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進発・第三機動打撃群

ユニークアクセスが24000を突破しました。今後も本作を宜しくお願いします。

ダンジョン周辺・第三機動打撃群


第一機動打撃群に続いて出撃した第二機動打撃群、それに続いて第三機動打撃群の各部隊が進発を開始した。

最初に動き始めた約800と言う夥しい数のスケルトン部隊は骨と骨が擦れ合う音を周囲に撒き散らしながら進撃を始め、第三機動打撃群を指揮するミランダは作戦機動群のカッツバッハと共にその異様な光景を見詰めていた。

「壮観……と言うには些かおどろおどろし過ぎる光景だな」

「……そうね」

カッツバッハが目の前の光景を感嘆と呆れの混ざりあった表情を浮かべつつ呟くとミランダは頷きながら相槌を打ち、その後に微笑を浮かべて言葉を続けた。

「……最初は面喰らっていたけど今ではこれがアイリス様の力なんだと納得出来る様になったわ、貴女も直に慣れると思うわ」

「……そうだな」

ミランダの言葉を受けたカッツバッハは頷きながら相槌を打ち、その後に視線を傍らのミランダへと向けた。

(ミランダはその身体をキャラガンや売国奴ども、そしてロジナの屑どもにまで慰み者にされた……意気地の無い私が何も出来ないでいる間に彼女は私以外の者達によって……)

「……気にしないでカッツバッハ」

カッツバッハがミランダが見舞われたであろう辛酸に対する自責の念にかられているとそれを察したミランダが穏やかな口調で声をかけ、それを受けたカッツバッハがミランダの顔に視線を向けるとミランダは穏やかに微笑みながら言葉を続けた。

「……虜囚となった時に覚悟してたの、もう、貴女とは二度と逢えないのだと、そしてそのまま汚し尽くされ騎士団長としての矜持も心も破壊し尽くされてしまうであろう事を、だから、もう一度貴女と逢えた上にこうしてまた轡を並べる事が出来るそれだけで私は満足してるわ」

「……ミラ……ンダ」

ミランダが穏やかに述べた言葉を受けたカッツバッハは気丈に振る舞うミランダが受けたであろう凄惨な辱しめに顔を歪めながら掠れた声をあげ、その様子を目にしたミランダはあやす様な口調で言葉を続けた。

「……だから自分を責めないでカッツバッハ、マリーカ様や貴女が無事で良かったわ」

「……だが」

ミランダの言葉を受けたカッツバッハが泣きそうな顔で口ごもっていると周囲で待機していた第三機動打撃群の隊員達が小さくざわめき始め、それに気付いたミランダとカッツバッハがそちらの方に視線を向けるとミリアリアがアイリスを抱き抱えて此方に近付いて来る姿が視界に飛び込んで来た。

「……信じられんな、あのミリアリア殿があの様な事をするとは」

「……私も最初は驚いたわ、アイリス様の事を満更でも無く想っているのは直ぐに分かったけどあのミリアリア殿があの様な事をしてしまうとは予想外だったもの」

カッツバッハとミランダがある種の感嘆を感じながら言葉を交わしていると、アイリスを抱き抱えたミリアリアが茹で蛸の様に真っ赤になりながら2人の所へと到着し、ミリアリア程では無いものの頬を赤らめさせているアイリスは敬礼しようとする2人を制した後に口を開いた。

「……現在の所進捗状態は良好よ、間も無く進発して貰う事になるわ」

「はい、お任せ下さいアイリス様」

アイリスに話しかけられたミランダは力強く、しかし気負う事無く返答し、アイリスは頷いた後にカッツバッハに視線を向けて口を開いた。

「……何か言わなくて良いの?」

「へ?」

アイリスに問いかけられたカッツバッハは唐突な質問に思わず間の抜けた反応をしてしまい、それを目にしたアイリスは悪戯っぽく微笑みながら口を開く。

「……まあ良いわ、今から出撃前の訓示をするからそれが終わるまでに考えて置きなさい、自分がどうしたいかを」

「あ、アイリス様」

アイリスの言葉を受けたカッツバッハは頬を仄かに赤らめながら口ごもってしまい、それを目にしたアイリスはカッツバッハに向けてウィンクした後にカッツバッハと同じ様に頬を赤らめさせたミランダに命じて第三機動打撃群の面々を集合させた。

