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惨劇・リステバルス王国軍残存部隊編・末路

厚き信義は我々を

友として繋ぎ止めていた

だがその日々は打ち砕かれて

手に取る麗しの青き旗

フラー!フラー!いざ掲げよ

フラー!一つ星の青き旗


ボニーブルーフラッグ二番歌詞(日本語訳)

ミリアリア作戦集団


帰路と錯誤しダンジョンへの進路を揚々と進むリステバルス王国軍残存部隊本隊を殲滅する為に出撃したミリアリア作戦集団は迎撃予定地点に到着した所で展開を開始し、その終了後に指揮官のミリアリアはヴァイスブルク伯国亡命政権から派遣されたカッツバッハ、ミランダ、セレーナ、ティアナ、ラリッサ、サーシャにLSSA指揮官のハウサーを招集して作戦の最終確認を開始した。

「……ハウサー殿、部隊の展開状況は?」

……ボーンナイト3個中隊ヲ正面並ビニ左右ニ展開サセボーンビショップ隊ニ支援サセテオリマス、ダークマンティス隊トレッサーヒュドラ隊ハ森林内ニ散開展開シテオリ、ボーンナイト隊ノ戦闘開始ト同時ニ敵部隊の退路ヲ遮断、残ルボーンナイト1個中隊とジンベルヴォルフ隊ガ予備兵力トナリマス……

ミリアリアから部隊の展開状況を問われたハウサーは展開された地図の魔画像に表示された自軍の展開状況を示しつつ概略を説明し、ミリアリアが頷いていると付近の地面に漆黒の五芒星の魔法陣が展開されてアイリスが姿を現し、アイリスの姿を目にしたハウサーとカッツバッハ達が送った敬礼に小さく片手を上げて応じた後にミリアリアの所へ歩み寄りながら口を開く。

「……残党本隊は相変わらず能天気に此方にむけて全身中よ、今の所、気付いてる様子どころか道を間違えてる事にすら気付いている様子すら無いわ……ミリアなら大丈夫だと思ったけど来ちゃったわ、指揮統制はミリアに任せるから安心して頂戴」

アイリスは接近中の残存部隊本隊の様子を伝えた後に微かに頬を緩めながらミリアリアに激励の言葉をかけ、ミリアリアはアイリスと同じ様に微かに頬を緩めながら頷いた後に表情を引き締めながら口を開いた。

「……カッツバッハ殿、左右に展開したボーンナイト隊に2名づつ派遣しカッツバッハ殿は退路遮断隊に参加して貰えるだろうか?ハウサー殿は正面のボーンナイト隊を統括し、私は予備隊と共に情勢の変化に対応したい」

「……承知した、セレーナとティアナは左翼のボーンナイト隊に、ラリッサとサーシャは右翼のボーンナイト隊に移動し、ミランダは私と共に退路遮断隊に参加するぞ」

……承知致シマシタ、我等LSSAノ力是非御覧下サイマセ……

ミリアリアの指示を受けたカッツバッハとハウサーは即座に応諾の言葉を返し、ミリアリアは小さく頷いた後に各員に配置に着く様通達した後にアイリスを抱き抱えて予備隊の所へと移動した。


残存部隊本隊


ミリアリア作戦集団が伏撃体勢を完了した暫く後、標的となった残存部隊本隊は地獄が待ち構えている事にも、ヴァイスブルクとは反対のダンジョンへの進路を取っている事にも気付かぬまま案内役の神殿騎士を先頭に揚々と進撃を続けており、その最中にダンジョンへの進撃中に自分達が造ったとおぼしき踏み締められた経路を発見した事により大きな安堵を感じながら刻限が昼時になっていた為に大休止に入っていた。

残存部隊の将兵は数カ所で火を起こすと狩猟して運搬していま山鳩や鶫等を焼いたり採取した果実や木の実に齧り付く等し始め、指揮官の神殿騎士中隊長は上機嫌で焼いた山鳩を齧りながら案内役の神殿騎士に声をかける。

「……この小路は間違い無く我々が前進中に通過した道だ、後はこの路を通っていけばヴァイスブルクに到着出来る、あの魔導士中隊長の悔しそうな顔が目に浮かぶな」

「ありがとうございます、所で留守部隊への救援要請は如何致しますか?私としては私の発見を疑った連中やリキメロス様やアンテミウス様に楯突いた罪人を助ける必要性を感じていないのですが?」

神殿騎士中隊長に声をかけられた神殿騎士は如才無く応じながら野営地にいるアリステラ達の処遇について問いかけ、神殿騎士中隊長は山鳩の骨を藪に放り投げた後に平然とした面持ちで返答する。

「……何を言っておるのだ?我々は野営地を引き払って出発したのだ、留守部隊等最初から存在等してはおらんぞ?」

「……そうでした、私とした事が記憶が混乱していた様ですね、我々は全員で野営地を出ていたのでしたね」

神殿騎士中隊長の言葉を受けた神殿騎士は冷徹な笑みを浮かべて相槌を打ちながら山林檎に齧り付き、神殿騎士中隊長が上機嫌で頷きながら焼いた山鳩に齧り付こうとした瞬間、木々の合間から多数の火球が放たれ、降り注ぐ魔法弾が休憩中の残存部隊本隊の其処彼処で炸裂し複数の兵士が吹き飛ばされてしまう。

休憩中の弛緩した状態で突然の魔法弾射撃を浴びた残存部隊本隊の兵士達は、地獄の退却戦の記憶を呼び戻され逃げ惑い始め、神殿騎士中隊長は食べかけの山鳩を放り捨てて逃げ惑う兵士達に向けて怒声を張り上げる。

