親衛隊編成
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後書きに現時点における魔王軍編成を記載しておきます。
大陸歴438年深緑の月十七日・同盟者階層
ダンジョン制圧作戦、啄木鳥作戦が発動されダンジョン制圧部隊、三国連合軍が慌ただしく出撃した翌日、ダンジョンの同盟者階層に於て魔王の軍勢による演習が実施されていた。
更なる強化により全大隊がボーンウォーリアーとなった第一、第二死霊連隊に所属するボーンウォーリアーの集団は突撃大隊の装甲火蜥蜴の支援射撃を受けつつ攻撃前進を続け、ミリアリアはサララやミリーナと共に少し離れた所からその動きを確認していた。
「……何度見ても凄まじい光景だな」
ミリアリアは整然と行動を続ける異形の軍勢を眺めながら感嘆の呟きをもらし、それを聞いたサララは頷いた後に装甲火蜥蜴隊の周囲にアーチェリーエスコートとして展開している偵察大隊のジンベルヴォルフと魔狼の集団を見ながら口を開いた。
「……既に何度かこの様な光景を見ているが、その度にアイリス様が魔王なのだと言う事が改めて実感させられるな」
サララの言葉を聞いたミリアリアとミリーナが頷いていると第一および第二死霊連隊を率いる2体の死霊伯爵、マントイフェルとクノーベルスドルフが姿を現してミリアリア達に向けて敬礼し、ミリアリア達が答礼を返すとマントイフェルが前進する部隊を示しながら口を開いた。
……強化後ノ部隊ノ仕上ガリハ順調ト思ワレマス……
「……私もその意見に同意だな、元々死霊連隊に所属していたスケルトンをボーンウォーリアーに強化したのだから仕上がりも早かったのだろう」
マントイフェルの言葉を受けたミリアリアが頷きながら同意しているとサララとミリーナも頷く事でその意見に同意し、その様子を目にしたマントイフェルが同じ様に頷いているとクノーベルスドルフが口を開いた。
……部隊強化ノ目処ガツイタ所デ、ミリアリア様ニ1ツ提案ガアルマス……
「……私に、提案?」
クノーベルスドルフに話を振られたミリアリアは戸惑いの表情を浮かべながら首を傾げ、クノーベルスドルフは頷いた後に更に言葉を続ける。
……現在、前ノ戦勝ノ結果我軍ノ更ナル増強ガ行ワレテオリマス、ソノ一環トシテ、アイリス様ヲ御守リスル部隊、親衛隊ヲ編成シテハドウカト考エテオリマス……
「……成程、親衛隊、か」
クノーベルスドルフの言葉を聞いたミリアリアは頷きながらその中にあった一句を反芻し、その様子を目にしたクノーベルスドルフが小さく頷いているとマントイフェルが追加説明を始めた。
……現在、我軍ノ陣容ガ整イ部隊ガ増強サレテイマス、其故ニ、アイリス様ヲ御守リスルト同時ニ、決戦時ノ打撃戦力トシテノ役目モ担ウ為ノ精鋭部隊、親衛隊ノ編成ヲ提案スベキト考エテオリマス……
「……確かにアイリス様の軍勢の強化は相当に進んでいます。クノーベルスドルフ様やマントイフェル様が仰った様に近衛や親衛隊に類する部隊を編成すべき頃合いかもしれませんね」
マントイフェルの追加説明を聞いたミリーナが頷いた後に自身の考えを述べるとサララも頷く事でそれに同意し、それを目にしたミリアリアは自身も頷いた後にマントイフェルとクノーベルスドルフに向けて口を開いた。
「……了解した。アイリスに親衛隊の編成を提案してみよう」
ミリアリアの返答を受けたマントイフェルとクノーベルスドルフは満足気に頷いた後に部隊の所へと戻って行き、サララをそれを見送った後にミリアリアの方に視線を向けながら口を開く。
「……所でアイリス様は何処に居られるのだ、我々に演習査閲を命じられてから随分たつが」
「……駆逐大隊と偵察大隊の強化をしてくると言っていた」
「「……うわぁ」」
サララの問いかけを受けたミリアリアは顔をひきつらせかけながらアイリス不在の理由を報せ、それを受けたサララとミリーナがミリアリアと同じ様な表情を浮かべて乾いた声を上げていると当の本人であるアイリスが姿を現して笑顔でミリアリアに声をかけてきた。
「……お待たせ、ミリア、死霊連隊の演習も順調みたいね」
「……あ、ああ、順調だ、と、所で偵察大隊と駆逐大隊の強化は上手く行ったのか?」
アイリスに声をかけられたミリアリアは若干顔を引きつらせかけながら駆逐大隊及び偵察大隊の強化の成果を問い、アイリスは笑顔で頷いた後に口を開いた。
「首尾は上々よ、偵察大隊については魔力を供給して魔狼を全てジンベルヴォルフにする事が出来たわ、駆逐大隊のグロスポイズンサーペントとブラッディマンティスについてはこの子達に進化させる事が出来たわ」
