そんじょそこらの馬の骨には負けませんよ
はい、唐突ですが今回で平安京での話は終了です
それと同時にあの人がインしてアウトしました
里帰りしてから月日は流れ、十年近くの年が過ぎた
そんな中でも俺達は早い安い強いの三拍子が揃ったとか言われてる陰陽師をやっている
時たまえーりんが送ってくる薬を売って現金に変え、えーりんにそれを渡すっていう事もしていた。俺の評判がそれなりだったからか、薬はすぐに売り切れになるようになった
しかもそんじょそこらの薬屋より安いもんだから貧乏な人の懐にも優しいと言われてるし
で、そんな事はさておいて。つい数日前気になる噂を耳にした
『炎を扱う白髪の少女が悪事を働く妖怪を片っ端から燃やし尽くしている』と
曰く、その少女は不死。曰く、その少女は半人半妖。曰く、その少女は神からの使い。曰く、その少女は悪魔……等々
だが、それだけでも判断材料は十分だった
藤原妹紅。十年ほど前に行方不明となった事は記憶にも新しかった
その名前を聞いた時思い出した事があった。妹紅はこの時代で生まれ、不老不死となったと言う事
既に役に立たないと思っていた原作知識だったが、まだ役立った
既に前世なんてあってなかったような物になってるしな……
そして、その妹紅は最近ここら辺に現れたという事も耳に挟んだ
で、そんな事は俺には関係無いと思ってた。思ってたんだが
「なんで戦うことになってるんですかねぇ!」
「おちゃらけた感じなのになんでこんなに……!」
妹紅は今、俺の目の前で炎を振るっている
放たれた炎を刀で切り捨て、返す刀で斬撃を飛ばす
その斬撃は当たったものの、すぐに再生し、炎を振るってくる
事の始まりはぬえだった
ぬえが歩いていた所でいきなり妹紅が襲って来たらしい。それを無意識の内に見てたこいしが無意識に俺に伝えたため、俺はぬえの元に行き妹紅と戦っている
そういやぁ妹紅は己を保つために妖怪を見つけたら片っ端から殺していたらしいな……俺の知識によると
「フジワラヴォルケイノ!!」
妹紅から炎の羽根が生え、灼熱の炎の塊が俺に放たれる
……うん。まぁ、普通の陰陽師ならそれで焼死するだろうな
けれど、
「俺には効かねぇな」
懐から札を一枚取り出し、霊力を込めて炎の塊に投げる
それが炎の塊に当たった瞬間、ボン!と音を立てて炎の塊は爆発した
「たーまやー」
「ナメた真似してくるわね……」
「まだ産まれて百年経ってない子供に負ける程弱かねぇよ」
ははは、と笑いながら刀で自分の肩をトントン。と叩く
「……聞き忘れてたけどなんであの妖怪の味方するの」
妹紅が俺の後ろにいるぬえを指さして言ってくる
「そりゃあ友人だからだ。こう見えても交友関係は広いんでな」
どれくらいかって?そりゃあ神から妖精まで様々さ
……あと、今思ったんだが、ぬえなら妹紅から普通に逃げれると思うんだ。普通に強いし
「じゃあこっちから聞くが、なんでぬえを襲った?」
「……何となくよ」
「……まぁ、なんとなく分かってたけど……」
自分を保つためにってか。まぁ、不老不死がどんだけ恐ろしいか分からずになったんならご愁傷様としか言い様がないんだけどな
「己を保つ為ってんなら世のため人のため戦ったらどうだ?藤原妹紅」
「ッ!……どこで私の名前を?」
「風の噂だ」
昔の俺は……うん、こういっちゃ何だが快落殺人してた感じだからな……人の為と言って人を襲ってる妖怪を進んで殺していた
ソル達が居なければ今の俺はいなくて妖怪を普通に殺す神になってただろうな。まぁ、そっちが普通なんだろうけどさ
「斯く言う俺も不老不死と似た感じでな」
「……なんで不老不死の事を」
今度は本当に驚いたといった感じの顔をしている
あ、やべ。ついつい……
「ま、まぁ差し詰め死んだ後に生き返った所を見られて妖怪とでも勘違いされたか?」
話題変更しなければ
妹紅がこんなところに居るなんてそういう事がなければまず無いだろう
「……そうだよ。数日前まで暮らしていた村で妖怪と戦ってたら食われて……生き返ってそいつを殺したら私が悪魔だとか言われて……逃げて……気が付いたらここに居て、目の前にそいつがいて……」
「八つ当たりかよ……まぁ、分からんでもないが」
「その答えはおかしい」
うるせぇぬえ。八つ当たりするぞ。主に重役共の対応で溜まったストレスをお前で発散するぞ
最近のストレス発散用具は木だな。大体一年一本ペース
「……まぁ、話の合う友人の一人や二人作れ。一人じゃ何時か壊れるぜ。人生の先輩からの言葉だ」
「歳はじじいどころか化石だもんね」
「うるせぇぬえ。埋めるぞ」
「埋める!?」
分かってんだよ!俺がもう化石相応の歳だって!
