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蹂躙・ヴァイスブルクの悪夢編・手向け

ユニークアクセス27000を突破出来ました。今後も本作を宜しくお願い致します。

残酷な描写がありますので閲覧は自己責任でお願い致します。


陣営・ヴァイスブルク男爵領国軍第二騎士団


魔王アイリス率いる作戦機動軍により行われた襲撃により混乱の極みとなり損害が続出している陣営、その中で統制を取り戻しつつある集団が3つ存在していた。

硫黄龍が司令部を襲撃した際に重傷を負った陣営再建部隊指揮官でもある第十六騎士団長ザイドリッツを損害を被りつつも離脱させた第十六騎士団と混乱する部隊の収拾再編作業に勤しむチーグタム指揮するラステンブルク伯国第八猟兵団選抜部隊、そして一連の襲撃が行われた場所から離れた地点で迎撃態勢を整えていた為に損害、混乱共に最も僅少な物で済んだヴァイスブルク男爵領国軍第二騎士団、統制を取り戻しつつある3つの集団は魔力通信で互いの状況を確認し合った末に行動を開始した。

ラステンブルクの猟兵部隊は再編した周辺部隊と共に損害が大きい第十六騎士団に合流して猛威を振るう大型モンスターの迎撃を目指し、ヴァイスブルク男爵領国軍第二騎士団は障壁を展開させている未知の大型モンスター(光壁龍)に対して攻撃をしかける事となった。

エルフの騎士団は降り注ぐ大型モンスターの攻撃を魔力結界で凌ぎながら出撃態勢を整え、騎士団長のキャラガンは側近のエルフ騎士達と共に尖兵中隊の後方に位置して障壁を展開する光壁龍を遠望していた。

陣営は現在猛威を振るう、珊瑚龍、硫黄龍、双角龍によって蹂躙されている為に光壁龍に対する迎撃の量は多くは無いものの光壁龍の障壁はそれらの攻撃を完全に防ぎきっており、それを確認したキャラガンは満足気に頷いた後に呟きをもらした。

「やはりあのモンスターは障壁を展開するしか能の無い木偶の坊ですね、現在いる場所や1体のモンスターも近くにいる事から考えるにあのモンスターの目的は捕虜や娼奴隷の守護、と言った所でしょうね……先程の攻撃魔法の中には明らかにエルフやダークエルフが放ったとおぼしき物も含まれていましたし、ちょっとした点数稼ぎ程度にはなるかと運んだ連中でしたが思った以上に役に立ちそうですね」

これまでの戦闘の経緯と光壁龍の様子から光壁龍が捕虜の女エルフ達や娼奴隷の狐人族の女達を守護しているとおぼしき事や襲撃にヴァイスブルク伯国軍の残党が関与しているらしい事を確認したキャラガンが満足気に呟いているとそれまで暴れ狂い猛威を振るっていた筈の硫黄龍が動きを止めて苦し気にもがきながら黄色いガスを出鱈目に周囲に噴射し始め、それを確認した側近のエルフ騎士が喜色と共にキャラガンに報告を行った。

「団長、モンスターの内1体に異常があった模様です」

「……それは重畳、総員、この好機を逃す事無く武功を立てるのですっ!」

側近の言葉を受けたキャラガンが満足気な笑みと共に告げた激励を受けたエルフ騎士達が雄叫びで応じ、キャラガンが満足気に頷いた後に出撃を命じ様とした瞬間、突如大地が激しく揺れ始めた。

「……な、何事だっ!?」

突然の揺れに足を取られたキャラガンが片膝を着きながら叫んだ瞬間、揺れに足を取られて困惑していた尖兵中隊の地面からエルフ騎士達と土塊を吹き飛ばしながら硫黄龍が出現し、硫黄龍は突然の事態に硬直してしまった後続部隊に向けて黄色いガスを噴射した。

