戦略会議
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後書きにラインラントの連邦構成国の保有軍備制限表を記載しておきます。
大陸歴438年霧の月二十日・マスタールーム
陣営再建部隊への援軍到着を確認したアイリスは対策を協議する為に三国同盟初の戦略会議を召集し、それをミリアリアから伝えられたヴァイスブルク伯国亡命政権からはマリーカ、アナスタシア、カッツバッハの3名が、リステバルス皇国亡命政権からはアイリーン、クラリス、サララの3名が戦略会議に参加する為に急遽マスタールームへと駆け付けて来た。
マリーカ達とアイリーン達を迎えたアイリスはミリアリアとリリアーナを呼び寄せた後に侍女としてリステバルス皇国亡命政権より派遣されたミナに紅茶と果実を用意させた後にミナを退室させた。
「……さて、それじゃあ始めましょうか、第一回三国同盟戦略会議を」
ミナが退室したのを確認したアイリスは一同を見ながら戦略会議の開催を告げ、皆が頷いたのを確認した後に現在判明しているロジナ候国軍と同盟国軍の展開状況が記された地図の魔画像を皆の前に示しながら言葉を続けた。
「これが現在判明しているロジナ候国軍と同盟国軍の状況よ、現在連中は大きく別けて3つの集団を構成しているわ」
アイリスはそこで言葉を区切ると指示棒を手に取りながら皆を見渡し、全員が頷いたのを確認した後にラステンブルク方面から移動中の部隊を指示棒で示しつつ言葉を続けた。
「この部隊はラステンブルク伯国の猟兵部隊で兵力は約1500程度よ、現在はここで仮寓の準備をしているけど、恐らく陣営を再建中の部隊に合流するみたいね」
「……1500と言う兵力から察するに既に陣営再建部隊と合流を果たしている部隊の親部隊に更に1個猟兵団が参加している様だな、伯国以下の連邦構成国の騎士団は定数が1000名でその他の兵種の部隊は存在していないからな」
アイリスが告げた敵部隊、ラステンブルク伯国軍猟兵部隊の規模を聞いたミリアリアは厳しい顔つきで敵の編成に関する考察を述べ、アイリスは頷いた後にヴァイスブルク方面寄りの部隊を示しながら更に説明を続けた。
「次の部隊はロジナ候国の部隊兵力は約2000、展開している場所から考えて、補給路の防護を目的としているみたいね、部隊は以前説明して貰った魔曲騎士団で騎士団長と副団長みたいな美人の高位騎士が確認されているわ」
「……団長と副団長が確認されている事と兵力が約2000と言う事から考えて第九騎士団の全力出撃ですね、選帝候国の騎士団は2000名が定数ですので、かなりの強敵ですね」
アイリスが告げたヴァイスブルク方面寄りのロジナ候国軍部隊の情報を聞いたカッツバッハは顔をしかめつつ呟き、アイリスは頷いた後に陣営再建部隊の展開する場所を指示棒で指し示しながら説明を続けた。
「最後の部隊は陣営を再建中のロジナ候国軍の部隊よ、ただし、本日約1000名の部隊が援軍として到着したわ、援軍はこの部隊よ」
アイリスは敢えて淡々とした口調で告げた後に到着したキャラガン率いるヴァイスブルク男爵領国軍第二騎士団が映し出された魔画像を提示し、それを目にしたマリーカ、アナスタシア、カッツバッハは込み上げる怒りを堪える様に唇を噛み締めてその画像を凝視した。
「……キャラガンと第七騎士団みたいね」
「……その様ですね、考えてみれば奴等は当事者ですしこの森にも精通しているので援軍には最適な部隊でしたね」
暫く魔画像を凝視していたマリーカが絞り出す様に呟くとアナスタシアが怒りに顔をしかめながら相槌を打ち、それを聞いたアイリスはカッツバッハとミリアリアを交互に見ながら口を開いた。
「コイツって一応は騎士団長だったんでしょ?正直思い出すのも嫌かもしれないけど敵の指揮官がどんな奴なのか知る事ってかなりのアドバンテージになるから申し訳無いけど教えて貰えるかしら?」
