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発動、台風(タイフーン)作戦・カッツバッハ戦闘団編

久方ぶりの更新となりました。スマホ購入により再び更新可能となりました。宜しくお願い致します。

ダンジョン周辺・カッツバッハ戦闘団


アイリスの台風タイフーン作戦発動命令を受けたカッツバッハはマリーカ、アナスタシアと共に出撃態勢を整えた自軍へと転位した。

転位を行ったカッツバッハ達が木々の合間に擬装して設置された本部に到着するとアイリス戦闘団に派遣されたユーティリア、フィリアス、ラーナディア、アレリア、ジュリアンナ、オクタヴィアとサララ戦闘団に派遣されたミリーナ達をを除いたヴァイスブルク伯国亡命政権軍の騎士達と、女戦士傭兵隊から派遣されてきたヴァル、べティ、ダイナ、バブズ、ネル、リズ、マート、グレース、アルフ、ジェーク、そして第二死霊連隊長のクノーベルスドルフと第一火力支援大隊第三中隊長のプリマーがカッツバッハ達を出迎え、それを確認したカッツバッハはアイリスから渡された魔画像起動用アイテムを使用して攻撃目標であるリステバルス王国軍とヴァイスブルク男爵領国軍の混成集団(ヴァイスブルク男爵領国軍についてはその殆どがダンジョンに突入している為、実質的にはリステバルス王国軍の集団)乙集団の展開状況が記されている地図の魔画像を具現化させながら口を開いた。

「今ここに示しているのが我々の攻撃目標、乙集団だ、リステバルス王国軍とヴァイスブルク男爵領国軍の混成集団だが、ヴァイスブルク男爵領国軍の殆どはダンジョンに突入して抹殺されていて残っているのは2個小隊程度の為、実質的にはリステバルス王国軍の集団となっている、兵力は軽装歩兵を主力に約3000と推測される」

カッツバッハがそう言いながら指示棒で魔画像に映し出されている敵部隊、乙集団の展開状況を指し示すと皆がその言葉に合わせて魔画像に視線を向け、カッツバッハはそれを確認した後に更に言葉を続ける。

「敵の警戒態勢はあまり高い物では無く、しかも警戒方向はダンジョンに傾注されている。我々はこの状況を活かして背後から連中を襲撃する」

カッツバッハはそこまで述べると一度言葉を区切って皆を見渡し、皆が頷いたのを確認した後に言葉を続けた。

「我々は第二死霊連隊、第一突撃大隊、第二偵察大隊、第一火力支援大隊第三中隊、そしてアイリス様より拝領した使役獣、珊瑚龍、光壁龍、吸血球獣、メタルゴーレム、トーテムミノタウルスによって編成されている、我々はこの兵力をもって2方向より乙集団の背後に攻撃をしかける」

カッツバッハがそう言うとその言葉に呼応する様に乙集団に向けて伸びる2本の青い矢印が発生し、それを確認したカッツバッハはその内の1つを指し示しながら言葉を続けた。

「この部隊が第一攻撃集団だ。編成はボーンウォーリアー1個大隊に第一突撃大隊の装甲火蜥蜴1個中隊、そして第二偵察大隊のジンベルヴォルフ1個中隊だ、指揮官はミランダ、配属人員はライナ、リーナ、アリーシャ、ハンナ、テオドーラ、マリーナ、イリナ、リリナ、ラリッサ、サーシャ、ティアナ、セレーナとし使役獣はメタルゴーレムと光壁龍が配属される」

カッツバッハが第一攻撃集団の概要と配属人員を告げると指揮官のミランダ以下が力強い表情で頷き、それを確認したカッツバッハはミランダに使配属役獣のカプセルを渡した後にもう1つの矢印へと指示棒を向けながら言葉を続けた。

「続いて第二攻撃集団の編成を発表する。部隊配属は第一攻撃集団と同一として指揮官はヴァル殿、配属人員は女戦士の皆とする、そして使役獣の珊瑚龍とトーテムミノタウルスが配属される」

「……承知した、我等の槍働きをもってその信任に応えるとしよう」

カッツバッハが第二攻撃集団の編成を告げると指揮官に任命されたヴァルが凄味のある微笑と共に口を開き、カッツバッハはその言葉に頷きながらヴァルに配属使役獣のカプセルを渡した後に残る皆を見渡しながら言葉を続けた。

「残りの者達は私の指揮の下予備隊として両攻撃集団の後方に待機する。予備隊に所属するワイト、ボーンビショップ、装甲火蜥蜴は一括運用されて両攻撃集団へ火力支援を実施する。統轄はプリマー殿に実施して貰う事になる」

……オ任セ下サイ、愚カ者ドモヲ徹底的ニ叩イテ御覧ニイレマス……

カッツバッハが予備隊の編成を告げた後にプリマーに火力支援の統轄指揮の実施を告げるとプリマーは楽し気な口調で返答し、それを受けたカッツバッハは頷いた後に視線を傍らに控えるマリーカに向けつつ口を開いた。

「……それでは出撃前にマリーカ様より御言葉を賜る、総員、傾聴!」

カッツバッハが言葉の終わりに号令を発すると、一同は威儀を正してマリーカに視線を向け、それを確認したマリーカは皆に向けて一礼した後に口を開いた。

「……ヴァイスブルク伯国が滅び、先行きの見えない逃避行を続けていた時、あたし達の心にあったのは絶望だけだったわ、多くの命が喪われ、生き残った者達もある者は屑どもに囚われ辱しめを受け、ある者は先行きの見えない逃避行に神経を磨り減らしてしたわ」

