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蹂躙・ヴァイスブルクの悪夢編・陽動

今後も本作を宜しくお願い致します。

ロジナ候国軍第九騎士団宿営地


陣営再建部隊への合流を目指していたラステンブルク伯国軍猟兵部隊が襲撃を受けていた頃、陣営再建部隊とヴァイスブルクを結ぶ連絡線を守備しているロジナ候国軍第九騎士団は宿営地で就寝の最中であった。

騎士団長用のテントのベッドにはネグリジェ姿のリーリャが横たわっていたが寝苦しさを感じたリーリャは中々寝付く事が出来ず、暫く寝返りを打っていたリーリャは諦めてベッドから起き上がってベッド脇に置いていた水差しに満たされた水をグラスに注いで喉を潤した。

「……何事も無いと良いわね〜」

リーリャが空になったグラスを置いてそう呟いた刹那、リーリャの背筋に強烈な悪寒が走り、リーリャは弾かれた様にベッド脇に立て掛けていたハープを鷲掴みにしてネグリジェ姿のままテントの外に飛び出した。

「「だ、団長!?」」

テントを警備していた騎士達は些か刺激的に過ぎるリーリャの姿に赤面しつつ声をかけたがリーリャはそれを無視して素早く周囲に視線を巡らせ、夜空そらの片隅が小さく瞬いたのを確認すると滑らかな動作でハープの弦に指をかけながら言霊を紡いだ。

「魔曲第十七番……鉄壁」

リーリャが言霊を紡ぎながらハープの弦を爪弾くと澄んだ音色が軽やかに舞い、虚空に巨大な六芒星の魔方陣が描かれ、それから刹那の間を置いた後に魔方陣に巨大な火柱が直撃した。

「……っ!?」

火柱と魔方陣は相殺されて虚空に巨大な爆発を生じさせ、その光景を目の当たりにした騎士達が驚きの声をあげているとリーリャはハープの弦に指を添えたまま口を開いた。

「敵襲ですよ〜、緊急呼集、急いで下さい〜」

「「……ハ、ハイッ!!」」

リーリャの言葉を受けた騎士達が慌てて緊急呼集をかける為に駆け出して行る間に再び夜空そらの一角が瞬き、それを目にしたリーリャがハープを爪弾こうとした瞬間、それを制する様に涼やかな笛の音が軽やかに舞った。

「魔笛曲第七番……魔弾」

リーリャが舞う旋律の正体を呟くのとほぼ同時に輝く光弾が虚空に向けて発射され、発射された光弾は宿営地に向けて放たれた火柱とぶつかり合って虚空に2度目の爆発を生じさせた。

「……ドラゴンブレスね」

リーリャが虚空に生じた爆発とその向こうを見据えていると魔笛を手にしたライトアーマー姿のミサがその傍らに歩を進めながら声をかけ、リーリャが頷く事でそれに同意するとミサは苦笑と共に夜空そらを見据えつつ言葉を続けた。

「緊急察知能力が発動したって事は結構事態は深刻みたいね」

「そうみたいね〜」

ミサの言葉を受けたリーリャは口調こそのんびりしていたがその表情は険しくなっており、それを察したミサは表情を引き締めながら言葉を続けた。

「ここは私が見ておくわ、貴女は急いで着替えた方が良いわ」

ミサがそう言っていると従兵用のテントからリーザとイリーナが慌てて飛び出し、それに気付いたリーリャは微笑みながら頷いた後にリーリャのネグリジェ姿に頬を赤らめさせたリーザとイリーナを促して団長用のテントに移動した。

「……さて、次はどう出るのかしら?」

ミサがそう呟いた刹那、夜空そらが瞬く代わりに木々の合間から夥しい閃光が瞬き、それを確認したミサは舌打ちもそこそこに言霊を紡ぐ。

「魔笛曲第十四番……旋風」

ミサが言霊を紡いだ後に魔笛を口に当てて旋律を響かせるとそれにあわせて巨大な竜巻宿営地前方に魔風の旋風が発生し、発生した旋風が木々の合間から飛んできた多数の火級を吹き飛ばした後に消失する中ミサは新たな言霊を紡いだ。

