惨劇・残党狩部隊中隊編・血刄
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残酷な描写がありますので閲覧は自己責任でお願い致します。
マスタールーム
屈辱の奉仕を強要させられたイライザと生きる盾として進む事を強要されたエリーゼ、2人の窮状はマスタールームに映し出されており、ミリアリアに呼ばれてマスタールームを訪問したライナ達旧第四騎士団所属のエルフ達は怒りにワナワナと身体を震わせていた。
怒りの余りに言葉を喪ったライナ達が見詰めるなか、イライザの屈辱の奉仕が始まり、それと同時にアイリスによってその映像が消去されエリーゼを先頭にダンジョンを進む捜索隊の映像のみが彼女達の眼前に表示された。
「……今はこの連中に集中しましょう」
アイリスが殊更に淡々とした口調で告げた配慮の言葉を受けたライナ達は小さく頭を下げて謝意を示し、アイリスがゆっくりと頷いた後に映像を確認しているとハンナが何かに思い至った表情になりながら躊躇いがちに口を開いた。
「……あの、アイリス様、このダンジョンの宝箱って、ほぼミミックなんですよね」
「……ああ、その点は心配しないで、この屑どもなら盾役に宝箱開けさせるくらいやりかねないから宝箱は全て回収済みよ」
ハンナの懸念の言葉を耳にしたアイリスは得意気に胸を張りながら返答し、その際に谷間が露になった豊かな双丘がユサリッと艶かしく揺れた。
「……そ、そう何ですか、や、やっぱりアイリス様って規格外なんですね、い、色んな意味で」
ハンナはアイリスの答えと艶かしい姿に呆気に取られながら呟き、アイリスは誇らしげな表情で頷いた後に物見遊山の様に気楽な雰囲気で進むダンジョン捜索隊に生ゴミを見る様な冷たい視線を送りながら迎撃の手筈を整え始めた。
ダンジョン捜索隊
人気の無いダンジョンをのんびりと進む捜索隊、エリーゼは腰に貼り付く下着と呼ぶのも烏滸がましい薄布とブーツだと言う姿で先頭を歩かされ、捜索隊の軽装歩兵や魔導士達は歩く度に揺れるエリーゼの引き締まった臀部に好色の視線を向けていた。
(……ホントに最低)
エリーゼが突き刺さる好色の視線に唇を噛み締めながら歩いていると此方に向けて近付いてくる足音がエリーゼの鼓膜を揺さぶり、それを耳にしたエリーゼが込み上げて来る怒りを堪える為に奥歯を噛み締めているとあどけない顔付きをした小柄な魔導士が近付き声をかけてきた。
「……エリーゼお姉さん、気になってるんじゃないんですか?イライザお姉さんの事」
(……こいっつ!?)
小柄な魔導士の朗らかなであるにも関わらず耳障りで不快さな声を受けたエリーゼは怒りに歯噛みし、小柄な魔導士は屈託の無い笑みを浮かべながら言葉を続けた。
「……昨日のイライザお姉さん凄かったですよねえ、騎士団の副団長さんってあんなに欲張りでやらしいんですね、僕驚いちゃいましたよ、エリーゼお姉さんの分まで楽しんじゃうんだから、僕とのプレイで盛っちゃった様に見えるけど、アレッて絶対元からですよね、凛々しい副団長さんの仮面の下はあんな欲張りでやらしい牝エルフなんですね」
(……黙れ、黙れ、黙れ、黙れ、黙れ、黙れ、黙れ、一番最初に、一番最初にイライザ様を汚したお前が、抗う術も魔力も何もかも封じられたイライザ様を汚したお前が、これ以上、これ以上、イライザ様を侮辱するなっ!!)
