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地下要塞

500PVアクセスならびに150ユニークアクセス突破しました、作者の趣味と欲望に溢れた作品ですが、これからも宜しくお願いします。

ダンジョン・マスタールーム


アイリスが接近するロジナ候国軍の残党狩部隊からミリアリアを護る為に洞窟から造り換えたダンジョン、アイリスはミリアリアを連れてダンジョンの最深部に存在するマスタールームへと移動した。

アイリスとミリアリアが部屋の前に到着するとマスタールームの扉は自動的に開いて主達を迎え入れ、入室した2人の目の前にはゆったりとした造りのクイーンサイズのベッドや応接セットが配置された心地好く寛げそうな雰囲気の光景が広がっていた。

「疲れているでしょ、ソファーに座って気兼ね無く寛いで頂戴」

「……あ、ああ」

目の前に広がる光景に呆気に取られたミリアリアはアイリスの言葉に生返事を返しながら促されるままにソファーに腰を降ろし、それを確認したアイリスは楽しげに微笑みつつミリアリアの隣に腰を降ろした。

「飲物くらい出したいけど急拵えで造ったダンジョンだから水や食料は備蓄出来ていないの、接近してる愚か者どもを殲滅したら使い魔を使って水や食料を集めさせるから少しの間我慢してね」

「あ、いや、気にしなくて構わない、これでも騎士の端くれだ、一日、二日くらい食べられずともって、違うっ!!」

アイリスののんびりとした言葉を受けたミリアリアはつられてそれに応じていたが途中で我に帰ると慌てて自分自身に渇(一人ツッコミとも言う)を入れ、その後に呆気に取られた表情で目の前に広がる寛ぎ空間を見ながら言葉を続けた。

「ここは、本当にダンジョンなのか?」

「ええ、あたしが洞窟から造り換えたダンジョンよ、急拵えで造ったダンジョンだから5階層しか無いけれど」

「って5階層もあるのかっこのダンジョンッ!?」

ミリアリアの半ば独り言に近い呟きに対してアイリスから返された答えを受けたミリアリアはその内容に再び驚きの声をあげ、アイリスは不満気な表情で頷きながら言葉を続けた。

「やっぱり寝起きで本調子じゃ無いみたいね、いくら急拵えで造ったダンジョンとは言え、10階層くらいは出来ると思ったんだけどその半分程度だったわ」

「……そ、そうなのか、ざ、残念だな」

アイリスの言葉を聞いたミリアリアは余りに規格外な話の内容に若干ヒキ気味になりながら声をかけ、アイリスは気を取り直す様に大きく頷いた後に言葉を続けた。

「まあ、5階層しか無いし、モンスターや罠の配置も甘めだけど接近している連中程度じゃ易々とここまで来れるとは思えないし、縦しんば来れたとしても消耗してる筈よ、だから貴女は少し寛いで身体を休めていれば良いわ」

「……あ、ああ、すまない、そうさせて貰うつもりだ」

アイリスの言葉を受けたミリアリアは頷きながら応じ、それから暫く思案した後に恐る恐るアイリスに問いかけた。

「……因みにだが、各階層のモンスターや罠の配置状況はこちらで確認出来るのか?」

「そうよね、魔王のあたしに安心しろなんて言われても不安よね、モンスターの配置は概略になるけど確認出来るわ」

(不安と言うよりはどれだけエグいダンジョンにしてるか恐ろしいから聞いたんだが)

ミリアリアの言葉を受けたアイリスは微笑みながら返答すると目の前の応接テーブルにダンジョンの図面を表示させ、ミリアリアが内心で呟きながら図面に視線を落とすとアイリスがしなやかな指先で第1階層の部分を指しながら言葉を続けた。

「第1階層は基本的には1本道よ、途中1ヶ所だけ三叉路があって外れ道2つは行き止まりになってそこに毒矢の罠と釣り天井が仕込まれてるわ、配置されてるモンスターはスケルトン、ボーンウォーリアー、ボーンウルフで第2階層への入口は死霊騎士が守っているわ、宝箱は全部で5つ、4つがミミックで残る1つには麻痺の呪いとモンスター寄せの呪いを仕込んだ普通の槍が入ってるわ」

「……え、エグいな、第1階層でいきなり罠付きの分岐点があり、普通のダンジョンの1階層では出現しないミミックが当たり前の様に出てくる上に、宝箱は当たり無し、しかも第2階層の入口を護っている死霊騎士は普通のダンジョンだと第5階層くらいに配置されてるモンスターだぞ」

アイリスから第1階層の状況を説明されたミリアリアはかなりエグい状況に半ばドン引きしながら呟き、それを聞いたアイリスは誇らしげな笑みを浮かべながら第2階層の説明を始めた。

「どうやら現状の配置でも当座は凌げそうね、次は第2階層の説明よ、第2階層は入って直ぐに道が左右に別れているわ右の道はモンスターがいない代わりに毒矢、釣り天井、巨大トラバサミ、仕込みギロチン、振り子ギロチンなんかが設置されているわ、左の道には罠が無くロックゴーレムやウッドゴーレム、ボーンゴーレムが多数配置されているわ、因みにどちらの道を通っても行き止まりで行き止まりの壁の中に隠されたボタンを探し出し、それを押した上で第2階層の入口に戻るとそこから第3階層への階段と守護者のアイアンゴーレムがいる部屋に転移させられる仕組みよ、押すボタンは左右どちらかのボタンで構わないし、勿論両方のボタンを押しても大丈夫よ、ちなみにアイアンゴーレムのいる部屋に転移させられたらそれを倒さない限り戻れないわ」

