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ぐちゃぐちゃ

はじめまして!hikaruです!!「小説家になろう」初投稿の作品です。是非チェックして下さい!

マズったな、と目を閉じて考える。さっき、約一年半くらい付き合っていた先輩と別れることになった。男子バスケ部の先輩で、イケメンだし、優しいから好きだったのにな。私も割と容姿には自信があるから、二人で並んで歩いていると周囲からお似合いだと思われていることは、わかった。

私がほしかったものは何だったんだろう。私がこの付き合いで得られたものは何だったんだろう。ただの肩書きなのだろうか。いや、そんなんじゃない。そんなんじゃないと信じたい。確かに優越感は手に入ったと思うけど、価値観なんか個人によって変わるし、彼氏がいると優越感を感じるとか頭悪い人の考え方じゃないか、と思う。

ケンカは何度目だっただろう。お互いの心のすれ違いは感じていた。それに今日は、私がむしゃくしゃしてたり、先輩が受験が近くてピリピリしてたりで、会話もロクに続かなかった。だんだんと居心地が悪くなった私は、忙しなく制服の裾を引っ張ったり縮めたりするのを繰り返していた。それを先輩に指摘されたのだった。

「落ち着きがねぇなぁー。俺といるのがそんなに嫌なのか?」

私はそのとき、まだ幼い頃のことを思い出した。長い間じっとしていることが苦手で、身体を揺らしてしまったり、足をバタつかせてしまったりしていた。そんなとき、あまり好きではない親戚のおばさんが言ったのだ。全く落ち着きのない子ねぇ。嫌そうに私を見て、呆れた、というような声で。

だから、それを思い出した私は、先輩をひどいと思った。落ち着きがない、なんて言わないでほしい。私は先輩を非難する発言をしてしまった。それから険悪な空気に変わって、なんとなく言い合いになって、結局お互いの不満のぶつけ合いになってしまった。会話に疲れた私たちは、別れよっか、という意見に一致して、その場が終わった。私の中学校生活を守っていたものが崩れてしまった瞬間だった。


「くるみ、晩ご飯よ!」

母親の声がする。はーい、と返事して食卓へ向かった。本当は食欲が無い。食べ物なんか、喉を通りそうにない。

食卓では、弟の大樹はすでにご飯を食べ始めていて、父はソファーに座ってニュースを見ていた。

「お姉ちゃん、この魚全部食べていい?」

大樹が箸で魚を示しながら言う。いいよ、と言うと、大樹は目を丸くした。

「お前何があったん?具合でも悪いの?」

私の弟は口が悪い。

「お姉ちゃんなんだから、お前って呼ぶの、やめなさい」

母が横から口を挟む。

「くるみがせっかく譲ってくれたんだから、食べればいいじゃない」

お母さんナイス。母はよくわかってるな、と感心させられる。たとえ家族にだって、話したくないことくらいある、という気持ちをちゃんと理解してるんだ。私は、このような母の、しつこく詮索してこないところが好きだ。

「はーい、じゃ、いただき」

大樹はそう言って美味しそうに食べた。先輩もご飯を食べるとき、美味しそうに食べていたなー、とふと思った。そうしてもっと、食事をするのが辛くなる。

「大樹、これもあげる」

私は、自分の分のお味噌汁を差し出した。

「本当、どうしたの?」

大樹は不思議そうに私を見て言う。

「いいから、あげる」

「じゃあ、サンキュー」

大樹はお味噌汁を受け取ると、ぺろりと平らげた。その食欲はどこから来るのだろう。大樹は私と違って成績優秀だ。体つきは華奢なのにスポーツ神経も抜群で、学校ではよくモテるそうだ。親からみれば自慢の息子だろう。私にはかなり生意気だけど。

「二人共、お皿洗いたいから、早く食べちゃいなさい」

今食べ始めたばっかなんだけどな、と思う。母はちょっとおもしろいところがある。

私は夕食の味をあまり感じられなかった。母が作った料理が悪いのではなく、私の気持ちの問題だ。結局、半分くらい残してしまった。母は心配そうな顔をしていたけど、私が大丈夫だから、と言うと、何も言わなかった。