精神は歳不相応だけどな!!
「……あんたも不老不死……?」
「うんにゃ。古代からの神だよ。長生きしすぎただけさ」
「ちょっ、埋まる埋まる!!本当に埋まる!!」
俺よりえーりんの方が長生きってのは言うのは止めておこう。神速の矢が頬を掠ったし
「妖精でも妖怪でも、友達はいる方がいいぜ」
「ホントやめて!下半身埋まってるから!!」
「……アホらし」
それは俺に言ってるのか俺の行動に言ってるのかハッキリさせてくれませんかね。じゃないとぬえを埋める速度を上げるぞ
「あんた見てると不老不死で悩んでるのがアホらしくなってきた」
「だろ?」
「だろ?って……まぁ、私は次の住処探すわ……」
「話が合うやつ探せよー」
妹紅が去っていった
さて、ぬえを埋める作業を再開するか
「いい加減にせんかぁぁぁぁ!!」
ぬえの姿がいきなり巨大なGに……
うーん、とれびあん。私は意識を失った。スイーツ(笑)
で、翌日な訳ですよ。気付いたら家の中だったんだ
まぁ、巨大なGを見て無事な人間なんて居ないよね。あ、人間じゃないか
なんか妹紅との話、あっさりとしてたな……ま、大体初対面の人間との会話なんてそんなモンだろ
無事に話の合う友人を見つけれる事を祈っておこう。あ、神の俺が祈るっておかしいか
さて、今日も精一杯頑張りますか
「暮羽!起きてる!?」
と、起き上がった所で扉が蹴り開けられた
「よう、ルーミア」
何故かルーミアは息が切れていた
「何呑気にしてんのよ!」
「何が起きたんだよ。なんか悪い噂でも流れたか?」
「そうよ!ぬえを退治しなかった事がバレたのよ!」
うげぇ……マジかよ……
って、なんでバレたんだ……十年間バレてなかったのに……
って、その前に
「それがどうかしたのか?ぬえ一人ならあっちに匿っておけば……」
「そのせいであんたが妖怪だとか人間を裏切ったとか言われてんのよ!」
……あぁ、成程
「『妖怪鵺を匿ったのは人間を裏切ったからだ。人間を裏切ったからにはあいつも妖怪だ。そうに違いない』……とかの妄言か?」
まぁ、十年近く容姿が変わってないところで何時か人ではないとバレるかと思ったんだがな……
「ほんと、人間は単純過ぎるのよ。で、早く誤解を解かないとここには住めなくなるわよ。今こいしが情報集めてるわ」
「……いや、このままでいいさ」
「はぁ!?」
何時までもここで住むなんて思っちゃあいないからな。ちょうどいいかもしれない
「っつか、なんでぬえを退治しなかったのがバレたんだ?」
「あんた、昨日白髪の女と戦ったでしょ」
妹紅の事か。あぁ、一応な。とだけ返しておく
寝ぼけてるからかなんか色々と冷静に判断できるな……適当なだけか
「その時ぬえが居たでしょ?それを数人に見られたらしくて……」
「ぬえが化けたところを見られてあれはぬえだと」
「しかもそのぬえがあんたをここに運んだのが決め手になったらしいわ」
まぁ、普通は妖怪と人間の共存なんて式とその主のような関係じゃなければまず有り得ないしな……
半人半妖もあるけど、それは人から嫌われる可能性の方が高いし
「で、あんたを封印するとか……」
「……おいおい、何だよそれ」
何故そこから封印っていう結論になるんだ。精々退治とかそんぐらいだろ