エリーゼは屈託の無い笑顔で宣う小柄な魔導士に対して煮え滾る怒りと殺意を抱きながらその言葉を無視して歩き続け、その取り付く島もない態度を目にした小柄な魔導士は気にした様子も無くにこやかな笑顔で続けた。
「……つれないなあエリーゼお姉さん、あっそうだ、気になってるんでしょイライザお姉さんがどんなプレイ楽しんでるのか?」
「……そんな訳」
小柄な魔導士の言葉を受けたエリーゼが吐き捨てる様な口調で声をあげかけたが小柄な魔導士は屈託の無い声がそれを遮った。
「……ねえエリーゼお姉さん、そんな態度でいいの?僕が少し報告するだけで残されてるイライザお姉さん、どうにでもなるんだよ、あんだけ盛りきった今のイライザお姉さん残ってる全員の相手なんてさせられたら、壊れちゃうかもね」
「……っぐ」
小柄な魔導士の屈託の無い言葉を受けたエリーゼは言葉を喪い、小柄な魔導士は屈託の無い笑顔のまま言葉を続けた。
「……見たいよね、エリーゼお姉さん?牝エルフのイライザお姉さんの御奉仕姿」
「……っく……っうぅ」
小柄な魔導士の言葉を受けたエリーゼは止めきれなかった悔し涙に肩を震わせてながら力無くコクンッと頷き、小柄な魔導士は笑顔で頷きながらエリーゼの目の前に映像を表示させた。
映像には四つん這いにされたイライザが周囲を囲むエルフ兵や魔導士達から催淫魔法と感覚増幅魔法で縛られた身体を鞭で打擲されながら目の前に仁王立ちになった中隊長の靴を舐めさせられる姿が無情にも映し出され、凛々しく気高い最愛の女の余りに無惨で屈辱的な姿を目の当たりにしたエリーゼの顔から瞬く間に血の気が失せてしまった。
「……やめ……て……お願い……もう……やめて……」
無惨で屈辱的な姿で憎むべき敵への奉仕を強いられている凛々しく気高い最愛の女その無惨な姿を目にするエリーゼはボロボロと涙を溢して呟きながら歩き続け、その様子を目にした小柄な魔導士は屈辱の無い表情を浮かべながら後方へと戻って行った。
「……ひっぐ……ふえっ……もう……もうやだ……ふぐっ……もうやめて……イライザ様……イライザ様……壊さないで……何でも……何でもするから……イライザ様……壊さないで……」
泣きじゃくりながら歩き続けるエリーゼ、その鼓膜が落ち着いた声に揺さぶられた。
……案ずるな、森の民よ……
「……ひっぐ……ひっぐ……ふえっ?」
エリーゼは唐突な声に思わず戸惑いの声をあげながら立ち止まり、戸惑いの表情を浮かべたエリーゼに対して落ち着いた声が尚も語りかけてきた。
……心を強く持ち、進むのだ、森の民よ、間も無く我が同盟者の配下達による鉄槌が愚か者どもに下される、進むのだ、森の民よ、御主の主が屈辱に耐えるのも後僅かの間だ……
「……助かる……の?……イライザ様も?」
「おい、何をしているっ!!映像を見ながら盛るのはダンジョンを踏破してからにしろっ!!」
落ち着いた声を受けたエリーゼが呆けた呟きをもらしていると捜索隊を指揮する小隊長がからかい混じりにどやしつけ、エリーゼは戸惑いの表情を浮かべたままその声に背中を押されて再び歩き始めた。
(……今、確かに聞こえた……助かる……の?……そんな訳……無いよね……そんな都合の良い話ある訳……無い)
自分の中に芽生えた淡い希望の芽を自ら摘み取りながら悄然と歩みを続けるエリーゼ、その歩みは目の前に出現した有り得る筈の無い光景、三叉路の登場によって停止させらた。
「……ど、どうして?……このダンジョンって出来たばっかりの筈じゃ?」
足を止めたエリーゼは戸惑いの表情で呟きながら目の前に三叉路を見詰め、足を止めたエリーゼを督促を行うべき捜索隊の側も有り得ない光景を前に戸惑いの表情を浮かべた。
「……ど、どう言う事だ?」
「……馬鹿な、僕のスキャニングは完璧だっ」
戸惑いの声をあげる小隊長の傍らにいた小柄な魔導士は困惑の表情を浮かべながらもう一度スキャニングの魔法を発動し、その結果に困惑の色を深めながら口を開いた。
「……そんな馬鹿な、スキャニングの結果だと、こんな、こんな三叉路、存在しない、存在なんてする筈無いのに」
小柄な魔導士が困惑の表情で発した呟きを耳にした一同の間に漣の様に戸惑いが広がり、小隊長がそれに対して喝を入れようとした刹那、戸惑いの表情で三叉路を見詰めていたエリーゼの姿が掻き消えた。
