表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
52/161

膝枕

節目の数字となる55000PVカウントを突破しました、今後も本作を応援宜しくお願い致します。


ダンジョンルーム


翌日の戦いにそなえミリアリア達に渡す装備を製作した後に微睡んでしまった魔王アイリス、狩猟(正確にはほぼ漁獲)と採取を終えダンジョンルームを訪れたミリアリアはアイリスの隣に座り微睡むアイリスを優しく抱き寄せていた。

「……ンッ……ンンッ」

鞘に納められた軍刀をしっかりと抱き締て微睡むアイリスはミリアリアの腕の中で時折悩ましい寝息をたてながら身動ぎし、ミリアリアは悩ましげな寝息とアイリスの魅惑的に肢体の感触と心地好い温もりに頬を赤らめていた。

(……あ、温かくて、や、柔らかい、そ、それに甘くて良い匂いがって、何を考えてるんだ私、か、彼女はわ、私達の為に尽力してくれているのに、そ、そんな破廉恥な事を、と、とにかく今は彼女にゆっくり休んで貰わないと)

ミリアリアがアイリスの柔らかな感触と温もりと甘い香りに漫ろになりがちの己に喝を入れながら安らかな寝息をたてるアイリスの肩を抱いているとアイリスが大きく身動ぎを始め、それを目にしたミリアリアが思わず身体を硬直させているとアイリスの瞼がゆっくりと開かれ寝起きでぼんやりとした淡い瑠璃色の瞳が姿を現した。

「……んふあっ……寝ちゃってたみた」

小さく欠伸をしながらぼんやりと呟いていたアイリスだったが、目の前にミリアリアが居る事に気付いて絶句してしまい、ミリアリアは滅多に見られないアイリスの呆気に取られた表情に新鮮な物を感じながらも申し訳無さそうに口を開いた。

「……そ、その、すまない、は、入ったら寝てたから、お、起こすのも悪いかと思って」

「……そ、そうだったの、ご、ごめんなさい、気を遣わせちゃって」

ミリアリアの謝罪を受けたアイリスは頬を赤らめながら謝罪を返し、その後に自分がミリアリアにもたれかかっている事に気付くと更に頬を赤らめながら謝罪を重ねた。

「……ご、ごめんなさい、あ、あたしあまり寝相良く無くて」

「……い、いや、だ、大丈夫だ?」

アイリスの更なる謝罪を受けたミリアリアは慌てて応じながらアイリスの肩から手を離し、その後にマスタールームの床に並べられた大量の防具や武器を見ながらアイリスに問いかけた。

「……そ、それよりこの大量の防具や武器は貴女が?」

「……ええ、今度の相手は強敵みたいだから装備の強化が必要だと思ったの、幸い同盟者フェデラートゥスの魔龍がこのダンジョンに引っ越して来た時にくれた鱗が大量にあったからあたしの魔力を付与してからそれを精錬して作ったの」

ミリアリアの問いかけを受けたアイリスは誇らしげに微笑みながら返答し、それを聞いたミリアリアは驚きの表情を浮かべて口を開いた。

「……魔龍の鱗に魔力を付与して精錬しただと、そ、そんな事をしたら尋常じゃない量の魔力を消費した筈、だ、大丈夫、なのか?」

驚き呟いていたミリアリアはその途中から心配そうな面持ちになりながらアイリスに問いかけ、アイリス自分を案じてくれるミリアリアの言葉に嬉しそうに微笑んで頷いた後に言葉を発した。

「……ふふ、ありがとう、流石にちょっと疲れちゃったから居眠りしちゃったけど大丈夫よ」

アイリスはそう言いながら立ち上がるとしっかりと抱き締めていた鞘に収められた軍刀をミリアリアに向けて差し出し、ミリアリアが姿勢を正してそれを受け取るとアイリスは目を細めながら言葉を続けた。

「……その剣は龍軍刀ドラゴンサーベルよ銘はフレイヤ、この部屋にある中で一番最初に作った剣よ、貴女に受け取って欲しいの」

「……抜いても構わないか」

ミリアリアはアイリスの言葉と笑みをしっかりと噛み締めながら問いかけ、アイリスがニコニコしながら頷いたのを確認するとゆっくりと軍刀、龍軍刀フレイヤを鞘から抜き放った。

澄んだ鞘走りの音と共に抜き放たれたフレイヤの刀身は滑らかな白銀の光沢を放っており、ミリアリアは一瞥しただけでも瞭然なその出来栄えに感嘆しながら手にしたフレイヤを軽く振るった。

フレイヤはミリアリアの軽やかな動きに合わせて鮮やかな剣跡を描き、ミリアリアはその出来栄えから推し量れるアイリスの尽力を噛み締めながらフレイヤを鞘に収めるとミリアリアの流麗な身のこなしに見惚れていたアイリスに向けて深々と一礼しながら口を開いた。

「……素晴らしい出来栄えだ、まるで何十年も扱っていたかの様に手に馴染む、これほどの業物、滅多にお目にかかれないだろう、本当にありがとう、私は本当に貴女に貰ってばかりだ」

「……もう、あたしは魔王として好き勝手やってるだけよ、そんなに手放しで褒められた、申し訳無いわよ……凄く、嬉しいけど」

ミリアリアの感謝の言葉を受けたアイリスは苦笑しながら応じていたが、言葉の最後では顔が嬉しそう綻んでおり、ミリアリアがそのあどけないとさえ言える笑顔にどきまぎしていると、アイリスは床に並べられた防具や武器を示しながら口を開いた。