第三機動打撃群の面々が集合して整列したのを確認したアイリスは名残惜しげな表情でミリアリアに降ろす様に伝え、真っ赤な顔で頷いたミリアリアが少し名残惜しげな様子でアイリスを降ろすとアイリスは整列した第三機動打撃群の面々を見渡しながら口を開いた。

「第一機動打撃群、第二機動打撃群は既に出撃して所定の配置場所に向けて前進しているわ、次は貴女達第三機動打撃群の番よ、貴女達の標的は敵の主力部隊である陣営再建部隊よ、連中は東西南北に外哨拠点を設営して増強された中隊規模の部隊が展開しているわ、貴女達には最もダンジョンに近い西の外哨拠点に全力で襲撃をしかけて貰いあたし達作戦機動群の攻撃を支援して貰うわ、激戦が予想されるけど必ず皆で生還しなさい、貴女達の健闘と凱旋を期待しているわ」

「敬礼!!」

アイリスが訓示を終えるとミランダの号令により第三機動打撃群の面々は流麗な動作で敬礼を送り、アイリスが少しぎこちない動きで答礼すると素早く出撃の準備を整え始めた。

「……それで、貴女はどうしたいのかしら?」

アイリスは出撃準備を整える第三機動打撃群の面々を見ながらカッツバッハに声をかけ、それを受けたカッツバッハは暫し無言でいた後に深々とアイリスに一礼しながら口を開いた。

「ありがとうございます。アイリス様」

「あたしは自分がやりたいように振る舞っただけよ、さあ、さっさと行って来ないと出撃しちゃうわよ」

カッツバッハの感謝の言葉を受けたアイリスは悪戯っぽく微笑みながら返答し、カッツバッハはもう一度深々と一礼する事で応じた後にアイリスの前を辞して出撃準備を整えているミランダの所に向かった。

「……ミランダ」

「……カッツバッハ」

カッツバッハに呼びかけられたミランダは少し頬を赤らめさせながら応じ、その様子を目にしたカッツバッハは己の頬が熱を帯びるのを自覚しながら言葉を続けた。

「……武運と凱旋を祈っている」

「……ええ、ありがとうカッツバッハ」

カッツバッハから激励の言葉を受けたミランダははにかみながらそれに応じ、その姿を目にしたカッツバッハは笹穂耳まで真っ赤になりながらミランダに近付いてその身体を力強く抱き締めた。

「か、カッツ……バッハッ!?」

「……ミランダ、必ず戻って来てくれっ!!」

ミランダがカッツバッハの突然の抱擁に頬を赤らめながら驚きの声をあげているとカッツバッハはミランダの身体を抱き締めつつ語りかけ、それを受けたミランダはその言葉を噛み締める様に頷いた後にカッツバッハの背中に手を廻して抱き締め返しながら口を開いた。

「……ありがとう、カッツバッハ、必ず皆で戻って来るわ、戻って来れたなら、私の部屋に来てくれる?」

「……ッ!?わ、分かった、か、必ず行く……て……あっ」

ミランダの誘いの言葉を受けたカッツバッハは真っ赤な顔で返答した後に現在の状況を思い出してしまい、真っ赤な顔で周囲を見渡して第三機動打撃群の面々が頬を赤らめさせたまま殊更に淡々と出撃準備を整えているのを目にした真っ赤な顔で絶句してしまった。

「フフフ、中々良かったわよ、さあ、そろそろ作戦機動群の所に戻りましょう?」

「……へ?……あ、ああ、はい、そ、そ、そうですね」

真っ赤な顔で絶句していたカッツバッハはアイリスに声をかけられて慌てて返事をした後に名残惜しげな様子でミランダから離れた後にミランダに頷きかけ、ミランダははにかみながら頷き返した後に踵を返して出撃準備を整えている第三機動打撃群の所へと移動した。

ミランダが第三機動打撃群の所に到着するのと相前後する形で第三機動打撃群に配属された大型モンスター部隊が出現し、それから数拍の間を置いた後に第三機動打撃群が前進を開始した。