いつものように家族みんなで居るときは我慢して、お風呂に入っているときも我慢して、ようやくベッドの中に入ったとき、とうとう私は泣き出した。我慢の限界だった。といっても、父がくだらない冗談を言ってみんなが笑っている中、私一人ちっとも笑えなかったけど。

先輩とはそろそろ別れるな、とは思っていたけど、一年半も付き合っていたわけだから、それなりに喪失感はある。悪いのは私だし、確かに絶対私だし、すぐに謝ればよかったのに、私は逆に先輩を非難してしまった。あのときの私の脳裏に、謝るという選択肢は無かった。あのときは全くそんなことまで気が回らなかった。自分が嫌になる。なんて子供なんだろう。自分の弱点を素直に認めないなんて、子供すぎる。心のどこかで、私はまだ落ち着きのない子供なんだ、と思う。


「くるみ!目が赤いよ」

今日何度目だろう。昨日の夜にさんざん泣いたせいで、目が腫れぼったくなってしまった。朝学校に着くと、さっそく咲希に言われた。「目、腫れてるよ!どうしたの?」私は返事を曖昧にごまかして、神木先輩と別れたことはまだ伝えてない。

「泣いたの?」

「原くんは腹が赤いよ」

「言っとくけど、俺の腹はきれいな小麦色だかんな」

原くんは自慢するように言う。

「嘘つけ」

「嘘じゃねえよ、なんなら見るか?」

原くんは(おそらく)わざと真面目な顔をする。

「どれどれ」

「冗談だよっ、この寒いのに脱がねぇよ!で、泣いたの?」

私の胸はカタカタと鳴る。やっぱり、嘘をつくときは罪悪感がある。

「違う違う!刺激の強い目薬差したら目がショボショボして、ゴシゴシ水で目の周り洗ったら、赤くなっちゃったんだよ!」

泣いた?と訊かれたときに使おうと思っていた私の嘘だ。言おうと思っていたことなのに、まだ胸のカタカタは鳴り止まない。

「なーんだ。そんなことかよ。隣のクラスの坂口が心配してたぞ」

「坂口?」

「おう。くるみのこと、かわいいっていつも言ってるぜ。まっくるみにはイケメンな彼氏がいるけどな」

ガタリと大きく胸が鳴った。実は私、別れたんよ。

「原くんは彼女いないの?」

「聞くなよ。虚しくなるだろっ。でも、好きな人はいる」

そう言って原くんは少し淋しそうな顔をした。

「でも一回フラれたんだ」

「…それでも、好きなんだ」

原くんは黙って頷いた。私は、こんな原くんを見たことがなかった。彼はいつでも明るく元気で、気のいい少年だった。原くんも悩むことがあるんだな、とふと思った。それと同時に、元気づけてあげたい、とも思った。