噴射されたガスは後続部隊の只中で炸裂して多くのエルフ騎士達を吹き飛ばし、エルフ騎士達は予想だにしなかった硫黄龍の出現と攻撃により大混乱に陥ってしまう。

「……ば、馬鹿なコイツが何故こんな所にっ!?こ、コイツはあそこに……何ぃっ!!」

キャラガンが突然の硫黄龍の出撃に狼狽えながら先程まで硫黄龍がもがいていた場所に目をやるともがいていた筈の硫黄龍が周囲に溶け込む様に姿を消していく様が目に入り、その光景を目にしたキャラガンは呆然と立ち竦みながら呟いた。

「……ば、馬鹿な、げ、幻影魔法だと」

「……そうよ、地下から襲撃出来るこの子の能力を考えたら相手はこの子の行動に注目せざるを得ないわ、結果、幻影魔法によるデコイが効果的になる訳よ」

キャラガンの呟きに応じる様に背後から艶やかな声があがり、突然の声にキャラガンが顔色を変えながら背後を振り向くと血塗れになって折り重なる側近のエルフ騎士達とその傍らに佇んで血塗れの大鎌を手にした美女、アイリスの姿が飛び込んで来た。

「……き、貴様何者だっ!?」

「……あたし?あたしはアイリス、彼女達のお友達よ」

キャラガンは唐突に出現したアイリスに対して慌ててロングソードの切尖を突きつけながら誰何し、アイリスがそれに対して現状からは場違いに感じられるノンビリとした口調で応じていると抜き放った得物を手にしたミリアリアとカッツバッハが姿を現し、その姿を目にしたキャラガンが思わず目を剥いているとカッツバッハが底冷えする様な冷気の籠った眼差しでキャラガンを見据えながら口を開いた。

「久し振りだな、第七騎士団長キャラガン殿、いや、ヴァイスブルク男爵領国軍第二騎士団長キャラガン様とお呼びした方が良かったかな」

「……か、カッツバッハ、それに、ミリアリア、だと」

カッツバッハから冷気を纏まった呼びかけを受けたキャラガンは気圧された様に後退りしながらカッツバッハとミリアリアを交互に見詰めたが、直ぐに余裕の表情を取り戻すと後退りした分を取り返す様に数歩前に進み出ながら口を開いた。

「……どうやら一連の襲撃に貴女方負け犬達が加わっていると言う予想は正しかった様ですね、後ろの混血の獣人風情はともかくあのモンスターはどうやって手懐けたのです?モンスターを操る者に股を開いて手懐けましたか?貴女のオトモダチだった牝ダークエルフの様に」

「……キャラガン、貴様」

「……大丈夫です、ミリアリア殿」

キャラガンの嘲りの言葉を聞いたミリアリアがドスの効いた声と共に踏み出そうとするとカッツバッハは殊更に平坦な声と共にそれを制した後に一歩前へと踏み出し、嘲りの表情でその様子を見詰めるキャラガンを鋭い眼光で見据えながら言葉を続けた。

「……キャラガン様、四の五の言わずに私やミリアリア殿を捕縛してみれば如何ですか?私やミリアリア殿を捕縛出来れば貴方様の功績は絶大ですよ?第二騎士団長と言うポポフの下の地位から脱却出来ますよ……最も貴方にそれが出来ればの話ですが」

「……安い挑発ですね、ですが乗って差し上げますよ、3人纏めてかかってきても構いませんよ」

カッツバッハの言葉を受けたキャラガンが嘲笑と共に告げながらアイリス達を見渡すとカッツバッハが無言で進み出て手にした軍刀の切尖をキャラガンに向けて突き出し、それを目にしたキャラガンは溜め息をついた後にロングソードを構えながら言葉を続けた。

「……1人づつですか?まあ、良いでしょう、後が詰まっているのでさっさと行きますよっ!!」

キャラガンがそう言いながらカッツバッハに向けてロングソードを閃かせ、カッツバッハはその剣跡を冷静に見詰めながら軍刀を一閃させてロングソードの刀身を切断した。

「……っな!?」

「……せいっ!!」

「……グヒャッ!!」

キャラガンが予想外の事態に驚愕の声をあげているとカッツバッハは裂帛の気合いと共に無防備なキャラガンの顔面に蹴りを叩き込み、顔面にモロに蹴りを叩き込まれたキャラガンは引き潰された様な悲鳴を撒き散らしながら吹き飛ばされて観戦しているアイリスの近くの地面に転がった。

