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HOPE  作者: 滝 陽水
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第七章 疑惑

第七章 疑惑



輝は気を失った研究施設で目を覚ました。

周囲を見回すと気を失う以前と変わらない光景があった…はずだったのだが。

「…綾乃?!それにお前たちは?!」

綾乃が固定されていたはずの場所には機械兵が。輝たちに何かしようとしていた機械兵は全員人間に変わっていた。

「な…綾乃…なのか?」

「輝…だよね?」

綾乃もまた輝同様に混乱している様子だった。

お互いを凝視しているところへ研究者らしき白衣を着た人が割り込んだ。

「あー君たち。私の言葉が分かるかね?」

混乱していた輝は我に返り、言葉の主を見ながら

「ああ。…お前たちは何者だ?」

「質問しているのはこちらだ。君たちは何者だね?単なる機械兵…ではないだろう?」

白衣の研究者は輝の前に立ち、バインダーに何か記入しながら輝に問いかけた。

「状況が呑み込めないかね?仕方ない。簡単に説明してやろう」

白衣の研究者は新田と名乗り、バインダーを片手に説明を始めた。

「まず、君たちが使っているそのボディは私たちが開発したRBS、リモート・バトル・システムだ。専用のコントローラーを使用して遠隔操作でロボット兵士を操ることができ、安全に戦闘を行うことができるというものだ。もっとも、少し改造されていたみたいだったので元の状態に戻した。主に視覚効果を付与するようになっていたので、人間がロボットに、ロボットが人間に見えていたはずだ」

輝は思考を巡らせていた。

(何を言っているんだ…?じゃあ、艦長はロボットってことじゃないか。これもゲームの演出なのか?いや…もしコイツの言うことが本当だとしたら…)

「おい。じゃ、これはゲームの世界の出来事じゃない…のか?」

輝の質問に新田は呆れた様子で、

「これは現実だ。ジェネラルに君たちがどのような説明をしていたのか知らないが、紛れもなく現実。ここは原生林の奥地に極秘裏に最先端技術を研究している研究施設だ」

「じゃあ、艦長も…アイも…現実に存在していて、お前たちと敵対しているのか?」

「艦長…それはジェネラルのことか?彼は我々の持てる技術の粋を結集して作られた自立型戦闘用アンドロイド指揮官のプロトタイプだ」

「…それって仲間ってことじゃないのかよ?何で俺たちを使ってまで敵対しているんだよ?」

「そうだな…簡単に経緯を話しておこう」

新田は輝に背を向けると静かに語りだした。



数年前。

研究所内、最奥の一室で静かに目覚めるアンドロイド。

大柄で逆三角のボディに海賊が被るような三角帽子をデザインされている風貌。白衣の研究者が背中のスイッチを押すと、その目に赤い光が灯り、上半身をゆっくりと起こした。

「聞こえるかね?君の名はジェネラル。これからよろしく頼む」

研究者が右手を差し出すと、ジェネラルはしばらく眺めていたがやがて、

「…了解。確認した。ヨロシク…」

と、右手を差出して握手を交わした。

その日からジェネラルは実験や教育に明け暮れる毎日となった。あらかじめ、種々のデータはインプットされていたものの、人間的な対応の仕方などは経験によるところが大きい。実戦指揮官となるからには、人間の将校同様の対応ができるようにと人間らしい対応を一から教え込んでいった。

ジェネラル起動と同時期、ジェネラルを補佐するために新たなアンドロイドが作成された。

小柄な少女のような風貌をしたアンドロイドは〝メルダ〟と命名され、また白衣を纏ったメンテナンス用アンドロイドは〝ドクター〟と命名されて、ジェネラルと同じ教育を受けていた。メルダは女性型ということもあり、アイがその教育に当たっていた。

そしてジェネラルが起動して半年ほど過ぎたある日。

いつものように新田は研修室に入るが、そこには誰もいなかった。

「ジェネラルたちがいないぞ?どこへ行った?」

無線で捜索を指示するも、今まで特に事件はなかったことからすっかり気が緩んでいたので到底発見できるはずもなく、施設内からジェネラル・ドクター・メルダ・アイは姿を消してしまった。しかも、開発したばかりのRBS五セットも消えていた。