「魔笛曲第五番……尖兵」

新たな言霊と共にミサが魔笛の旋律を奏でるとそれに呼応して不可視の捜索用魔力波が周囲に放たれ、ミサは反射して来た魔力波を読み取って敵の規模を知ろうとしたがその表情に戸惑いの色が浮かぶ。

「魔龍の他にアンデッド、恐らくはスケルトンとボーンマジシャン、それに大型モンスターらしい反応もある、だが……」

「お待たせ〜様子はどう〜?」

ミサが戸惑いの表情と共に呟いているとライトアーマー姿になってリーザとイリーナを従えたリーリャが団長用のテントから出てきて状況を問いかけ、ミサはそれに対して難しい表情で返答した。

「……尖兵で敵の様子を確認したわ、魔龍の他にスケルトンやボーンマジシャン等のアンデッド、他にも大型モンスターらしい反応もあったけど概略は不明よ、返って来た魔力波に乱れがあったから妨害された可能性が高いわ」

「……予想以上に厄介な相手みたいね〜こちらからも仕掛けてみましょう〜」

ミサの言葉を受けたリーリャが顔をしかめながら新たな行動を提案するとミサは頷く事でそれに同意し、その後にリーリャとミサはハープと魔笛を構えながら同時に言霊を放った。

「「合奏魔曲第三番……煉獄」」

リーリャとミサは言霊を放った後に各々の魔楽器を奏で、厳かな雰囲気の調べが周囲に舞うと同時に虚空に無数の魔力を宿した炎の槍が発生して前方に向けて一斉に発射された。

発射された無数の炎の槍が木々の合間に吸い込まれ様とした刹那、巨大な黒の五芒星の魔法陣が虚空に出現して全ての炎の槍を受け止め、魔法陣と無数の炎の槍は相殺されて巨大な爆発が生じた。

「……やってくれるわねえ、煉獄を相殺するなんて」

「……これはしんどい戦いになりそうね〜迂闊には動けないわね〜」

一連の光景を目にして苦い表情で呟いたミサに対してリーリャが同じ様な表情で相槌を打っていると緊急呼称を受けた第九騎士団の騎士達が続々と押っ取り刀で駆け付け、リーリャとミサは敵の動向に目を光らせながら騎士団の迎撃態勢を整えさせ始めた。


第二機動打撃群


同盟者フェデラートゥスの魔龍が行ったブレスによる攻撃とそれに続いて行われたボーンマジシャン部隊による魔法攻撃を防いだ第九騎士団から反撃として放たれた広範囲攻撃魔法は闇神官ダークプリーストリリアーナが展開した広域魔導結界ディアト・アム・ラインによって阻止され、上空の魔龍は短くも激しい応酬に感嘆の呟きをもらした。

……魔王アイリスの見立て通りだな、こやつらは今までの屑どもとは格が違う……

「その様ですね、相手も態勢を整え始めていますし、迂闊には動けませんね」

魔龍の念話を受けたリリアーナは初陣による緊張感に少し表情を強張らせながら応じ、その様子を目にしたクラリスは穏やかな口調でリリアーナに話しかけた。

「リリアーナ様、確かに厄介な相手になりますが我々の目的は敵の殲滅では無く牽制と拘束です。今までの交戦であちらも我々が容易な相手では無いと判断したと思われますので進捗状態としてはまずまずと思われます」

……我もその意見に同意するな、見た所連中は攻撃よりも防御を重視する事を選択した様だ。連中にその様な方針を選択させた時点で我々の攻撃は一定の成果を挙げたと判断して良いと思えるな……

クラリスの見立てに対して魔龍も同意を示し、それを受けたリリアーナは頷いた後に微笑みながらクラリスに声をかけた。

「……ありがとね、クラリス」

「……初めての指揮官と言うのは中々に大変ですが頑張ってくださいね、姉上はアイリス様の眷族なのですからこの様な事態は今後も当然発生していくでしょうから」

リリアーナの感謝の言葉を受けたクラリスは微笑みと共に応じた後に激励の言葉を続け、リリアーナが頷く事でそれに応じていると総司令官であるアイリスからの通信が到達した。