「ここにならんでいるのは他の達の装備よ、一番気合いを入れて作ったのは貴女に渡す装備だけど、他についても手なんて抜いてないから安心してね」

「……その点についてなら心配等していない、貴女はそんなひとでは無い事は百も承知だ、貴女にそんな疑いを持つ事は、貴女に対する侮辱だ」

アイリスの言葉を聞いたミリアリアは穏やかに微笑みながら言葉を返し、それを受けたアイリスの頬が仄かな朱を帯びた。

「……っもう、今日は何時もと勝手が違うわね、貴女にドキドキさせられっ放し……全然嫌じゃ無いけど」

アイリスは仄かな朱に染まった表情を柔らかく緩めながらミリアリアに告げ、ミリアリアの方も何時もと違うアイリスの反応に頬を赤らめながら口を開いた。

「……つ、疲れたんじゃ無いか?そ、傍にいてやるから、し、暫く休んだらどうだ」

「……ありがとう、確かにちょっと疲れちゃったわね、お言葉に甘えちゃうわね」

ミリアリアの言葉を聞いたアイリスは嬉しそうに返答しながらソファーに腰を降ろすとニコニコしながら自分の傍らのソファーをポンポンと叩き、それを目にしたミリアリアが笹穂耳まで赤くさせながら頷いた後にそこに腰を降ろすと、アイリスが遠慮がちに声をかけてきた。

「……さ、さっきみたいにもたれても良いかしら?」

「……あ、貴女は魔王なんだ、え、遠慮するな」

アイリスの要望を聞いたミリアリアは真っ赤な顔でそれを受け入れ、アイリスは嬉しそうに微笑みながらミリアリアにもたれかかった。

ミリアリアはもたれかかってくるアイリスの魅惑的な肢体の柔らかさと温もりに真っ赤になりながらアイリスの肩を躊躇いつつ、それでもしっかりとかき抱き、アイリスは甘える様にミリアリアにしなだれかかりながら口を開いた。

「……ホントに今日はどうしたの?ドキドキさせられっ放し、凄く嬉しいけど」

「……き、気にするな、こ、これくらいで喜んでくれるなら、その、や、易い物だ」

(……私だってドキドキさせられ放しだ、貴女の嬉しそうな笑顔や何時もは見れない珍しい表情の連続に、そう言ったら貴女が喜んでくれると分かってはいる、だが、ま、まだ言えそうに無い、だ、だから、せめてこうやって貴女を喜ばせたい、と、言うか、今はこれで精一杯だ、す、すまない)

ミリアリアはアイリスの言葉に応じながら胸中で詫びていたが、アイリスは何時に無く積極的なミリアリアの行動に大満足でミリアリアにもたれかかっていたが不意に小さく欠伸をしてしまった。

「……ふぁ……っご、ごめんなさい」

「……あ、いや、き、気にするな、こ、これだけ魔力を消耗しているだ、や、休んだ方が良い、わ、私が起こしてやるから、す、少し眠ったら、どうだ?」

欠伸をしてしまったアイリスが頬を赤らめながら謝罪するとミリアリアは少し慌てながら睡眠を進め、それを受けたアイリスは頬を赤らめさせたまま暫し沈黙し、その後に恥ずかしそうに問いかけてきた。

「……膝枕、して、くれる?」

「……っ!?」

アイリスの恥ずかしげな口調の問いかけを受けたミリアリアが真っ赤になって答えに詰まると、アイリスは仄かに頬を赤らめさせたままミリアリアを見詰め、ミリアリアは笹穂耳までも真っ赤になりながら掠れ気味の声を返した。

「……も、勿論だ、え、遠慮無く、わ、私の膝を、つ、使ってくれ」

ミリアリアが掠れ気味の声でアイリスの要望を受諾すると、アイリスは小さくコクンッと頷いた後にミリアリアの膝を枕に仰向けになり、ミリアリアはアイリスの顔で扇情的な装いによって存在を強調された魅惑の谷間を形成する豊かな双丘を真っ赤な顔で見下ろしながら口を開いた。

「……だ、大丈夫か、わ、私の膝は鍛えてばかりだから、か、硬いぞ」

「……そんな事無いわよ、確かに鍛えられて引き締まってるけど、しっかり柔らかくてとても気持ち良いわ、それじゃあ、おやすみなさい、疲れたら遠慮しないで、直ぐに起こして頂戴ね」

ミリアリアの懸念の言葉を受けたアイリスは愛しげにミリアリアの真っ赤になった顔を見上げながら返答し、ミリアリアが頷く事で応じると嬉しそうに微笑んだ後にゆっくりと瞼を閉ざした。

アイリスは瞼を閉ざして暫くした後に安らかな寝息をたて始め、ミリアリアは真っ赤な顔で自分の膝を枕に眠り始めたアイリスの寝顔を見詰めた。

(……貴女は魔王、古の眠りから覚めし異例の女魔王、アイリス、規格外の貴女の力なら私の心も身体も容易く支配する事が出来る筈なのに、貴女はそうする代わりに私を助け、そればかりでは無く戦友達の救出にまで尽力してくれている、そして、今回用意してくれた夥しい量の一級品揃いの防具や武器、貴女は魔王が好き勝手にやっているんだから気にするなと言ってくれるが、それでも私は貴女に貰い過ぎているな)

「……おやすみ、アイリス、ゆっくり休んでくれ」

ミリアリアはこれまでのアイリスの尽力に想いを馳せながらアイリスに語りかけ、ミリアリアから初めて直接名を呼ばれたアイリスの寝顔はそれが聞こえたかの様に安らかで幸せそうであった。



来るべき騎士団との戦いに備えミリアリア達の装備を精錬したアイリス、用意された装備の数々は一級品揃いであったが、それらの品々を精錬する為に大量に魔力を消費したアイリスは流石に疲労しており、ミリアリアは休息して貰う為にアイリスの求めに応じて膝枕を行った……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