「その後、我々は必死になってジェネラルの行方を捜していた。そんなとき、君たちがRBSを起動して我々の前に現れたのだ」

再度、輝に向き合って新田が告げた。

「さあ、次は君たちの番だ。君たちは何者だね?二階堂くん」

輝は新田の言葉に耳を疑った。

(にかいどう…くんだと?コイツら、俺のことを知っているのか?!大きな研究所だって言ってたから、もう調べはついてるってことか…)

「…もう調べはついてるんだろう?俺たちのことは。俺たちから話すことはないんじゃないか?」

新田は少し微笑むと、

「そうだね。もう調べはついている。RBSの発信元を辿っていったら小さなカフェに辿り着いてね。そこに頻繁に出入りしている五人の若者。高校生ながらその中心をなす人物…そして…」

次に新田は綾乃の方を見ながら、

「御嬢さん。何かいい情報は見つかったかな?」

綾乃は『ビクッ』と反応し、しばらく硬直していたがやがて新田に向き直る。それを確認すると新田は、

「かの桔梗コーポレーション社長令嬢にも関わらず、公立高校へ通う才女。物静かな見た目とは裏腹にライフル射撃を趣味とする活発さ。しかもその腕は一級品」

綾乃は顔色こそ分からないものの、明らかに動揺しているのが分かる。

「おや?黙秘かね?…まぁこちらとしては構わないけど、ハッキングはそろそろやめてくれないかな」

新田はそういうと綾乃の前にあるコンソールを叩く。

「…や…くっ!!」

突然綾乃が苦しそうな声を上げて身をよじる。思わず輝は、

「や、やめろ!綾乃に何をする!」

五秒ほどして新田は再びコンソールを叩くと、綾乃はグッタリと項垂れてしまった。

「いま君たちのボディは我々の制御下にある。余計なことはしないでくれよ?いいかね?」

綾乃は肩で息をしながら小さく頷く。それを確認した新田は、

「他にも学生二名に実習中の先生までいるとは、なかなか面白い。しかも全員いい戦闘力を見せてくれた。結構な実戦データが集まっていることだろう」

と嬉しそうに微笑む…というよりはニヤけながらバインダーをペンで突いている。

その様子を見ていた輝は、

「…それで?そろそろ本題に入ったらどうだ?何の意味もなく俺たちを拘束しているわけじゃないだろう」

すると新田の顔から笑みが消え、真っ直ぐに輝を見据える。

「ふむ…なかなか察しのいい。私としてはもうちょっと研究したいところだが、まぁいい。本題に入るとしよう」

(いちいち回りくどいな。インテリってのはこれだから癇に障るんだ!)

輝は多少イライラしながら新田の言葉を待った。新田も少々言葉を選んでいるようだ。

「元々ジェネラル含め、RBSすべて我々の所有物だ。すべて元通り回収することが我々の目的だ」

いままでの新田の話を信じるなら最もである。納得しながらも輝は、

「それで?俺たちはこのままここに張り付けておくつもりか?」

「もちろん、君たちには協力して欲しいと思っている。実際、RBSを使いこなしているんだから、その実戦データも欲しいところだ。なので、すべてを取り返す手伝いをして欲しい」