「……う、狼狽えるなっ!!貴様等それでも誇り高きリステバルス王国軍の兵士達かっ!!各隊は速やかに戦闘態勢を整えろっ!!急げっ!!」

神殿騎士中隊長は怒声を張り上げたが、弛緩していた状態で降り注ぐ魔法弾射撃を浴びてしまった部隊の混乱状況からの回復は容易な事ではなく、神殿騎士中隊長が怒声を張り上げ地団駄を踏む間にも被害が続出し続けてしまう。

魔法弾射撃が続く中、混乱する残存部隊本隊の前方及び左右の木立の合間から洪水の様な勢いで大量のボーンナイトが出現して接近を開始し、同士討ちを回避する為に降り注ぐ魔法弾射撃が漸く停止したが、混乱状況の残存部隊本隊の騎士と軽装歩兵達の混成部隊はなす術無く雪崩込んで来たボーンナイトの集団に呑み込まれ将兵のあげた断末魔の絶叫が木々の合間に吸い込まれていった。

「……クソッ!!総員退却だ、合流していない者は捨て置けっ!!」

「……は、はいっ!!」

神殿騎士中隊長の張り上げた怒声を聞いた案内役の神殿騎士は青ざめた表情で返答し、神殿騎士中隊長は案内役の神殿騎士と手近な所をいた10数名の神殿騎士や近衛騎士達と共に唯一敵の攻撃が確認されていない後方の木立に向けて駆け出した。

駆け出した神殿騎士と近衛騎士の一団が木立に近付くと彼等の行動を嘲笑う様に多数のダークマンティスとレッサーヒュドラが木立を合間から出現し、唐突な出現に慌てて蹈鞴を踏んで立ち止まった神殿騎士と近衛騎士達に向けて飛びかかり血飛沫と断末魔の絶叫が舞い狂い、地面に次々と骸が転がっていった。

「……わ、私はっ、リ、リステバルス王国の首脳陣と縁のある者だぞっ!!わ、私に何かあればお、王国は決して黙っていないぞっ!!だ、だから私を見逃せっ、見逃せといってるだろうがこの虫風情がっ!!」

右往左往して逃げ回っていた案内役の神殿騎士は3体のダークマンティスに取り囲まれ尻餅をついて後退りながら泡を食って叫び続け、その傍らではレッサーヒュドラの毒液を浴びて倒れ伏した神殿騎士中隊長が泡を吹いて藻掻き苦しんだ末に骸と化して転がっていた。

ダークマンティスは案内役の神殿騎士に一頻り叫ばせ続けた後に黒刃の鎌を閃かせてその身体を切り刻み、神殿騎士の断末魔の絶叫が響くのとほぼ同時に残存部隊本隊の将兵全てが骸となって木々の合間に倒れ伏し凄惨で一方的な戦闘に終止符が打たれた。

「……ミリアリア殿、こちらカッツバッハ、敵部隊の殲滅を確認した、此方の損害は皆無だ」

……ミリアリア様、ボーンナイト隊ノ損害モ皆無デゴザイマス……

「……了解した、敵部隊の殲滅を確認した為作戦を終了して帰投準備に入ってくれ」

カッツバッハとハウサーから残存部隊本隊の殲滅の報告を受けたミリアリアは、戦闘終了と帰投準備を命じた後に腕の中に居るアイリスに視線を向けると、アイリスは野営地の包囲を行っていたリリアーナ作戦集団との魔通信を行っており、ミリアリアはそれが終了するのを待ってアイリスに問いかける。

「……首尾はどうだった?」

「……上出来よ、此方の投降勧告を受け入れてくれたそうよ、その時の様子からエメラーダの学友さんだけじゃなく他の人達もリステバルス皇国亡命政権に協力してくれそうよ」

「……そうか、良かった」

ミリアリアの問いを受けたアイリスは穏やかな表情でミリアリアを見上げながらリリアーナ作戦集団の成果を伝え、ミリアリアは作戦の成功に安堵の呟きをもらした後に頬を仄かに赤らめさせながら腕の中のアイリスに声をかける。

「……作戦は成功した、そろそろダンジョンに帰投しよう、私達のダンジョンに」

「……フフフッ、そうね、帰りましょう、あたし達のダンジョンに」

ミリアリアに声をかけられたアイリスは頬を仄かな桜色に染めながら返答した後に甘える様にミリアリアの胸元にもたれかかり、ミリアリアはもたれかかるアイリスの重みと腕の中の柔らかな感触、そして鼻腔を擽る甘い薫りに笹穂耳まで仄かな朱に染めながらアイリスを抱き抱えたまま部隊と共にダンジョンへ向けての帰路についた。

その後、ダンジョンに帰還したアイリスはマスタールームにて投降したアリステラ達と対面して去就を確認した結果、全員がリステバルス皇国亡命政権への参加を希望し、ミーティアとフロレシアはアイリーンやエメラーダの指揮下にて、アリステラ達はサララの指揮下にて活動する事が決定された。


リリアーナ作戦集団が野営地の包囲に実施していた頃、残存部隊本隊殲滅任務にあたるミリアリア作戦集団も配置を完了しており、ミリアリアは来訪したアイリスに見守られながら戦闘部署を配置した後に行動開始を下令した。

ミリアリアの命令を受けた各部隊は休息する残存部隊本隊を急襲し、襲撃を受けた残存部隊本隊は凄惨で一方的な戦闘の末に殲滅されてしまう。

残存部隊本隊の殲滅を確認したアイリスはミリアリアと共にダンジョンへ帰還した後にリリアーナ作戦集団に投降したアリステラ達と面談し、その結果、アリステラ達は自身の意思でリステバルス皇国亡命政権への参加を希望しアイリーンやエメラーダに協力していく事となった……


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