「……御配慮感謝致しますアイリス様、ですが御心配は無用です」
「……カッツバッハ殿の言う通りだ、戦闘に先んじて敵の指揮官の事を把握しておくのは論ずるべくも無く有利な事だ、だから遠慮は無用だアイリス」
アイリスの問いかけを受けたカッツバッハとミリアリアはアイリスの配慮に謝意を示しつつ返答し、アイリスが頷く事で応じたのを確認した後にキャラガンに関する情報を述べ始めた。
「……第七騎士団長を務めていたキャラガンは第六騎士団長のゲオルグ・フォン・ポポフと共にアロイス子飼いの騎士で両騎士団にはアロイスの意を汲む物が多く配属されていました。騎士団長の力量としてはそれなりに仕事は出来る奴でしたが、それを台無しにしてしまう程上昇思考が強く戦功に逸り無理な行動を行い勝ちでした」
「カッツバッハ殿やミランダ殿の様な女性の騎士団長に対しては表面上は丁寧に応じていたが内心では見下していた様だな、これはエウレーネから聞いた話だが裏切った後の宴席では彼女達を美貌と身体でその地位を得ていた無能と蔑んでいたそうだ、ダークエルフのミランダ殿に対してはより苛烈な敵意を抱いていた様で捕らわれた際にコイツ等に嬲れ尽くしたそうだ」
「……ミリアリア殿、それは、真ですか」
「……へ?……あ、ああ、間違いないミランダ殿が自ら教えてくれたのだからな」
カッツバッハの説明に続いてミリアリアが憤懣を押さえながら更なる説明を行っているとカッツバッハがスウッと目を細めながら冷たい声で問いかけ、それを聞いたミリアリアがその冷たさに若干引きながらも返答するとカッツバッハは据わりまくった眼で頷いた後に小さく呟きをもらした。
「……素っ首叩き斬ってやる。叩き斬った上に一緒に斬り刻んでやる」
「……あ、アイリス……わ、私はもしかしてマズイ事を言ってしまったのか?」
「……うーん、マズイと言えばマズイけど何とかなるんじゃないかしら、案外良い進展見せるかも知れないし」
カッツバッハの呪詛の呟きを聞いたミリアリアがドン引きしながらアイリスに小声で問いかけるとアイリスは楽しげに微笑みながら返答し、ミリアリアがその答えに戸惑いの表情を浮かべていると一連の流れを見ながら苦笑を浮かべていたマリーカからの目配せを受けたアナスタシアが口を開いた。
「……総評すると能力はそれなりにあるもののその自負心の高さから能力以上の物を求める傾向が強く、昇進の機と見れば無理をしてでも出張ってくると言う輩です。ですので今回の援軍についても積極的に志願した上での行為とみて間違い無いと思われます」
「……成程、参考になるわね、ありがと」
アナスタシアの総評を聞いたアイリスは頷きながら返答し、その後に真剣な眼差しになりながら言葉を続けた。
「……敵の概略については終わりだけどもう一つ続きがあるの、到着したエルフの騎士団はライトアーマーを着せて兵士に偽装させた彼女達を陣営まで連行して来たの」
アイリスはそう言いながら牢屋に連行されて行く扇情的な下着姿の女エルフ達と狐人族の女性達の映像を表示させ、それを目にしたミリアリア達が声にならない声をあげながら思わず席を立ち上がる中、アイリスはあえて淡々とした口調で説明を続けた。
「五月蝿い上役の目を欺く為に態々兵士に偽装してつれて来たのよ、彼女達をどうする気なのかなんて……考える必要は無いでしょ」
アイリスの告げた言葉を受けた一同は唇を噛み締めながら頷き、それを確認したアイリスはよろめく足取りで歩むエメラーダとイレーナを凝視しているアイリーン達に向けて問いかけた。
「……その反応を見る限り、その2人が誰だか知ってるみたいね、結構高位の女なのかしら?」
「はい、前を進んでいるのはエメラーダ・ド・トラジメーノ様で私の一年先輩に当たる御方ですわ、トラジメーノ侯爵家の御令嬢でもあり兄リチャードとは婚約もしておりましたが兄より一方的に婚約を破棄されてしまいました。リステバルス戦役の際に御落命されたと伺っておりましたのですが、この様な目に……お優しく聡明で将来の国母として相応しい御方で、私自身お義姉様と呼べる日を楽しみにしておりましたのに……お痛わしい限りですわ」