「……さてと、それじゃあ作戦機動群の所に行きましょう?」

「……あ、ああ、そうだな」

アイリスが暫く前進する第三機動打撃群を見送った後にニコニコしながら傍らのミリアリアに声をかけると、ミリアリアは真っ赤な顔で応じながらアイリスに近付いてアイリスの身体を抱え上げ、アイリスが嬉しそうに笑いつつ甘える様にミリアリアにもたれかかっているとカッツバッハが真っ赤な顔で声をかけてきた。

「……アイリス様、ありがとうございます」

「あらあら、御礼を言うのはまだ早いわよ、だった大事な大事な勝負はロジナの屑どもを叩きのめして捕虜になってるお仲間さん達を助けた後なんでしょ?健闘を祈ってるわ」

「……ぐっ……ぜ、善処致します」

カッツバッハに声をかけられたアイリスは悪戯っぽく微笑みながら返答し、それを受けたカッツバッハが真っ赤な顔で応じると楽しげに笑って頷きを返した後に彼我の状況が記された地図の魔画像を眼前に具現化させた。

具現化された地図には前進を始めた魔王軍とその標的たるロジナ候国軍と同盟国軍の様子が克明に記されており、アイリスは先程までとは異なる凄惨な笑みを浮かべつつ言葉を続けた。

「いよいよ始まったわね、何も知らず安穏と時を過ごしているとロジナと同盟国の屑どもに地獄を見せてやる時間が」

アイリスの呟きを聞いたミリアリアとカッツバッハは表情を引き締めながら頷き、それを確認したアイリスは凄惨な笑みのまま硫黄龍の収納されたカプセルを取り出した。

「それじゃあ、出撃前に細工をしときましょう、頼むわよ」

アイリスがそう言いながら硫黄龍のカプセルを投じると投じられたカプセルは眩い閃光と共に爆ぜ、閃光が治まると異形の大型モンスターが血塗れの満月の下佇んでいた。

頭頂に存在する緩やかに湾曲した2本の角と鋭い歯が並ぶ口先から伸びる長く太い角に爛々と光る巨大な目と言う容貌に指の代わりに湾曲した鋭い鉤爪が存在する上肢と短目の尾を持つ巨体が印象的な大型モンスター、硫黄龍は血塗れの満月の下咆哮をあげ、アイリスは満足げな笑みで硫黄龍を見詰めながら言葉を続けた。

「この子は地炎龍と同じ様に地底を掘り進む事が出来るのよ、作戦機動群が陣営再建部隊の本拠を直撃する際に連動して地底から襲撃して貰う為に今から出撃して貰うわ」

「……そうか、宜しく頼むぞ硫黄龍」

「……申し訳無いが力をかしてくれ」

アイリスの説明を聞いたミリアリアとカッツバッハが硫黄龍に視線を向けながら声をかけると、硫黄龍はそれに応じる様に咆哮した後に屈み込むと瞬く間に地面を掘り進めて行って姿を消し、アイリスはそれを確認するとミリアリアを見上げながら口を開いた。

「それじゃあ作戦機動群の所まで連れて行って頂戴、ミリア」

「……あ、ああ、分かっている」

アイリスに声をかけられたミリアリアは真っ赤な顔で応じた後にアイリスを抱き抱えたまま歩き始め、カッツバッハは穏やかな笑みを浮かべてその様子を一瞥した後に2人の後に続いた。



第一機動打撃群、第二機動打撃群に続く形で進発を開始した第三機動打撃群、彼女達が目標とするのは魔王軍の主目標でもある陣営再建部隊、そして第三機動打撃群進発を見送った魔王アイリスは作戦機動群出撃に先駆けて新たな使役獣、硫黄龍を出撃させた……


ミリアリア「……なあ、この硫黄龍なんだが」

アイリス「違うわよ、だって九州の温泉採掘現場で背中ボーリングを打ち込まれて目覚めてないもの、だから背中にボーリング装置が無いでしょ」

ミリアリア「いや、本来あれは事故で背中についてた訳で何も無いのが本来の姿じゃないのか?と言うか元ネタ知ってる人いるのか?」


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