「リリアーナ、今同盟者の魔龍から現状を報告して貰ったわ、現在第一、第三機動打撃群の攻勢は順調よ、第二機動打撃群も牽制及び拘束任務を十全にこなしていると判断してるわ、ただし、魔曲騎士団については自軍の戦況を把握した場合攻勢に転じる可能性が高いわ、第二機動打撃群については軽挙を慎みつつ魔曲騎士団への牽制及び拘束を続行しなさい」

「畏まりましたアイリス様、全力で任務に当たります」

アイリスから各機動打撃群の奮闘と自群に関する激励を受けたリリアーナは決意の表情で返信し、その後に傍らのクラリスに視線を向けながら口を開いた。

「聞いた通りよクラリス、敵の動きに備えつつ魔曲騎士団への牽制と拘束を続けるわね」

「承知しました、姉上」

……魔王の眷族よ、連中に新たな動きが生じる様だぞ、どうやら友軍の惨状に気付いた様だぞ……

クラリスがリリアーナの言葉に応じていると上空の魔龍より第九騎士団側に新たな動きが生じたのを告げ、それを受けたリリアーナとクラリスが第九騎士団の様子を窺うと騎士団の一部に慌ただしい動きが発生しており、それを目にしたリリアーナはトーテムミノタウルスと一角龍のカプセルを手に取りながらクラリスに声をかけた。

「クラリス、皆に警戒するよう伝えて頂戴、場合によっては大型モンスター部隊や使役獣も投入するわっ!!」

「了解しましたっ!!」

リリアーナの指示を受けたクラリスは即座に応じた後に散開した第二機動打撃群の面々に警戒を呼びかけ、リリアーナは鋭い眼差しで動きを増していく第九騎士団の宿営地を見据えた。


第九騎士団


第二機動打撃群の攻撃を防いで防御態勢を整えていた第九騎士団だったが他の部隊と魔力通信を試みた結界、憂慮すべき事態が勃発している事が判明した。

陣営再建部隊からは西外哨戒拠点に正体不明の大型モンスターを含んだ大規模な襲撃を受けている事が告げられ、ラステンブルクの猟兵部隊との通信を試みた魔導士は青ざめた顔で同部隊との通信が途絶状態である事を告げた。

状況を確認したリーリャとミサは広域に渡る大規模で統制の取れた襲撃に顔をしかめ、部下の中堅指揮官の中でも特に功名心が強く2人と反目しがちであった騎乗騎士第四中隊長のクリストフ・フォン・カールトンライトは眦を吊り上げながら意見具申を行った。

「既に友軍に多大な損害が生じておりますっ!この様な状況下にあって我々が自身の安全確保に汲々としている事は犯罪行為とすら言えますっ!即刻出撃して魔龍や他のモンスターどもを叩き潰し、その勢いに乗じて友軍の救援に赴くべきであると小官は愚考致しますっ!!」

カールトンライトは眦を吊り上げたまま強硬に主張し、それを受けたミサは顔をしかめながら口を開く。

「確かに友軍の危急は憂慮すべき事態ではあるわ、けれど我が第九騎士団も襲撃を、それも魔龍が加わった襲撃を受けているのよ、軽はずみに動く事は危険だわ」

「それが我が騎士団の団長殿や副団長殿の騎士道ですが、残念ですが私には我が身可愛さに友の危急を捨て置く等と言う騎士道は存在しません、どうしても許可頂けないならば我が身のみでも出撃しましょう」

ミサの返答を聞いたカールトンライトは侮蔑の表情を隠そうともせずにミサとリーリャに告げた後に自己陶酔した様に宣言し、それを聞いたリーリャは小さく溜め息をついた後にカールトンライトに告げた。