「エメラーダ様の後方を進んでいるのはエメラーダ様の護衛騎士のイレーナ・ド・カンネー殿です、イレーナ殿は私の1年先輩に当たる方でエメラーダ様とは幼馴染みの関係でありましたのでエメラーダ様の護衛騎士となる事を希望し実力にてその地位を勝ち取られました。その実力と騎士としての高潔な矜持等、私にとって目標となる方でした」
「クラリスの言う通りです。イレーナは己の実力で皇太子妃候補のエメラーダ様の護衛騎士の座を勝ち取った高潔な騎士です。その実力人柄共に申し分の無い騎士です、ですから今の彼女の心境を慮ると屑どもへの怒りを禁じ得ません」
アイリーン達は溢れそうになる怒りを懸命に抑えながらエメラーダとイレーナの事をアイリスに説明し、それを受けたアイリスは暫し沈黙した後に静かな口調で告げた。
「現在あたし達三国同盟が取り得る方策は2つあるわ、1つは集結しつつある敵との無用な衝突を避けて適度に狩猟と採取を続けつつこのダンジョンに引きこもる事、あたし達は少人数で使い魔達にも警戒させるから敵に見付かる可能性は少ないわ、だからダンジョンが発見されるまで食糧の備蓄が出来るし、発見された場合に備えてダンジョン内での自給自足態勢も整える事が出来るわ、敵は大軍を陣営に張り付け続けなきゃならないからその部隊を遊兵化出来るし補給面でそれなりの負担を強いる事も出来る、比較的安全な方策で守勢防御、と言った所かしら」
アイリスから守勢防御の提案と説明を受けた一同はその策の安全性と陣営に収監されている同胞を見捨てると言う呵責に複雑な表情を浮かべ、アイリスはそれを見ながら静かな口調で2つ目の方策を告げた。
「もう1つの方策は敵が完全に合流を果たす前に敵に攻撃をしかけ、捕虜を救出しつつ可能な限り敵に打撃を与える事よ、敵の陣営は前回に比べて格段に強化されて最初の案に比べて危険性は高いけど、前回の陣営襲撃や魔龍討伐隊の殲滅に追加の大型モンスターのテイム、そして三国同盟の締結等によってあたし達の戦力は大幅にが増強されているから無謀とは言い切れないわ、上手くいけば捕虜を救出した上に敵に新たな打撃を与える事が出来るわ、敵は損害の補填等に追われる事になるからあたし達はその間にダンジョンを強化する事が出来る。差し詰め攻勢防御、と言う所かしら」
アイリスからもう1つの方策である攻勢防御に関する説明を受けた一同は規格外の能力を誇るアイリスの助勢があるとは言え総勢で100名にすら遠く足りない僅少な戦力で総勢で10000前後に達する敵部隊に攻勢を仕掛けると言う危険性と捕虜となった同胞を救出出来るかも知れないと言う希望の板挟みに難しい顔つきになってしまい、その様子を目にしたアイリスは表情を穏やかにさせた後にマリーカとアイリーンを交互に見ながら言葉を続けた。
「……どちらの方策を取るべきか、両国の意見を聞かせて頂戴、勿論意見を集約させる時間を設けるから話し合って頂戴」
アイリスの言葉を受けたマリーカとアイリーンは難しい顔付きで頷き、アイリスはそれを確認した後に紅茶のカップを手に取り、ミリアリアとリリアーナを促して席を外して応接セットの方へと移動して口を開いた。
「……こっちも意見を集約させる必要があるわ、貴女達の意見も聞かせて頂戴」
アイリスは紅茶を一口含んで喉を湿した後にミリアリアとリリアーナに問いかけ、それを受けたミリアリアとリリアーナは難しい顔つきのまま口を開いた。
「……個人的には救えるならば虜囚となった戦友達や狐人族の女性達を救いたいし、ロジナの屑どもは売国奴どもも叩きたい、だが、今回の敵の規模は過去の襲撃の際とは段違いだ……それに戦いの際はアイリスに大きな負担をかける事にもなる、だから、アイリスには無理をさせたく無い」