「……っな、ど、どう言う事だ」
「……い、今のはて、転位魔法!?」
突然の事態を目にした小隊長と小柄な魔導士が驚愕の声をあげ、他の者達もざわめき始める中地の底から聞こえて来る様な暗く低い声が背後から響き、その声はざわめく彼等の鼓膜にねっとりと絡み付いてきた。
「彼女ハ我ガ主ニヨリ回収サレタ、今頃ハ愚カナ貴様等ニヨリ傷ツケラレタ心ヲ戦友達ニ慰メテ貰ッテイル事ダロウ」
「だ、誰だこんな時に何の冗談……を……」
背後から響いた声を誰かの悪戯だと希望えた小隊長は怒声を張り上げながら後方に視線を転じたが退路を遮断する形で存在している無数のスケルトン、ボーンウォーリアー、ボーンウルフとその前に立つ双剣を手にした死霊騎士の姿を目にした瞬間張り上げかけていた怒声が瞬く間に消え去り、捜索隊の将兵が驚愕に目を見開きながら唖然と立ち尽くす中、死霊騎士は土気色の半顔面の口角をつり上げて侮蔑の笑みを作りながら言葉を続けた。
「ドウシタノダ、愚カ者ドモ、マサカコノママ我等ノ剣ノ錆ニナルトデモ言ウノカ?」
「……じ、陣形を整えろっ!!は、早くしろっ!!」
死霊騎士の侮蔑の言葉を受けた小隊長が叫ぶ様に発した号令を慌てて陣形を組み始めた軽装歩兵と魔導士達だったがダンジョンと言う限られた空間での慌ただしい動きは混乱状態を生み出してしまい、小隊長は顔色を青ざめさせてしまったが死霊騎士とアンデッド部隊が絶好の好機を活かす事無く静観しているのに気付くとその顔色に血の気が戻って来た。
(……し、死霊騎士等と言っても所詮はアンデッド、じ、陣形さえ整えられればどうと言う事は無い)
小隊長が自分にそう言い聞かせている内に軽装歩兵と魔導士達は漸く陣形を整え終わり、陣形を整え終わった魔導兵分隊は直ちにアンデッド部隊に対する攻撃の準備に入った。
小柄な魔導士が他の魔導士達と共に呪文の詠唱準備を整えていると頭上からパラパラと小さな石片が降り注ぎ、それに気付いた小柄な魔導士は心臓を鷲掴みにされた様な感覚に襲われながら恐る恐る頭上に視線を向けた。
小柄な魔導士が視線を向けた先には鋭い刺に覆われた四脚で天井に張り付いた全身が紅に染まった巨大な蟷螂、ジャイアントマンティスの上位進化種、ブラッディマンティスが2体、その名の由来でもある血に染まった様な紅の大鎌を構えて眼下の捜索隊を見下ろしており、分隊の最後尾にいた小柄な魔導士が凍り付いた様な表情を浮かべながらジリジリと後退りし始めると同時に2体のブラッディマンティスが跳躍した。
跳躍した2体のブラッディマンティスは動きを見せた小柄な魔導士を無視して魔導兵分隊の只中に着地すると突然の事態に全く対応出来ずにいる魔導士達を次々に鎌で切り裂き、魔導士達が撒き散らしたら断末魔の絶叫と血飛沫は漸く平静を取り戻しかけていた捜索隊を再び混乱の坩堝へと叩き込んだ。
魔導兵分隊を瞬く間に蹴散らしたブラッディマンティスは突発事態により呆然と立ち尽くす小隊長の身体を腰から二つに両断し、両断された小隊長の骸がダンジョンの床に崩れ落ちた瞬間、捜索隊の士気が崩壊した。
統制を喪った捜索隊の軽装歩兵達は猛威を震うブラッディマンティスから逃れ様として漸く組んだ陣形を崩壊させ、死霊騎士はその様子を侮蔑の眼差しで見詰めながらアンデッド部隊に突撃を命じた。
ブラッディマンティスとアンデッド部隊は必死の形相で右往左往する捜索隊の軽装歩兵と魔導士を蹂躙して阿鼻叫喚の地獄絵図が展開され、小柄な魔導士は青ざめた顔でその地獄絵図から逃れるとそこから離れたい一心でダンジョンの奥へと転がる様な勢いで駆け続けた。
必死に駆け続けた小柄な魔導士は疲労の限界に達した所で脚を止めるとゼエゼエと荒い息をしながら腰の水筒を手に取り、もどかしげに蓋を外すと喉を鳴らしながら中に満たされた水を半分以上一息に飲み干した。
漸く一息ついた小柄な魔導士が蓋をした水筒を元の所に戻しているとその鼓膜を軍靴の響きが揺さぶり、小柄な魔導士はホッと息をつきかけたがその最中にその響きが味方など誰もいない筈の前方から聞こえてくる事に気付いてその顔色が恐怖で青ざめた。
小柄な魔導士は慌てて戻ろうとしたがそれを制する様にそちらの方からも軍靴の響きが聞こえ始め、小柄な魔導士が恐怖のあまり立ち尽くしながらかぼそい呼吸を続けているとロジナ候国軍の軍装を纏ったスケルトンの集団が前後から表れて小柄な魔導士の逃げ道を遮断してしまった。