「ならば貴女の中隊に捜索出撃を許可します〜出撃して敵の規模を確認、騎士団主力の出撃はその成果によって判断します〜、良いですね〜?」

「……承知しました、直ちに出撃致します」

リーリャの命令を受けたカールトンライトは不満そうな素振りを見せつつも命令に従い出撃する為にリーリャ達の前を辞し、その背中を見送った第一大隊(騎乗騎士)長のアレクセル・バークは小さく肩を竦めながらリーリャに問いかけた。

「第四中隊が危機的状況に陥ってしまった場合はいかが致しますか?」

「当然救援するわよ〜、主力に危険が及ばない範囲でね〜」

バークの言葉を受けたリーリャは事も無げな口調で応じ、言外の意味を覚ったバークは小さく頷いた後に己の指揮する大隊が4個中隊編成から3個中隊編成になる可能性を念頭に起きつつ、リーリャの前を辞した。

一方カールトンライトはそんなやり取りが行われたとは露知らずに待機していた部下達に出撃準備を命じ、部下達は血気に溢れた雄叫びをあげながら出撃準備を開始した。

本部小隊と4個騎乗騎士小隊に1個魔法騎士小隊からなる騎乗騎士第四中隊が宿営地から出撃し始めるとそれを迎撃する様に木々の合間からボーンマジシャンが放ったとおぼしき火球が降り注いだが魔法騎士小隊の魔法騎士達は防御結界を発動させてそれを防ぎ、それを確認したカールトンライトは呵呵大笑しながら部下を鼓舞した。

「総員、見ての通り敵の戦力はたかが知れている、怖れる必要は無いぞっ!!」

カールトンライトの声に雄叫びをあげる第四中隊の騎士達、その中にあって第二小隊長のヴィクトル・フォン・ポワソンシャーのみが内心で渋面を作っていた。

(……この様な状況で闇雲に攻撃をしかける等、一歩間違えば狂気の沙汰になってしまう、自分に酔った自殺志願者はそれでも満足だろうが、付き合わされる此方は堪った物では無いぞ)

ポワソンシャーが内心で容赦の無いカールトンライトへの罵詈雑言を呟いていると、木々の合間から痛みの激しいロジナ候国軍の軍装を纏った多数のスケルトンが出現し、それを確認したカールトンライトは眦を吊り上げながら号令を発した。

「アンデッドどもが姿を現したぞっ!!者共戦友達を踏みにじった奴等から戦友達を開放するのだっ!!総員突撃するぞっ!!ポワソンシャー、貴様の小隊は待機して我等の後方を守れ、貴様には適任だからな」

号令を発したカールトンライトは最後に侮蔑の表情でポワソンシャーを見詰めながらポワソンシャー率いる小隊に待機を命じ、ポワソンシャーが静かに一礼したのを確認すると小馬鹿にする様に鼻を鳴らした後に軍刀を抜き放ってその切尖をスケルトンの集団に向けながら号令を発した。

「総員突撃!!」

カールトンライトの号令と共に騎乗騎士約200名は高らかな駒音と共にスケルトンの集団目掛けて突撃を開始した。

第四中隊の突撃に対して上空の魔龍と地上のボーンマジシャンから迎撃の為ブレスと火球が放たれたが、宿営地のリーリャとミサの魔曲によって魔龍のブレスが防がれ、上空からの脅威を免れた第四中隊は魔法騎士の防御結界によってボーンマジシャンの火球を防ぎながら突撃を続けてスケルトンの集団に突入して各々の得物を振るった。

馬上から襲いかかる軍刀や槍によって瞬く間にスケルトンが粉砕されていき、カールトンライトは軍刀で粉砕したスケルトンの骨が飛散するのを満足げに一瞥した後に戦況を確認すると、鎧袖一触の勢いでスケルトンを粉砕する第四中隊の騎乗騎士と魔法騎士達によってスケルトンの集団は完全に駆逐されてしまっていた。

「ハハハハッ圧倒的では無いか我々はっ!!総員、この勢いに乗じてボーンマジシャンどもも蹴散らしてしまうぞっ!!」

「中隊長殿、宿営地より帰還命令が出ていますっ!!」

部下達の戦果に上機嫌でいるカールトンライトに対して魔法騎士がリーリャからの帰還命令を伝え、これを受けたカールトンライトは大仰な仕草で首を振った後に高らかに宣言した。