「……エメラーダ様やイレーナ様の事を良く知っている身ですから本音を言えば救出して頂きたいです、ですがミリアリア様が仰有る様に戦いに際してはアイリス様への負担が大きくなってしまいます、マスターたるアイリス様にそこまで甘えてしまうのは眷族として申し訳無さ過ぎだと思います」
アイリスの問いを受けたミリアリアとリリアーナは同胞の救出への期待とアイリスへの負担増加に関する申し訳無さがせめぎ合っている現在の心情を正直に告げ、それを聞いたアイリスは嬉しそうに微笑みながら口を開いた。
「……貴女達エルフや狐人族ってやっぱり義理堅いのね、魔王のあたしへの負担なんて気にせずこき使えば良いのに、でも、嬉しいわ、ありがとう」
アイリスは嬉しそうに微笑いながら告げ、その後にその笑みを魔王に相応しい不敵な物へと変えながら宣言した。
「……でも心配する必要は無いわ、あたしは魔王、魔王アイリスよ、これから行う襲撃等大した負担にはならないわ、それに引きこもるのも悪くないけど今は暴れたい気分なの、だから今回あたしの意思は明確よ、出撃しロジナ候国軍と同盟国軍を叩き捕虜となっている貴女達の仲間を救出する。それがあたしの意思であり魔王としての意見になるわ」
「……アイリス」
「……アイリス様」
アイリスは不敵な笑みと共に魔王としての方針を宣言し、ミリアリアとアイリスが万感の思いと共にアイリスの名を呟いたのに大して穏やかな笑顔で頷いた後に視線をマリーカ達とアイリーン達の方へと向けた。
アイリスの視線に気付いたマリーカ達とアイリーン達は難しい顔つきながらも大きく頷き、それを確認したアイリスは紅茶を飲み干した後に空のカップを置いてミリアリアとリリアーナと共にテーブルへと向かった。
「……決まったみたいね、教えて頂戴」
椅子に座ったアイリスはマリーカとアイリーンを交互に見ながら両者の意思を問いかけ、最初にマリーカが一礼した後に口を開いた。
「ヴァイスブルク伯国亡命政権としては……守勢防御を提案致します、アイリス様が捕虜となった者達の救出を方策として提案して下さったと言う事に関して御礼の言い様も無い程感謝しております。ですが展開しているロジナ候国軍と同盟国軍の規模を考えるならば攻勢防御は困難であると言わざるを得ません。ですからヴァイスブルク伯国亡命政権としては守勢防御を進言致します。そして救出を提案して下さったアイリス様に深く御礼申し上げます」
微かに表情を強張らせたマリーカは途中言葉に詰まりながらも守勢防御の選択とアイリスの献策への感謝を告げて深々と一礼し、それに続いてアイリーンが一礼した後に口を開いた。
「我がリステバルス皇国亡命政権も守勢防御を進言致しますわ、アイリス様より頂きましたエメラーダ様をはじめとした皆の救出を含めた攻勢防御の提案、深く感謝させて頂きますわ、ですが先刻マリーカ様が仰った様に過去に比して敵の規模は巨大な物であり、危険性は高いと判断せざるを得ませんわ、アイリス様の提案に深く感謝致しつつも今回取るべき方針としましては守勢防御を進言致しますわ」
アイリーンもマリーカと同じ様に少し表情を強張らせながらもアイリスへの感謝と守勢防御の方針を告げ、それを聞いたアイリスは穏やかな表情で両者を見ながら口を開いた。
「……常々言ってるけど貴女達エルフも狐人族も義理堅いのね、あたしはミリアに喜んで貰えるなら何でもするから、遠慮なんかせず魔王のあたしを利用すれば良いのに、でも、貴女達の進言は確かに受け取らせて貰うわね」
アイリスの言葉を聞いたマリーカとアイリーンは表情を強張らせたまま頷き、それを確認したアイリスは茶目っ気のある笑みと共に更に言葉を続けた。
「……でも覚えているわよね、軍事、外交に関しての最終的な意思決定権はあたしにあると言う事を両国の意見は受け取ったし頷くべき所もあるけど、今回あたし達三国同盟が取る方策は攻勢防御よ」
「「……っ!?」」
アイリスから告げられた攻勢防御選択の言葉を聞いたマリーカ達とアイリーン達は思わず息を呑み、アイリスは穏やかな表情でそれを見詰めながら言葉を続けた。