「……言い忘れていたが私が手にしているのはさる御方から頂いた龍軍刀ドラゴンサーベルでな、生半可な得物だと痛い目を見る事になるぞ」

「……こ、このっ牝騎士風情がっ!!調子に乗るなっ!!」

「……あらあら」

カッツバッハの言葉を受けたキャラガンは血痰と呪詛の言葉を吐きながら立ち上がると刀身が切断されたロングソードを放り投げつつ素早くアイリスの背後に廻り込むとその喉元に素早く抜き放った短剣の切尖を突きつけ、人質にされたアイリスが緊迫感の欠片も感じられないノンビリとした声をあげる中、嘲笑を浮かべてカッツバッハとミリアリアを交互に見ながら口を開いた。

「オトモダチがどうなっても構わないのですか?最もオトモダチだと言うのはこの女の妄言かも知れませんがね、まあ、こんな所にまで連れ立って出てくる程ですから赤の他人と言う訳では無い様ですね」

「……あらあら、ひょっとして、あたし捕まっちゃったの?」

キャラガンが勝ち誇った表情で告げていると呑気な表情のアイリスが小首を傾げながら間の抜けた声をあげ、それを聞いたキャラガンは蔑みの笑みと共に言葉を続けた。

「……どうやらそのふしだら極まりない身体にばかり栄養が行ってしまった様ですね、間も無く部下達も駆け付ける筈ですからその身体で存分に楽しませて貰いますよ、私は身の程知らずの牝似非団長を楽しませて貰いますがね」

侮蔑の笑みと勝ち誇った表情で宣うキャラガン、それに対してアイリスは小首を傾げたまま口を開く。

「……あらあら、おかしな事言うのねえ、貴方の部下達なんて来れる訳無いじゃ無いの」

「……何だと」

アイリスが事も無げに告げた言葉を受けたキャラガンは戸惑いの声をあげ、アイリスは楽し気な口調で言葉を続けた。

「……本当に愚かよねえ、今に至るまで部下達が来ていない事を不思議にも思わないんだから、周りを見てみたらどうかしら?」

アイリスの言葉を受けたキャラガンが慌てて周囲に視線を巡らすと周囲は半透明の魔力障壁に覆われてその周辺ではエルフの騎士達も倒れてもがき苦しんでおり、衝撃的な光景を目の当たりにして呆気に取られた表情を浮かべたキャラガンに対してアイリスは楽しげに嘲笑わらいながら口を開いた。

「……貴方達のおかげで予想以上に襲撃が順調に進捗しているのよ、だから新しい使役獣をもう1体投入出来たのよ」

「「……うわぁ」」

アイリスの言葉を聞いたミリアリアとカッツバッハはその内容にドン引きしながら思わず声をあげ、それを聞いたアイリスがミリアリアに向けて悪戯っぽくウインクしているとキャラガンがアイリスの喉元に短剣の切尖を突き付け直しながら口を開いた。

「……何を訳の分からない事を言っているのだこの牝蝙蝠、お前程度の輩にこの様な芸当が出来る筈無い、縦しんば出来たとしても今のお前は私に生殺与奪を握られているのだから何の意味も無い話だがな」

「……あらあら、あっさりメッキが剥がれちゃったわね、ホント小さな輩ねえ」

「……黙れ牝蝙蝠!!それ以上なめた口を利いているとその喉笛に串刺しにするぞっ!!」

キャラガンの威嚇の言葉を受けたアイリスが嘲笑と共に応じるとキャラガンは苛立たしげに怒声を張上げ、アイリスは嘲笑わらいながら片手を掲げた。

「……あたしの喉笛を串刺しにする物ってもしかしてこのチャチな鈍の事かしら?」

「……!?!?」

そう言うアイリスが掲げた手の中には短剣を握り締めて血を滴らせている手首から切断された手が存在しており、それを目にしたキャラガンが声にならない叫び声をあげながら己の手を見るとそこには手首から先が存在しない上に御丁寧に切断面に止血処置までが施されていた。