「手伝い…?何をしろと?」

「他のRBSを使っている三名と共闘の上、ジェネラル・ドクターを拘束して欲しい」

輝はしばらく考えを巡らせていたがやがて顔を上げると、

「…わかった。とりあえずみんなと相談したい」

「いいだろう。しかし、了承するまで君たちのRBSはこのまま拘束させてもらうよ」

「…分かった。あと…」

「何だ?」

「今まで倒してきた機械…兵に見えていたのは…」

「そうだ。うちの研究員だ。だが安心したまえ、多少の負傷者は出ているが死者まではでていない」

輝が安心したところで、

「いい返事を待っているよ」

そういうと新田は輝と綾乃の緊急脱出ボタンを押した。

輝と綾乃の機体が光を失ったのを確認すると新田は『ふぅ』と大きく溜息をついた。

「主任、応じてくれますかね…?」

周囲の研究者も心配を隠せないでいる。

「もし、応じて貰えなかったら…データよりもRBS優先だ」

新田がそう言い放つと同時に基地内への侵入者を知らせるインジケータが点滅した。

即座に端末の前に座っていたオペレータが解析すると、アイ特製のモスラちゃんが表示された。

「どうやら偵察機のようです。どうしましょう?」

新田は少し考えると、

「…このRBS機体をそこの端末で操作できないか?」

オペレータは端末を操作しながら、

「できないことはないです。完全には無理ですが、特定の動作…歩く、掴むなどの初歩的な動作ならできます」

「よし、やってくれ。侵入した偵察機を掴んで破壊させてくれ」

「了解」

オペレータは猛烈な勢いで端末を操作すると、先程まで輝と綾乃が操作していたRBS機体が動き出した。

機体が部屋を出たところにちょうど偵察機が突っ込んでくる。

「ちょうどいい。その偵察機どもを破壊しろ」

「了解」

機体は手を振り回し、蚊を落とすように破壊していく。さすがに気づかれたと思った偵察機は全機撤退していくが、そのまま追撃する。そして最後の一機を捕捉すると新田は、

「その偵察機は捕えろ。この機体を映して数秒したら潰せ」

うまく掴まれた最後のモスラちゃんを機体の方に向けて撮影させると、すぐに思い切り握りつぶした。



「くそっ!壊されたか…」

薫は悔しさからか手近にあったテーブルを殴る。大きく拳型のついたテーブルを見て目がテンになる翔と明日香。若干引きながらアイが、

「で、でも、最後に映ってたのは輝さんと綾乃さんですよね?もう釈放されたのかな??」

隠してみても声が震えている。しかし、薫はそんなことお構いなし。

「釈放されたとして、なんでモスラちゃんを潰すんだ?輝は知ってるんだろ?モスラちゃんのこと」

「いえ、輝さんと綾乃さんにはまだ紹介してなかったと思います。単なる蚊退治してしまったのかも…」

『はぁ…』と肩を落とす薫とアイ。その様子を見て翔は、

「あの…さ。いまの画像で輝と綾乃が動いているんだったらなんでレーダーには何も表示されないのさ?通信も繋がらないしさ」

と、自身の端末を操作しながら呟いた。するとアイは、

「それが、さっきから調べてはいるんですけど、どうやらプログラムを変更されてしまったらしいんですよねー」

再び『はぁ…』と溜息が漏れる四人。しかし、『グー』と何やら虫が騒いでいる。一同の視線は明日香に注目した。

「あ…あはは…。だってさーお腹空いたんだもん!」

顔を真っ赤にした明日香は必死に訴える。それもそのはず、時刻はもう二一時を経過している。

「ぷ…あっはっは!ほんっとに仕方ないヤツだな!」

薫たちは腹を抱えて笑ってしまった。ますます小さくなる明日香。そんなとき翔が、

「ま、とりあえずモスラちゃんの用意ができるまで夜食でも食べましょうか」

この提案に賛成して全員ログアウトする。その様子を見守るアイ。

(あのことを輝さんたちが知ったとしたら、艦長…もう私限界ですよ…これ以上…)