「大丈夫!再チャレンジしてみなよ。応援してるから!」

驚いた顔をしてから、すぐにいつもの原くんに戻って言う。

「ありがとっす。くるみも神木先輩といろいろ楽しんでね」

胸がチクリと痛んだ。私の胸はちっとも落ち着かない。

「意味深」

モヤモヤが止まらない。本当のことを打ち明けたら楽になれるのだろうか。私は楽になりたいのだろうな。何を、どんなふうに。

どか、と誰かが私の背中に乗っかった。

「イテーーー」

反射的に声が出る。

「もーくるみ!原くんと何話してんの?」

声の主ー咲希ーは少し甘えるように、ふくれっ面をしている。

「ちょっとした恋愛相談だよな」

「えっ今、恋愛相談してたの?」

衝動的に声が出た。

「えっ!違ったか?」

「もー二人共、仲良くてずるい~。話、私も混ぜてよー」

咲希は顎を私の肩に乗せてきた。わかったわかった、と私は返事をしてあげる。

「翔悟さ、最近全然、口聞いてくれないんだよね」

咲希はかわいい。確かにかわいい。

「またその話?」

顔だって華やかで、声だって女の子らしくて、ちょっとした仕草だって私でさえ思わずドキッとしてしまう。

「うん。だって最近特にひどいんだよね」

でもきっと、それだけだ。

「川本、どんな風にひどいん?」

「なんか前、廊下で肩がぶつかっちゃって、ごめんって謝ったんだけどガン無視されたんよ」

もう話は完全に咲希のペースになっている。

「原くん、翔悟何か私の悪口言ってる?」

「別に言って無いんじゃね」

多分、いや絶対言ってるな、と思う。今までさんざん自分勝手してきた咲希の悪口を言わないはずがない。

「まだ諦めてないの?」

「いつか、振り向いてもらいたいなーって思って」

咲希は案外一途なんだな、と思う。でもとりあえずあんたは怜ちゃんに謝ったほうがいいよ。あんたのせいで怜ちゃんがどんな思いしたか、少しでも考えたことある?

「でもガン無視されたんでしょ。最低じゃん」

翔悟君は、咲希にはやく諦めてほしいんだろうなあ。

「それはそうだけど、でもやっぱかっこいいじゃん」

だから、くるみ応援してよー、と咲希は私の背中をバシバシ叩く。

「いったいなー、わかったから」

無理なことはわかってるけど、一応咲希のことを応援する振りをしてみるか。断ると面倒くさいし。

「いいよなー川本は。そんなに思われて羨まだわー」

へへっと笑う咲希の横で、原くんはまた淋しそうな顔をしている。


「次音楽とかマジめんど~」

音楽室は三階にある。移動教室は正直ちょっと面倒くさい。

「もうちょっとで着くから、まだマシっしょ」

ちょうど階段を上がっているところだった。神木先輩が何人かの友達と階段を下りてきているのが見えた。前の授業が体育だったのだろう、体操着で一緒にいる友達とあっちい、と会話しているのが聞こえる。

「ちょっくるみ!神木先輩じゃない?」

今、完全に目があった。私は何か言おうかあれこれ探しあぐねた、と思ったら目を逸らされた。結局、何もなくすれ違っただけだった。

「あれっくるみ、どうしたの?」

今のはちょっとショックだった。

「うち、神木先輩と別れたんよ」

何も知らない振りしなくても良いじゃないか。

「うっそー!知らなかったー」

言ってないからね。

「なんで?何があったの?」

この子は本気で心配してるわけじゃない。ちょっと、いや明らかに楽しんでる。

「特に何があったってわけじゃ無いんだけどね」

新しい情報を手に入れることができて、喜んでる。

「いつから?なんで教えてくれなかったの?」

なんで私に起こったことをあんたにいちいち報告しないといけないの?

「あれっ、言ってなかったっけ?」

自分でも、あたし惚けるの下手だなー、と思う。

「初耳だよ。しっかりしてよね、くるみ」

茫然と、しっかりするってどういうことだろう、と思った。自分に起きてしまった秘密にしたいことも、忘れずに咲希に報告しないといけないのだろうか。そんなの束縛だよー、と心の声で叫んでみる。これ、冗談のつもりだけど、冗談じゃないなー。ああ、矛盾してるか。いや、案外マジだよ。かなりマジだよ。心の中でなにコントみたいなことしてるんだろう。いや、笑えないな。実際に冷や汗が出る。

だんだんと虚しいような悲しいような気持ちがしてきた。さっきまでのことが映像として目に浮かんでくる。逸らされた目。しっかりしてよね、と言った咲希。


「小説家になろう」初投稿の作品です!小説は、最近書き始めたばかりでまだ素人ですが、チェックして頂けたらありがたく思います。この話は俗に言う処女作とは違いますが、割と初期に書きました。ちなみに私は学生です。

コンピューターにあまり慣れていないので、誤字が多かったり、特殊な書きかたをしてしまったりするかと思うのでご指摘頂けたらと思います。

コメントどしどしお待ちしております!(特にダメな部分w)

投稿が滞ってしまったり、なかなかお返事が返せなかったりするかと思いますが、ご了承下さい。

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