終わり・・・そして始まりへ
○佐々木視点○
「またいない!」
今日こそ彼をクラスに馴染ませようと昼食に誘おうとしたけど、今日も逃げられた!
「もうほっとけば」
私は、声をかけられたほうに振り向いた。
「あなたのやってることって彼にとってはいい迷惑かもしれないわよ」
そう言うのは私の友達の高梨咲菜だ。
彼女とは、中学1年からの付き合いになる。
クールビューティーを地で表現する彼女は、ポスト植原先生と呼ばれている。
以前、罵ってくださいと土下座されているのを目撃したことがある。
ドン引きだ。
しかも、それが一年の時の副担任だった。二か月ほど停職の処分だったそうだ。
停職が解けた後も、しばらく、副担任のことをうじ虫を見るような目で見てしまったのは、仕方ないことだと思う。
ただ、彼女は胸はない。まさしくまな板だ。
私よりない。心の拠り所だ。私の精神安定剤。
じろりと睨まれた。気付かれた!相変わらず勘が鋭い。
たまらず、目をそらした。
彼女の言うことはわかる。だけど、私にはクラス委員として、一人のクラスメイトとして、彼をほっとくことができなかった。
「ひょっとして、彼のことが好きなんじゃない?」
「それはない」即答できる。そんな気持ちは断じてない。
そんなバカバカしい質問をしてくるのは、向島愛実だ。
彼女は高校からの友達でいつも恋愛に搦めてきてめんどくさいところがあるが、とてもいい子だ。
あっ、欠点がもう一つあった。巨乳だ。
死ねばいいのに……
邪念が入ってしまった。彼女は友達だ、友達。
自分に言い聞かせる。
2人とも私の大事な親友だ。
彼を見ているとあの日の出来事を思い出してしまう。
だからほっとけないと思ってしまった。
私は独善的なのだろうか。
●視点終了●
昼休み、オレは屋上に逃げてきた。
最近では、ここで食事を取っている。
屋上にはベンチが一つあり、そこに腰かけ、オレは食事を取っていた。
前までは図書室に逃げていたが、この前発見されてからはここに逃げ込んでいる。
「佐々木さんには悪いことしたかな」
クラス委員として、責任感がある行動だと思うし、好感が持てる行動だ。
正直、押しつけがましいとも思う部分もある。
彼女の気持ちは純粋にうれしい。
これは嘘偽りがない感情だ。
ただ、他人と一緒にいるのはあまり好きじゃないだけで、特に同年代は苦手だ。
趣味が合わなすぎる。
一人でいるほうが気が楽だ。
○???○
そこでは怪しげな儀式が行われていた。
そこにいるものの眼は全て濁っており、地面には奇妙な記号が幾つも描かれており、それは、魔方陣のように見える。
まさに、狂信者が悪魔でも呼び出そうとしてるイカれた儀式のようだ。
そこに一人の杖を持った老人が現れた。
全てのものは老人に傅く。
一言二言、言葉を交わすと、老人は陣の中央に行き、おもむろに杖を陣の中央に突き立てた。
それは学園にいるすべての人間の運命を変えてしまう悪魔の一撃だった。
●視点終了●
突如、学校が大きな揺れに襲われる。
それは終わりの始まりだった。