小柄な魔導士は異様な光景に震えながら杖を構えようとしたが、先程同様に頭上からパラパラと石片が降り、小柄な魔導士が恐怖に歪んだ表情を頭上に向けると天井に張り付いた1体のブラッディマンティスが大鎌を構えながら小柄な魔導士を見据えていた。
小柄な魔導は恐怖に歪んだ顔のまま杖を落とすと腰を抜かして地面にへたりこみ、それでも何とかそこから逃れ様としてもがいているとブラッディマンティスが跳躍して襲いかかってきた。
マスタールーム
「……いつの間に、と言うよりどうやってブラッディマンティスを、ブラッディマンティスはこの辺には殆どいない筈だ」
アイリスと共に映像に映し出される捜索隊の末路を見ていたミリアリアは戸惑いの表情で紅の大鎌を振るうブラッディマンティスを見ながら呟き、それを聞いたアイリスは事も無げな口調でその疑問に答えた。
「この子達は残党狩部隊の陣営を襲撃した時にテイムしてたジャイアントマンティスよ、強化出来ないかと思って少し魔力を与えてみたらこれになったの、大して魔力も消費しないからテイムしたジャイアントマンティスは皆ブラッディマンティスに進化させたわ、落ち着いたら他の子達にも試してみるわ」
「……ああ、うん、まあ、そんな所だろうなあ、とは、思っていた」
ある意味予想通りとも言えるアイリスの言葉を受けたミリアリアは苦笑しながら呟き、その後に穏やかな眼差しをライナ達に抱き締められて泣きじゃくっているエリーゼに向けた。
突然マスタールームに転位させられたエリーゼは鳩が豆鉄砲を喰らった様な表情を浮かべていたがライナ達はそんなエリーゼに優しく助かった事を告げ、それを告げられたエリーゼはその事実と同僚の姿を目にした安堵の為に堰が切れた様に泣き始めてしまい、ライナ達は泣きじゃくるエリーゼを優しく抱き締めていた。
「……ひっぐ……ひっ……ふぐっ……た……助かったの……私……ふえっ……ひぐっ……で、でも……イライザ様が……ひぐっひっぐ……イライザ様がまだ……」
「ほら、エリーゼ、もう泣いちゃ……駄目だよ、折角助かったんだから、イライザ様も絶対助けて貰えるから、泣かないでホント……泣き虫なんだから……」
自分も涙で頬を濡らしながらも泣きじゃくるエリーゼを優しく抱き締めながらあやす様に語りかけるハンナと、時折目尻を拭いながらその2人を優しく抱き締めるライナ達、その光景を目にしたミリアリアが瞳に滲んだ雫を拭うのを目にしたアイリスは嬉しそうに微笑んだ後に泣きじゃくるエリーゼを見詰めた。
泣きじゃくるエリーゼの姿を見詰めるアイリスの脳裏にエリーゼを護る為に屈辱の奉仕すら厭わないイライザの姿が浮かび、アイリスは穏やかな表情を浮かべながら小さく呟いた。
「……お節介焼いちゃおうかしら」
「……何か言ったか?」
「……フフ、気にしないで独り言よ」
アイリスの小さな呟きを耳にしたミリアリアは視線をアイリスの方に向けながら問いかけ、アイリスは楽しげに笑いながら応じた後に瞳に冷たい光を宿しながら映像に意識を集中した。
映像には泣き叫ぶ小柄な魔導士が生きたままブラッディマンティスに補食されている光景が映し出されており、アイリスが冷めきった瞳でその光景を一瞥した後に増築されたダンジョンに引っ越してきたフォレストドラゴンに語りかけた。
「……激励してくれたみたいね、感謝するわ」
……気にするな魔王アイリスよ、この新たな塒は中々快適でな、その御礼も兼ねたまでよ、今来ている連中では我の所に来るとも思えぬ、楽をさせて貰うぞ……
「ええ、今はのんびりして頂戴、我が同盟者」
アイリスがフォレストドラゴンとの会話を終えるのとほぼ同時に捜索隊は全滅し、それを映像で確認したアイリスはわざと逃亡させた数人の生存者が恐怖に歪んだ表情で転げる様に出口へと向かう様を冷たい眼差しで見詰めていた。
物見遊山の様な気楽さでダンジョンを進む捜索隊彼等は屈辱の奉仕を強いられるイライザを想い心を痛めるエリーゼの心を抉り傷付けたが、さほど時を置かずにその報いを受ける事となる。
異形のダンジョンに戸惑い混乱する彼等に下された報い、それは魔王の力により進化した異形が振るいし血刃……