「……苦労して進んだ挙げ句が行き止まり、ボタンを探し出して押しても何も起こらず、傷心で帰ろうとしたらボス部屋に強制転移された上に強制戦闘……トラウマになりそうな階層だな」

アイリスの説明を聞いたミリアリアは半ば呆れながら感想をのべ、アイリスは満足気に頷きながら第3階層以降の説明を続けた。

第3階層はフロア全体が木々を生やした密林となっており鎌が毒刃の巨大蟷螂のポイズンマンティスや巨大な毒蜂グロスヴェスパ、毒鱗粉を撒き散らすポイズンモスと言った毒虫のモンスターと飲むと毒に侵される毒泉が至る所に存在する毒に満ちた密林となっている、宝箱は全部で12個存在するがその全てがミミックであり、しかもミミックまで毒牙や毒魔法を備えていると言う徹底ぶりである。

毒に侵されながら進んだ末に漸く到着する第4階層への階段は巨大な百足、鬼百足と巨大な蠍、グロススコルピオンによって守備されており、更に戦闘エリアが特に区切られていない為にそれら戦っている最中にもポイズンマンティス等の襲撃を受ける事となる。

そうして進んだ末に到着した第4階層は一本道であるがその両側には無数の鎧が鎮座しており、その鎧は侵入者が進む度にリビングメイルと化して消耗した侵入者に襲いかかり、消耗しつつそれを排除した侵入者が第5階層に続く階段の所に到着すると階段を守護するデュラハンと10体のリビングメイルの迎撃を受ける事になる。

10体のリビングメイルは攻撃を受け倒されても直ぐにデュラハンの魔力によって復活してしまい、侵入者は倒しても倒しても復活してくるリビングメイルを排除しつつデュラハンを倒す事を強いられてしまうのだ。

そうして漸く到着した第5階層、そこを訪れた侵入者は死霊騎士、アイアンゴーレム、鬼百足&グロススコルピオン、デュラハン&リビングメイル×10と言うこれまで戦った階層の守護モンスターが待ち受ける部屋を突破して行き、最後の部屋を突破した末に待ち受けるアイリスの所に到着する事が出来るのだ。

「……なんと言うか、凄まじいな、凄まじくエグいダンジョンだな」

ダンジョンの説明を聞き終えたミリアリアは顔がひきつりかけているのを感じながら感想を述べ、それを聞いたアイリスは涼しげな表情と共に口を開いた。

「貴女の反応を見る限り暫くはこの規模のダンジョンで大丈夫そうね、今近付いて来てる連中を片付けたらロジナ候国やその息のかかった連中は新手を注ぎ込んでくるだろうから、当面はそいつらを返り討ちにしつつ情報を収集して今後の方針を決めしょう」

そう言いながら微笑むアイリスの姿を目にしたミリアリアは、改めてアイリスが自分の為に尽力してくれている事を気づかされ、ミリアリアは深々と一礼しながら口を開いた。

「ありがとう」

「御礼の必要は無いわよ、だってあたしは魔王だもの、魔王として好き勝手に行動した結果がこのダンジョンなのよ、だから貴女は気にする必要なんて無いのよ」

ミリアリアの感謝の言葉を受けたアイリスはくすぐったそうにはにかみながら言葉を返し、その後に悪戯っぽく笑いながら言葉を続けた。

「もし、それでも御礼がしたいっと言うならば、そうねえ膝枕でもして貰いましょうか」

「ひ、膝枕!?」

アイリスの言葉を受けたミリアリアが頬を赤らめながら驚きの声をあげるとアイリスは悪戯っぽく笑いながら頷き、それを目にしたミリアリアは頬を赤らめたまま暫し沈黙し、その後に恥ずかしそうに俯きながら言葉を続けた。

「……その、それは、少し、なんと言うか」

「あらあら、気にしなくて良いわよ、半分は冗談だから」

ミリアリアが恥ずかしげな声でもごもごと告げるとアイリスは笑いながら言葉を返したが、ミリアリアは俯いたまま頭を振るとしどろもどろに言葉を続けた。

「……わ、私は騎士として山野を駆け回る事が多い、だ、だから私の太股は、その、か、固いから膝枕には向かないと思う、そ、それと……その……い、今は戦いと逃走続きで、その……綺麗じゃ無いから……ひ、膝枕とかするなら、ゆ、湯浴みをして綺麗になってからの方が良いと思う……だ、だから、今は、その、少し、無理だ」

笹穂耳まで真っ赤にさせながら恥ずかしそうに告げるミリアリアは俯いたままだった、だから、彼女は見る事が出来なかった、自分と同じ様に耳まで真っ赤になってしまっているアイリスの顔を……

その頃接近していたロジナ候国軍の残党狩部隊は捜索の結果ダンジョンの入口を発見、指揮官は全般の状況を鑑みた結果新規にダンジョンが発生し、標的の高位エルフはそこに逃げ込んだ物と判断し、伝令を出してその事を後方の本隊に報せた後にダンジョンに逃げ込んだと思われる高位エルフを捜索する為に準備を整え始めた。



ミリアリアを追跡していたロジナ候国軍残党狩部隊は遂にその痕跡を掴み、彼女を虜囚とする為、彼女が逃げ込んだ新規発生ダンジョンへと向かった。

勇躍しつつ彼等が向かう事を決意した新規発生ダンジョン、そこは魔王アイリスがミリアリアを護る為に作成した凶悪な地下要塞……

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