アイリスがそう説明した後に小さく指を鳴らすと木々の下生えを薙ぎ倒しながら首が3つに増えた巨大な毒水蛇、レッサーヒュドラと体色が闇の様な漆黒へと変化した巨大な蟷螂、ダークマンティスが姿を現し、その姿を目にしたミリアリア達が達観と諦念をない交ぜにさせた複雑な表情を浮かべる中、説明を続けた。
「現在、各駆逐大隊の1個中隊をレッサーヒュドラ及びダークマンティスに強化済よ、今後も暫時強化を継続して行く行くは全てのグロスポイズンサーペントとブラッディマンティスをレッサーヒュドラとダークマンティスに強化する予定よ」
「……そ、そうか……す、凄まじいな、色々と」
アイリスの説明を聞いたミリアリアは顔を引きつらせかけながら呟き、アイリスは誇らし気な微笑みと共に頷いた後に言葉を続けた。
「……それと骸骨軽騎兵を骸骨槍騎兵に、ボーンマジシャンをボーンビショップに強化し、火力支援大隊の全ての中隊をワイトに変更したわ」
((……うわぁ))
アイリスの更なる説明を聞いたミリアリア達は強化著しいアイリスの軍勢の概要に顔を引きつらせ、その様子を目にして誇らし気に微笑むアイリスを目にしたミリアリアはマントイフェルとクノーベルスドルフから告げられた提案を伝える為に口を開いた。
「……そう言えば、つい先程なんだがマントイフェル殿とクノーベルスドルフ殿が親衛隊を編成してはどうかと言っていたぞ」
「……親衛隊、ミリアの?」
「……いや何で私の親衛隊なんだよっ!?」
アイリスからマントイフェルとクノーベルスドルフの提案を聞かされたアイリスは首を傾げながら問いかけ、予想の斜め上を行く質問を受けたミリアリアが思わずツッコミを入れているとその様子を見ていたサララは苦笑と共に口を開いた。
「……マントイフェル様とクノーベルスドルフ様が提案していたのはアイリス様の親衛隊設立です、ミリアリア殿や私達もその提案に賛成です」
「そうなの?……うーん、確かにそろそろそんな部隊を編成する頃合いと言えば頃合いね」
サララの言葉を聞いたアイリスは小さく頷きながら呟き、暫しの間を置いた後に笑顔でミリアリアを見詰めながら口を開いた。
「じゃあ親衛隊を編成しましょう、そして親衛隊長のミリアにしっかりと護って貰うわ」
「……は?私が親衛隊長?」
アイリスから親衛隊の編成と親衛隊長への就任を告げられたミリアリアは呆気に取られた表情で戸惑いの声をあげ、アイリスはニコニコしながら頷いた後に言葉を続けた。
「宜しく頼むわねミリア、親衛隊長としてあたしをしっかりと護って頂戴ね」
「……あ、ああ、分かった」
アイリスの言葉と笑顔を受けたミリアリアは仄かに頬を赤らめながらそれに応じ、アイリスは嬉しそうに微笑みつつ頷いた後に更に言葉を続ける。
「実はボーンナイト2個大隊を新編して第一及び第二死霊連隊に配属して入れ替わった2個大隊のボーンウォーリアーに独立運用していたボーンウォーリアー大隊と骸骨槍騎兵、ボーンビショップの各中隊を加えて第三死霊連隊を新編するつもりだったのよ。だから、新編したボーンナイト2個大隊に独立運用部隊、それに進化を終えたレッサーヒュドラ中隊とダークマンティス中隊を加えて第一親衛連隊を新編するわ、部隊名は親衛隊長のミリアに決めて貰うわね」
「……わ、私がか?」
アイリスから新編される親衛隊、第一親衛連隊の部隊名策定を委ねられたミリアリアが思わず再確認の問いを行うと、アイリスはニコニコしながら頷きそれを確認したアイリスは暫く思案した後にアイリスをしっかりと見詰めながら部隊名を告げた。
「……親衛隊はアイリスを護る為の部隊だ、その頭号部隊にはやはりアイリスの名を冠するべきだと思う、親衛連隊旗アイリス、略称LSSAが部隊名として最も相応しいと思う」
「……親衛隊旗アイリス、LSSA、か……うん、良いわね、ありがとうミリア」
ミリアリアから部隊名、親衛連隊旗アイリス(LSSA)を告げられたアイリスが笑顔でそれを受け入れた後に小さく指を鳴らすと新たな死霊伯爵が姿を現してアイリスの前で直立不動の姿勢を取り、アイリスは新たな死霊伯爵を示しながら言葉を続けた。
「LSSAの指揮を執ってもらうハウサーよ」
……ハウサーデアリマス、栄エアル親衛隊頭号部隊指揮官ノ任、全霊ヲ尽クシ完遂スル所存デアリマス……
アイリスの紹介を受けた死霊伯爵、LSSA指揮官ハウサーは深く一礼しながらミリアリア達に話しかけ、ミリアリア達が頷く事でそれに応じると突然、転位魔法陣が具現化され厳しい表情を浮かべたリリアーナが姿を現した。
「……何かあったみたいね?」