ログアウトした薫たちは〝クレスト〟の三階へ戻ってきた。

するとそこには、先にお茶をすする輝と綾乃の姿があった。

「…あれ?なんでいるんだ?」

薫・翔・明日香は見事にハモった。それはそれは綺麗に。

そんな状況にも関わらず、輝と綾乃はその神妙な面持ちを崩そうとはしない。その空気を感じた三人は、静かにソファに腰かけた。

「…じゃ、説明してもらおうか。何があったかを」

薫の問いかけに輝は少し躊躇しながら新田から聞いたことを説明した。


「…そんな!それは本当なのか?!」

薫は輝の胸倉を掴んで大きく揺すった。いつの間にかいたマスターがさすがに制止する。

「これが…実戦だったなんて…しかも相手が人間だった…?!」

「はい。視覚にフィルターのようなものが入っていて、人間の兵士が機械兵に見えるようにされていたようです」

これを聞いていた翔が口を開く。

「輝さぁ、これって『今』の話…なの?ゲームの中の話じゃ…?」

「いや、そんなことは言ってなかった。今現在、2015年だって言ってた」

『ガシャン!』

階段の方でお皿を割ったような音が響いたので全員が注目すると、メルダが顔面蒼白な様子で立っていた。

「そ…そんな、そんなはずありません!RBSは5015年と繋がっているはずです!艦長…ジェネラル様と!」

メルダは大泣きしながら輝に飛びつき、大きく揺すった。

「う…嘘です!嘘ですよね?!輝さん!嘘だと言ってください!!じゃないと私…私…」

メルダは錯乱状態となって輝の胸を叩いている。輝はメルダをそのまま受け止めると、

「ごめん…全部本当のことだ。少なくとも俺には嘘を言っているようには思えなかった」

輝はマスターにメルダを預けると、

「どうやらこのRBSは遠隔操作で戦闘行為を行う軍事兵器の試作型らしい。しかもオープニングのようなことは起こっていないような感じだった。…RBSの子機は今現在にあるらしい」

「…そん…な…ジェネラ…ルさま…」

メルダは呟きながら気絶してしまったようだ。マスターが翔の手を借りてソファに寝かしている。

手を貸した翔はふと気が付いたように、

「…ねぇマスター。メルダ、見た目よりちょっと重すぎない?」

「あぁ?気が付いたか。メルダはな、人間じゃねぇよ。いわゆるアンドロイドってやつだ」

「!!」

その場にいたマスターを除いた全員が声にならない声を上げた。マスターは構わず説明する。

「メルダはな、このRBSシステムの中枢というか、中継役らしい。黙っていたのは謝る。俺も危機的状況と聞かされていたからな。しかし、そういうことならメルダさえも偽情報に踊らされていた。と、いうことになるな。まぁ、アンドロイドなら入力されたデータを盲信するのも無理はないか…」

この状況に薫は、

「輝の話を信じるとすると、艦長改め、ジェネラルはドクター・アイ・メルダを伴って反乱を企てて、その手助けを私たちがした。ということなのか?」

「そのようですね…でも、その新田という男の言うこと。信じられるの?」

翔は輝に問いかけるが輝は、

「俺が見る限り、嘘をついているようには思えなかった。最も、研究者なんて初めて会うから、よく分からないが」

「そうか…しかしなんでいまお前たちがココにいるんだ?」

薫のこの言葉に輝は、

「なんでとはなんでですか?」

「たった今、お前たちが偵察機に映っていた。その偵察機を破壊したのもお前たちのように見えたが」

「偵察機…?俺と綾乃は十分ほど前からココにいますよ?」

「なに…?ではさっきモニターに映ったのは…?」

薫は輝たちにモスラちゃんのこと、モスラちゃんが輝たちに破壊されたことを説明した。

「…そんなことしてません!俺と綾乃はずっとここにいましたよ!」

興奮気味な輝を翔が制止する。この反応を見て薫は、

「そうか…でも確かにお前たちがモニターに映っていたんだが…」

すると黙っていた明日香が、

「…あのさ、そのRBSが視覚操作されてたって言うんならさ、輝と綾乃に見えたのってそのRBS子機ってことだよね?それが本物の輝と綾乃ってことにはならないんじゃない?」

薫は不思議そうに、

「それで何で輝じゃないって言えるんだ?」

「だから!元々RBSはその新田たちのものなんでしょ?だったらこのコントローラーを使わなくても子機くらいコントロールできるんじゃないかなーって」

「…そうか。それもそうだな!明日香冴えてるな!」

薫は明日香の頭をクシャクシャしながら撫でている。

「じゃさ、つまりこういうことだね?ジェネラルやメルダ、ドクターにアイ。そしてRBSは新田達が開発した兵器で、何らかの理由でジェネラルがすべて持ち逃げ。そして反旗を翻す手助けを僕たちがしていた」