「……ミリアやリリアーナにはもう伝えたけどこの程度の軍勢への襲撃なら大した負担にはならないわ、それに敵を叩けば叩く程、スケルトンやボーンウォーリアー等のアンデッド部隊の戦力を拡充出来るから攻撃する意味も大きいわ、それに貴女達に狩猟や採取をしてもらってる間に使い魔達を使って追加の大型モンスターもテイムしておいたからこっちの戦力も向上しているわ、だからあたし達三国同盟が取るべき方針は攻勢防御よ、進言したくれた両国には申し訳無いけどこれは魔王アイリスとしての意思表明になるわ」
「……ありがとうございます。アイリス様」
「……度重なる配慮の数々、御礼の申し様もございませんわ」
アイリスの宣言を聞いたマリーカとアイリーンは感謝の言葉と共に深々と頭を垂れ、アイリスは頷く事でそれに応じた後に言葉を続けた。
「……以上で三国同盟戦略会議は終了するわ、作戦計画については三時間後に全員参加で行われる作戦会議にて発表するから皆にはそれまでに食事や入浴を済ませておくよう伝えて頂戴」
アイリスの言葉を受けたマリーカとアイリーンは頷いた後に随員達と共に退室し、アイリスはそれを見送った後にミリアリアとリリアーナに向けて口を開いた。
「……あたし達も食事や入浴を済ませなきゃいけないけどその前に襲撃計画の策定をしましょう、リリアーナは命令書の草案作製をお願い」
「……承知した」
「……畏まりました、アイリス様」
アイリスの言葉を受けたミリアリアとリリアーナは即座に返答し、アイリスが頷いているとミリアリアが穏やかに微笑みながら口を開いた。
「……ありがとう、アイリス」
「ミリアは相変わらずね、嬉しいけど……御礼にギュッとしてくれる?」
「……なっ!?」
ミリアリアの感謝の言葉を受けたアイリスは嬉しそうに応じた後に頬を赤らめながら報酬を要求し、ミリアリアは一瞬で笹穂耳まで真っ赤になりながら言葉に詰まった後にぎこちない手つきでアイリスの身体を抱き締めた。
「……ほ、他には無いのか?」
「……作戦計画を策定したら抱っこして浴室まで運んでくれる?」
「……ぐっ、お、お安い御用だ」
ミリアリアがアイリスを抱き締めながら問いかけるとアイリスは嬉しそうにニコニコしながら新たな報酬を要求し、リリアーナはニマニマしながらそんな2人のやり取りを見守っていた。
ロジナ候国軍と同盟国軍の戦力増強に対する方策を協議する為にアイリスが召集した三国同盟戦略会議、同会議に参加したヴァイスブルク伯国亡命政権首班マリーカとリステバルス皇国亡命政権女皇アイリーンは虜囚となっている同胞を案じながらも守勢防御を提案し、それに対してアイリスは両国の立場に理解を示した後に捕虜の救出と敵戦力の出血強要を行う為の攻勢防御の方策を採用する事を決した……
ラインラント君主連邦帝国連邦構成国保有軍備一覧
子爵領国
3個騎士団(定数1000名・4個中隊制で1個中隊250名が騎乗騎士・男爵領国、伯国共に編成は同一)
男爵領国
5個騎士団
伯国
10個騎士団
候国
15個騎士団(定数1600名・2個大隊編成で1個大隊800名が騎乗騎士)
補助戦力
10個軽装歩兵大隊(定数1000名・4個中隊編成)
3個軽騎兵大隊(同上)
3個魔導兵大隊(同上)
3個弩砲兵大隊(同上)
選帝候国
3個近衛騎士団(定数3000名・3個大隊編成、2個大隊2000名が騎乗騎士・ラインラント皇帝出征の際は近衛軍団に配属される)
20個騎士団(定数2000名・2個大隊編成、1個大隊1000名が騎乗騎士)
補助戦力
20個軽装歩兵大隊
5個軽騎兵大隊
5個魔導兵大隊
5個弩砲兵大隊
5個工兵大隊(定数1000名4個中隊編成)
5個重弩砲兵大隊(同上)
公国
15個近衛騎士団(皇帝出征時は選帝候国の近衛騎士団と共に近衛軍団を構成)
2個天馬騎士団(定数800名・総員天馬に騎乗)
3個翼龍騎士団(定数800名・総員翼龍騎乗)
補助戦力
選帝候国と同一