リリアーナのただならぬ様子を目にしたアイリスは琥珀色の瞳をスウッと細くさせながら問いかけ、リリアーナは頷いた後に厳しい表情のまま口を開いた。
「……先程、新たな敵部隊が確認されました」
リリアーナがそう言うと同時に進撃を続ける敵部隊、三国連合軍の姿が映し出された魔画像がアイリス達の前に具現化され、それを目にしたミリアリア達は大きく目を見開いた。
「……リステバルス王国軍、か」
「……エルフやラステンブルク猟兵部隊の姿もありますね」
魔画像に映し出されたリステバルス王国軍、ヴァイスブルク男爵領国軍、ラステンブルク伯国軍の姿を目にしたサララとミリーナは鋭い眼差しでそれらを見詰めながら呟きをもらし、それを聞いたミリアリアは厳しい表情を浮かべながらアイリスに声をかけた。
「……相当な大軍だな」
「……そろそろリステバルスからの援軍が到着する頃だとは思っていたけど、縁も所縁も無い国の内戦程度に、よくもまあここまでの兵力を派遣出来たわね、コイツ等なんて近衛っぽいんだけど」
ミリアリアの声を受けたアイリスは前進を続けるリステバルス王国軍の姿に呆れた様な感想をもらし、それを聞いたサララは前進する煌びやかな装備の狐人族の騎士達の画像に視線を向け、苦い表情になりながら口を開いた。
「……アイリス様の仰る通りこの装備は近衛騎士団の物ですね」
「……ミリアリア殿、ポポフですっ!!」
サララが苦い表情でアイリスの見立てが正しい事を伝えていると、映し出されるエルフ達の中にポポフの姿を認めたミリーナがそれを指差しながら声をあげ、それを聞いたミリアリアがその姿を確認した後に厳しい表情で頷いているとリリアーナが厳しい表情のまま言葉を続けた。
「敵軍はリステバルス王国軍、ヴァイスブルク男爵領国軍、ラステンブルク伯国軍の混成部隊で戦力は約1万2000、真っ直ぐに当地に向けて前進を続けています」
「……了解したわ、演習は現時刻を持って状況終了、採取及び狩猟に出ていた者を即刻呼び戻しなさい、それと、ヴァイスブルク伯国亡命政権及びリステバルス皇国亡命政権に対して緊急の三国会議召集を要請して頂戴」
「……畏まりました、アイリス様」
リリアーナの報告を受けたアイリスは腕組みをして前進する三国連合軍を見据えながら指示を送り、それを受けたリリアーナは素早く一礼して応じた後に転位魔法でマスタールーム階層へと帰還した。
「……あたし達も準備が出来次第直ぐに戻るわ、急いで帰還準備を整えて頂戴」
「……分かった」
アイリスはリリアーナを見送った後にミリアリアに声をかけ、それを受けたミリアリアが短く返答した後にサララ達と共に帰還の準備を始めるのを一瞥した後に視線を三国連合軍が映し出される魔画像に戻した。
魔画像にはダンジョン目指して前進を続ける三国連合軍の姿が映し出されており、それを見詰めるアイリスの顔に魔王に相応しい凄惨な笑みが浮かんだ。
「こんなに沢山の敵軍……コイツ等一体何処に埋めてやろうかしら」
アイリスが魔王に相応しい凄惨な笑みと共にそう呟いていると帰還準備を終えたミリアリア達がアイリスの所に歩み寄り、それを確認したアイリスは転位魔法で皆と共にマスタールーム階層へと帰還した。
度重なる戦勝の結果増強が続けられるアイリス率いる異形の軍勢、増強と強化が続けられる中、死霊連隊を率いる2体の死霊伯爵よりミリアリアに対して親衛隊設立が提案される。
その提案を受けたミリアリアはそれをアイリスに対して伝え、アイリスはそれに従い親衛隊頭号部隊、LSSAを新編した。
LSSA新編と同時に新たな敵部隊、三国連合軍の接近が確認されましたアイリスは増強なった異形の軍勢と共にその接近を待ち受ける……
魔王軍編成・大陸歴438年深緑の月十七日現在
アンデッド部隊
第一死霊連隊(ボーンウォーリアー3個大隊、骸骨槍騎兵、ボーンビショップ各1個中隊)
第二死霊連隊(編成は第一死霊連隊と同一)
特務大隊
第一火力支援大隊(ワイト3個中隊)
第一突撃大隊(装甲火蜥蜴)
第一駆逐大隊
第二駆逐大隊
第一偵察大隊
第二偵察大隊(同上)
親衛隊
第一親衛連隊・親衛連隊旗アイリス(LSSA)
ボーンナイト2個大隊、ボーンウォーリアー1個大隊、骸骨槍騎兵、ボーンビショップ、ダークマンティス、レッサーヒュドラ各1個中隊
使役獣
メタルゴーレム
トーテムミノタウルス
一角龍
双角龍
珊瑚龍
双鞭龍
ラビットドラゴン
ブラッディスケアクロウ
硫黄龍
地炎龍
光壁龍
吸血球獣
狂機獣
氷鳥龍
金堀衆(主任務は地下資源採掘)
第一金堀衆(スパイラルシェル、ラージスラッグ、マジックマリオネット)