マリーカの言葉を受けたヴァイスブルク伯国亡命政権の者達は脳裏に甦るヴァイスブルク伯国滅亡の際の絶望的な光景に唇を噛み締めながら頷き、マリーカはその反応を確認した後に表情を鋭くさせながら更に言葉を続けた。

「だけど、今貴女達はこうして屑どもを叩き潰す為に整列し、あたしはそんな貴女達を激励する事が出来ている。国を喪い根無し草になっていたあたし達が今こうしている事が出来ている要因はただ1つ、それは、アイリス様の御恩情よ」

マリーカがそう言った後に皆を見渡すと皆は大きく頷く事で応じ、それを確認したマリーカは表情を更に引き締めながら言葉を続ける。

「大恩あるアイリス様が発動された反攻作戦、台風タイフーン作戦、あたし達がすべき事は単純にして明解よ、あたし達は全身全霊をもってアイリス様より与えられた責務を完遂し、それによってアイリス様の御配慮と御恩情に報いる、各員はその一点に留意して己の責務を果たしなさい、皆の凱旋を待っているわ」

「……敬礼!!」

マリーカが激励の言葉を終えるとカッツバッハが鋭く号令を発し、それを受けた一同は流麗な動作でマリーカに対して敬礼した。

一同の敬礼を受けたマリーカは深く頭を垂れる事でそれに応じると傍らに控えるアナスタシアに視線を向け、それに気付いたアナスタシアが小さく頷いたのを確認した後にカッツバッハに向けて口を開く。

「カッツバッハ、アナスタシアにもこの戦闘団に加わって貰うわ」

「承知しました、アナスタシア殿には予備隊に参加して貰います」

マリーカからアナスタシアの戦闘団加入を告げられたカッツバッハはそう答えながらアナスタシアに視線を向け、アナスタシアが頷く事で応じたのを確認した後に引き締まった表情で皆を見渡しつつ口を開く。

「……これより各編成区分毎に出撃する、売国奴どもと屑どもに地獄を見せてやれっ!!」

カッツバッハが号令を発すると一同は直ちに編成区分毎に別れて駆け出し、カッツバッハがその様子を見守っていると第一攻撃集団を率いるミランダが近付き口を開いた。

「……行くわ」

「……ああ、武運長久と凱旋を祈っている」

ミランダの言葉を受けたカッツバッハは愛しげにミランダを一瞥した後に表情を引き締めながら激励の言葉をかけ、ミランダは頷く事で応じた後に第一攻撃集団に向けて号令を発した。

「前進!!」

ミランダの号令が響くと、第一攻撃集団に所属するボーンウォーリアの集団が木々の合間を進み始め、装甲火蜥蜴や、ジンベルヴォルフがそれに続いた。

カッツバッハが前進する第一攻撃集団を見送っていると、指揮官のミランダが、他の者達と供に前進を開始し、カッツバッハが静かにその背中を見送っていると、ヴァル率いる第二攻撃集団も前進を開始した。

「……マリーカ様、行ってまいります」

「……ええ、頼んだわよ、アナ」

マリーカが出撃する異形の軍勢を見詰めていると、出撃準備を整えたアナスタシアが声をかけ、マリーカは頷きながら激励の言葉を返し、それを受けたアナスタシアは微笑して頷いた後にカッツバッハ達の所へ向かった。

マリーカが遠ざかるアナスタシアの背中を見詰めていると、出撃中マリーカ達要人の警護を担当するブランデンブルク中隊を指揮する死霊騎士、スコルツニィーが姿を現して傍らに控え、それに気付いたマリーカはスコルツニィーに対して深く一礼した後に口を開く。

「……スコルツニィー様、宜しくお願い致します」

……オ任セ下サイマセ、皆ガ凱旋スルソノ時マデ、我等ブランデンブルク中隊ガ必ズヤ皆様ヲ警護致シマス……

マリーカの言葉を受けたスコルツニィーは恭しく一礼した後に返答し、マリーカは深く一礼する事でそれに応じた後に視線を進撃するカッツバッハ戦闘団へ戻した。

カッツバッハ戦闘団は粛々と前進を続けており、現在はカッツバッハ率いる予備隊が前進を開始しており、マリーカが無言で前進を開始した予備隊を見送っていると予備隊の一員として前進していたアナスタシアがマリーカの見送りに気付いて足を止めた。

足を止めたアナスタシアはマリーカに向けて大きく手を掲げ、それを目にしたマリーカは右手を掲げて大きく振る事でそれに応じた。

マリーカの反応を確認したアナスタシアは深く一礼した後に再び歩き始め、マリーカは手を降ろして歩み去るアナスタシアと予備隊が木々の合間に消えるまで見送った。

(……世界は決してあたし達を許さないでしょうね、でも、だから何だと言うの?世界はあたし達を見捨てた、全てから見捨てられたあたし達を助けてくれたのは、アイリス様だけ、アイリス様のおかげで、あたしはこうしてアナと共に在る事が出来ている。ならあたしはアイリス様に従う、アナと共に在る事が出来るなら、あたし達を見捨てた世界がどうなろうが、知った事じゃ無いわ)

マリーカはカッツバッハ戦闘団が消えた木々の合間を見詰めながら胸中で決意の呟きをもらし、その後にアイリスから渡された転位用アイテムを利用してスコルツニィーと共にダンジョンへ帰還した。


台風タイフーン作戦の発動、それに従い、サララ戦闘団に続いてカッツバッハ戦闘団が動き始めた。攻撃目標は、リステバルス王国軍たヴァイスブルク男爵領国軍の混成部隊、乙集団、マリーカの激励を受けたカッツバッハ戦闘団は、度重なるダンジョンへの突入によりほぼリステバルス王国軍のみとなった乙集団に向けて粛々と進んで行った……


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