全員が沈痛な面持ちで翔の説明に頷いた。さらに翔は続けて、

「それで新田たちは輝に、すべてを元通り回収する手伝いをしてくれと言っているんだね?」

「そういうことに…なるな」

輝は絞り出すような声で答えた。

全員考え込んでいるのか、長い沈黙が部屋を包んだ。この静寂を破ったのはマスターだった。

「なぁ、さと…いや新田って男が言ってることは確かなんだろうな?」

「たぶん…」

輝は自信なく呟いた。するとマスターは続けて、

「じゃ、次は艦長に話を聞かないとな。じゃなきゃ不公平だろう」

明日香は顔を上げるとマスターを見ながら、

「…そうだよね。新田が本当に真実を言っているのか分からないし、艦長が反乱したってことにもきっと何か理由があるはず!」

「じゃ、早速行って来よう!」

翔がコントローラーに飛び込むと明日香と薫もそれに続いた。



ブリッジではアイが小さな機械を格闘していた。どうやらモスラちゃんを製作中のようである。

翔がブリッジに飛び込むとアイは、

「きゃっ!…あ!そこ!踏まないで!!」

咄嗟に翔は立ち止まると、後ろから来ていた明日香と薫が翔にぶつかってしまう。

「ば…か!急に止まるな!」

その様子を見てい居たアイは、

「すみません。ちょっと広げちゃってて…」

と、言いながら慌てて片づける。すると薫は、

「いや、いいんだ。それより艦長はどこだ?確認したいことがあるんだが」

その言葉を聞いた途端、アイの表情が変わった。低い声で絞り出すように、

「…確認したいこと…ですか?」

その様子を見た明日香は、

「アイちゃん。あなた何か…」

アイは黙って俯いていたが、顔を上げて薫を見ると、

「知ってしまったんですね…実は」

と、アイが言いかけたところに艦長が姿を現した。

「…アイここはいい。席を外してくれるか?」

アイは何か言いたげだったが、

「…はい。分かりました」

と言うと外に出て行った。そして艦長が三人に向き直り、

「さて。まずは輝君たちから何を聞いたのか教えてくれないか?」

「その前に、このRBSの視覚効果をノーマルにしてくださいますか?艦長」

艦長はわずかに眉を寄せたが、すぐ元の表情に戻り、

「分かった。ドクター、頼む」

「ほいほい」

いつの間にかコンソールを占領していたドクターがキーを叩くと、三人の視界が一瞬ブラックアウトした。が、すぐに元の光景を映し出す…ように思われたが、三人の姿が機械兵へと変化していた。

「?!なんだこれは!!」

思わず薫は声を上げた。

「なんだって、お主らが操っているRBSの子機じゃよ」

ドクターは至って冷静な声で説明する。

「いろいろと事情があっての、お主らからは機械兵が人間に、人間が機械兵に見えるようにカスタマイズしておったんじゃ」

何か納得していない薫。しかし艦長は、

「これでもう何も操作していない。では次に報告を聞こうか?」

薫は輝たちから聞いたことを艦長に報告する。艦長は時折頷きながら黙って聞いていた。

一通り話すと薫は、

「と、いうことなのですが…艦長。率直に伺います。これらの話は真実、ですか?」

艦長は真っ直ぐに薫を見て、

「そうだな。特に間違ってはいない」

「では、艦長やドクター、アイがアンドロイドだということも?」

「確かに。メルダ同様、私とドクターはアンドロイドだ。しかし…」

「しかし?」

「アイは正真正銘、生身の人間だ」

三人は一様に驚きの表情を浮かべ、互いに顔を見合わせる。

「それは本当か?全員アンドロイドじゃないのか…?」

「いや、アイは普通の人間だ」

「でも、ずっと普通に見えているが?」

「私たちに関しては普通に見えるようにしてあったのだ。元々な」

薫は不服そうに腕を組み、

「随分都合のいい操作をしていたんだな。私たちとしてはまだ新田の話を鵜呑みにするつもりはない。まずは艦長の言い分を聞かせてもらえるか?」

長い沈黙のあと、艦長は静かに口を開いた。


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