「総員、残念ながら我が騎士団長は自己の保身に目がくらみ戦友の危急を見過ごす事を是とした様だ、かくなる上は我等一丸に突撃し敵を粉砕し、その上で戦友達の下へ馳せ参じ様では無いかっ!!魔法騎士、宿営地に返信せよ、我等はこれより信念に基づき友軍の救出に赴く、如何様な処分も覚悟の上である。我等の騎士道、とくと御覧あれ、以上だ!!」

カールトンライトの号令を受けた魔法騎士は素早く命じられた通りに返信し、カールトンライトは芝居がかった動作で木々の合間から見えるボーンマジシャンの集団に軍刀の切尖を突き付けながら号令を発した。

「総員突撃、栄光を我等の手に収めよっ!!」

カールトンライトが号令と共に駆け出すと第四中隊の騎乗騎士達と魔法騎士達も雄叫びと共に、第四中隊は迎撃の火球を防御結界で防ぎながら(代償として魔法騎士達の魔力を消費しながら)突撃を開始した。

突撃を開始した第四中隊が展開するボーンマジシャンに近付いた刹那、その後方に巨大な黒く輝く五芒星の魔法陣が形成されると同時にカールトンライトを追い抜いて尖兵となって突撃していた第三小隊の騎乗騎士達の前の地面が一気に陥没し、第三小隊の騎乗騎士達は慌てて駒を止めようとしたが止め切れずに絶叫しながは陥没した地面に吸い込まれていった。

突然の惨状に仰天したカールトンライト達が大混乱に陥りもがきながらも陥没した地面の出前で何とか駒を止めていると陥没した地面の底に折り重なり呻く騎乗騎士達めがけて多数の火球が撃ち込まれ、カールトンライトが唖然とした表情を浮かべて生きたまま焼かれて絶叫する第三小隊の騎乗騎士達を見詰めていると眩い閃光と共に3体の大型モンスター、メタルゴーレム、トーテムミノタウルス、一角龍が出現して混乱状況から脱しきれていない第四中隊に襲いかかった。

メタルゴーレムとトーテムミノタウルスから光弾と光線を浴びせられた魔法騎士達は狼狽えながら防御結界を張ったが先程からの戦闘で魔力を消費し続けていた魔法騎士達の防御結界はその攻撃を防ぎ切れず、防御結界を貫通した光弾や光線は第四中隊の只中で炸裂して騎乗騎士や魔法騎士達が次々に吹き飛ばされてしまう。

突然の事態に見回れた第四中隊の騎乗騎士達や魔法騎士達はそれまでの優勢がかえって仇となって大混乱に陥ってしまい、唖然としていたカールトンライトが慌てて部隊を建て直そうとしたがそれを制する様に放たれた黒い稲妻がその付近で炸裂し、その爆発に巻き込まれて地面に叩き付けられたカールトンライトに見た一角龍が目に似合わぬ機敏な動作で襲いかかり巨大な角をその身体に突き立てた。

指揮官とそれまでの自信を喪失した第四中隊の生き残りは算を乱して逃走を図ったが、その逃げ道は魔法陣が生み出した障壁によって閉ざされており、あわてふためく彼等に向けてリリアーナやクラリス達とボーンマジシャンや大型モンスター部隊の火力支援を受けたスケルトン部隊とトーテムミノタウルスと一角龍が襲いかかった。

第二小隊を除いた第四中隊が文字通りに全滅させられてしまい、それを確認したリーリャは第二小隊を収容した後に防御態勢を整えて対峙しつつ、後詰めとして控えるスティリアの近衛第三騎士団に援軍を要請した。



第九騎士団に対する牽制拘束を命じられた第二機動打撃群は予定に従い第九騎士団と交戦を開始した。

第九騎士団はその一撃を防ぐ事には成功した物の第二機動打撃群と魔龍によって釘付けにされてしまい、第二機動打撃群による陽動作戦は成功を収める事となった……


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