「……て、手があぁぁっ!!手があぁぁぁっ!!、わ、私の、私の手があぁぁぁぁっ!!!」

信じ難い光景を目にしたキャラガンは大きく目を見開きながら絶叫を迸らせ、それを聞いたアイリスは切断した手を投げ捨てた後にキャラガンの方に向き直って言葉を続けた。

「……切断してから止血処置もしてあげたのよ、気に入ってくれたかしら?」

「……ひぃぃっ!!」

事も無げに告げられたアイリスの言葉を受けたキャラガンは不様な悲鳴をあげながら尻餅をつくと後退りしようとしてじたばたともがき始め、アイリスは醜態を晒すキャラガンを凄惨すてきな笑みで見下ろしながら言葉を続けた。

「……そうそう、まだ新しい使役獣がどんな子か言って無かったわねえ」

アイリスがそう告げるとそれに応じる様にユラユラと空中を漂う数本の触角の様な物を生やした握り拳大の大きさの滑らかな肉質の球が姿を現し、アイリスはそれを指先で軽く叩きながら言葉を続けた。

「……この子が新しい使役獣、吸血球獣の一部よ、獲物の首筋に張り付いて吸血菅を使って獲物の血を一滴残らず吸い尽くすのよ、あんな風にね」

アイリスがそう言いながら示した先に思わず視線を向けたキャラガンの視線の先には干からびたミイラの様な有り様のエルフ騎士の死体があり、それを目にしたキャラガンは悲鳴をあげたがその悲鳴が口から出る事は無かった。

「……不様な悲鳴でミリアの鼓膜を汚されたく無いの、それじゃあキャラガン様、サヨウナラ」

アイリスが青ざめた顔のキャラガンに告げると同時に吸血球が素早くキャラガンの首筋に張り付き、アイリスは断末魔にのたうち回るキャラガンを一瞥した後にミリアリアとカッツバッハに向き直って口を開いた。

「……ホントはまだまだ裏切りへの手向けをしてあげたかったんだけど今は戦闘中だからこの位で許してね」

「……心配するな、十分だ、寧ろオーバーキル気味だから」

アイリスの言葉を受けたミリアリアがドン引きしながら返答するとカッツバッハも大きく頷き、アイリスは誇らしげに微笑んだ後に干からびたキャラガンの死体から離れて近付いて吸血球を見ながら言葉を続けた。

「さあ、それじゃあもっともっと凄惨すてき惨劇パーティー続けましょうっ!!」

アイリスが高らかに告げると同時に魔力障壁が消失し、周囲のエルフ騎士の血を貪っていた無数の吸血球が集結を開始した。

無数の吸血球が集結すると同時にキャラガンの血を貪っていた吸血球が一際巨大な無数のコブで覆われた巨大な球体となり、集結した吸血球は巨大な球体を頭部とした二足歩行型の形状の集合体、吸血球獣へと変化を遂げた。

変化を遂げた吸血球獣は頭部の巨大な球体から光線を発射しながら前進を開始し、アイリスは魔王に相応しい凄惨な笑みを浮かべながら猛威を奮う使役獣達とその猛威によって崩壊へと追い込まれて行く陣営を見詰めた。



作戦機動群の襲撃を受けた陣営再建部隊は混乱しながらも反撃を模索し、アイリスはそれに対して最大の反攻戦力であるヴァイスブルク男爵領国軍第二騎士団に対して攻撃を行いこれを粉砕、その際に新たに製作した使役獣を投入して売国騎士団に対する手向けとした……


ミリアリア「……なあ、この吸血球獣なんだが」

アイリス「違うわよ、だってムーンセレナー○号を襲ったりUG○の整備員をミイラみたいしたりして無いもの」

ミリアリア「……名前がコミカルな割にガッツリトラウマ怪○だったよな、コイツ」

アイリス「……まあ、トラウマ怪○だけど戦いの場面とかオチがコミカルだったからまだマシよね、シルバー○ルー○とかに比べたら」

ミリアリア「……あーまあ、そうだな、UG○は全滅しなかったしな」


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