驚きと戸惑いが入り交じった表情でアイリスを見詰めながら口を開いた。

「黒髪に瑠璃色の瞳に白雪の様に白い肌、そして背中の蝙蝠の羽、確かにその姿は伝承に存在する魔王の特徴に合致しています、このダンジョンを一瞬で造り上げてしまった事やスキャニングの魔力波を感知しそれと同じ波長の魔力波を返してスキャニングを妨害する等の規格外とも言える能力、これらの特徴から見てもこの方が魔王と言う事に疑念を挟む余地はありませんが……」

「ライナ、貴女達ダークエルフは我々が把握していない魔王の情報を幾つか所持していると聞いた事があるのだが?」

ライナが呟いているとミリアリアがライナの方に視線を向けながら問いかけの言葉を発し、それを受けたライナは暫く思案した後にゆっくりとかぶりを振りながら口を開いた。

「確かに我々ダークエルフは魔王の情報に知悉しており、所有している魔王の情報量についても大陸屈指と思われます、ですが女性の魔王の情報については伝聞や噂話程度の物でさえ聞いた事がありません」

「……やはりそうか」

ライナの言葉を受けたミリアリアは小さく嘆息し、そんな様子を見ていたアイリスは小さく肩を竦めながら口を開いた。

「どうやらあたしの存在はかなり珍しいみたいね、でも、今はそれについてより今後どうするのか決めた方が良いんじゃないかしら?」

「……確かにそうだな、私は暫くこのダンジョンに止まり体力を回復させつつこのダンジョンに侵入したロジナ候国関連の人間から情報を収集していくつもりだ、貴女達はどうする気なのだ?」

ミリアリアはライナの言葉に相槌を打った後に3人に向けて問いかけ、それを受けた3人は暫く小声で話し合った後にリーナが口を開いた。

「あたし達は友好国のラステンブルク伯国に向かう予定でした、ラステンブルク伯国にはヴァイスブルク伯爵家の御令嬢マリーカ様が第一騎士団副団長のアナスタシア様が護衛して向かっているので生き残った者はラステンブルク伯国に向かう様にと言うのが最後の指示でしたので」

「……そうか、ラステンブルク伯国に」

リーナの言葉を聞いたミリアリアはほんの一拍言い淀む様に沈黙した後に応じ、アイリスはただ1人その事に気付いたが素知らぬ風を装いつつ3人に問いかけた。

「あたしは目覚めたばかりで国の事とかよく知らないの、あたしは彼女と一緒に暫くこのダンジョンから動く気は無いから一般常識程度の事で良いからラステンブルク伯国の事教えて貰えるかしら?」

「あっ、はい、ラステンブルク伯国はこの森を挟んだ所に位置する国でラステンブルク伯爵家が統治しています、人間の国ですが我が国とは友好な関係を続けていて、この戦いの際には援軍も派遣して頂いています」

「ふーん、中々頼りになる国なのね」

アリーシャからラステンブルク伯国の簡単な説明を受けたアイリスはその内容と先程目にしたミリアリアの反応を比較しながら相槌を打ち、それを聞いたライナは頷きながら口を開いた。

「戦いがヴァイスブルク城周辺に及んだ際にヴァイスブルク伯爵様は累が及ばぬ様ラステンブルク伯国からの援軍に帰国して頂き、ラステンブルク伯国はその代わりにマリーカ様や脱出したヴァイスブルク伯国の者を保護して頂く様になっているのです、ですので我々もラステンブルク伯国に向かう予定です、ですが、その前に、その、あ、厚かましい願いになるのですが……」

ここに至るまでの経緯を説明していたライナはその途中で言い難そうに口ごもり、その様子から言いたい事を察したミリアリアがアイリスの方に視線を向けるとアイリスは軽く右手を上げて応じた後に3人に向けて口を開いた。

「ラステンブルク伯国に向かうと言っても貴女達身体も心も相当消耗してるじゃない、魔王が造ったダンジョンで回復出来るか分からないけど、それでも良かったら暫く回復してから行けば良いわ」

「……あ、あの、ホントに良いんですか?あっこ、これは、信用出来ないとかそんなんじゃなくて、も、申し訳無いと言うか、なんと言うか」

アイリスの告げた渡りに舟は言葉を聞いたリーナはその鷹揚な内容に戸惑いの声をあげ、それを聞いたアイリスはゆったりと頷くスラリとした美脚を組んで傍らのミリアリアを一瞥した後に言葉を続けた。

「別に構わないわ、彼女が拒まない限り来る者拒まず去る者追わずよ、気にせず心身の回復に努めば良いわ」

「……すまない、貴女には迷惑と世話ばかりかけているな」

アイリスの答えを聞いていたミリアリアは申し訳無さそうな表情と共にアイリスに声をかけ、アイリスは穏やかな眼差しをミリアリアに向けながら口を開いた。

「何度も言ってる筈よ、あたしは目覚めた魔王として好き勝手にやっているだけよ、貴女は気兼ねせずあたしを好きなだけ利用すれば良いのよ」

「……だが、私は貴女の眠りを妨げた上に今もこうして貴女の好意に甘えている、それでは、余りに……ッ!?」

アイリスの答えを聞いたミリアリアは更に言い募りかけたが、アイリスはその唇に右手の人指し指が押し当てる事でその言葉を遮り、アイリスの突然の行動を受けたミリアリアが驚きのあまり身体を硬直させていると、アイリスは更に中指をミリアリアの唇に押し当てながら言葉を続けた。

「……だったら、暫くこうさせていて頂戴、それがあたしの要望、いいかしら?」

アイリスの言葉を受けたミリアリアは笹穂耳まで朱に染めながら小さくコクンッと頷き、それを確認したアイリスは押し当てらた指先からミリアリアの唇の柔らかな感触を感じつつ朱に染まったミリアリアの顔を愛しげに見詰めた。

ミリアリアの唇に指を押し当てながら朱に染まる顔を見詰めるアイリス、その頬や耳も仄かな朱に染まり、その様子を目の当たりにしたライナは頬を染めながら身体を硬直させ、リーナとアリーシャは頬を赤らめさせながら小声で話し始めた。

「ね、ねえ、あ、アイリスさんってや、やっぱりミリアリア様の事……」

「う、うん、多分、そうだと思う、そ、それにミリアリア様も、ま、満更でも無さそう……」

「……っそ、それって、つまり、その、そう言う事、なのか?」

リーナとアリーシャの会話を耳にしたライナは硬直から回復すると小声でその会話に加わり、リーナとアリーシャは真っ赤な顔で頷いた。

それから3人は真っ赤な顔で見詰め合うアイリスとミリアリアを見詰め、アイリスとミリアリアはその視線に気付く事無く互いを見詰め合っていた。

その頃ダンジョンの外は黄昏時を迎えており、伝令からダンジョンの事を知らされた残党狩部隊の本隊は更なる続報を待ちつつ築いた陣にて野営を始めていた。



ミリアリアとアイリスは残党狩部隊から救出したリーナ、アリーシャ、ライナの3人と作戦会議を行い今後の方針を決定、一方ダンジョン発生の報告を受けたロジナ候国軍残党狩部隊本隊も続報を待ちつつ野営に入り、激動の一日はその幕を降ろそうとしていた……


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