「あの白髪女、巷じゃかなり強いって評判なのよ。そりゃあ一流陰陽師だっけ蹴散らせるくらいに。実際蹴散らされたらしいし」
「妹紅は強いからな。一流(笑)陰陽師じゃ勝てねぇさ」
大体一流名乗ってる奴って弱くて三流名乗ってる奴の方が強いんだよな……
俺?俺は自称三流だよ
「それを赤子をあしらうかのように軽く蹴散らしたあんたは驚異になるから封印するって……」
「蹴散らしてねぇぞ……」
「傍からはそう見えたんじゃない?」
ったく、俺は善良(笑)な現人神なのに……神力出してお帰り願おうかな……
取り敢えず、こいしは通信符で呼び戻しておこう
と、通信符を取り出した時、バン!!とドアが開いた音がした
「暮羽様!!」
「え、ちょっ、ぐへぁっ!」
そのままその人物がルーミアを吹っ飛ばした部屋に入室してくる
「霊陽さん?」
「京での噂、どういう事ですか!?」
俺の肩を掴んでガクンガクンと揺らしてくる霊陽さん
あばばばばば脳みそがシェイクされるぅぅぅぅぅ……
「ちょっ、暮羽が逝きかけてる!」
「え、あっ」
パッと離してくる霊陽さん
寝起きには案外キツかった
「それより!説明してください!」
とりあえず霊陽さんに昨日の事とか色々と説明する
「そんな……暮羽様は悪くありませんよ!」
「霊陽さん……」
「ちょっと色々と事情説明してきます!ぬえさんの事もちゃんと話せば……」
霊陽さんはやっぱり優しいな……けど、
「もう、遅い」
「え?」
着弾まで、残り五秒
「……シッ!!」
壁に向かって斬撃を飛ばす
斬撃は壁を安安と壊し突き進み、壁に当たる直前だった霊力弾を切り裂いた
「霊陽さん、短い間だったけど、また会えて嬉しかった。俺はあそこに何時までもいるから暇になったら来てくれ」
刀を鞘に収め、腰に下げる
「暮羽様……?」
「ルーミア、こいしは?」
「帰らせたわ」
こいしは戦闘は殆ど出来ないからな……逃がさないと万が一の事も考えられる
「霊陽さん、この家は好きなように使ってくれ」
「なら私も一緒に……!」
「あなたはここを守ってくれ。俺からの頼みだ」
窓を開いて外に飛び出す
「暮羽さ……」
「ごめんなさい、ちょっと寝てて」
俺を追いかけようとした霊陽さんの首筋に手刀を当てて気絶させるルーミア
すまんな。と言うと別に。と素っ気なく返され、俺の横に立った
目の前には二十人位の陰陽師
どれも弱い。霊陽さんよりも何倍も弱い
「桜庭暮羽!貴様を封印する!」
さて……ここはいっちょ悪役をやってみますか
刀を居合いの要領で引き抜き、地面から斬撃を走らせる
斬撃は一瞬で陰陽師の間をすり抜け、木を縦に割った
「……俺達を相手にしたら死ぬぜ?」
殺しはしない。けど、なるべくこんな面倒な事はしたくない
だから、何の力も無い大人なら一瞬で気を失う位の殺気を陰陽師共に浴びせる
「ッ!?……怯むな!奴を封印しろ!!」
これでも力の差が分からないか……
それに、なんで妖力の無い俺を封印しようとするかね……
まぁ、力の持ち過ぎた危険因子は排除したがるのが人間ってモンだしな
「ルーミア。五人頼む」
「十人よ。十人やるわ」
「殺すなよ」
「チッ……面倒ね。分かってるわよ」
ルーミアが俺から離れ、闇の中から大剣を取り出し、片手で構える
さて、俺もやりますか
「ふぅぅ……」
霊力を目の前で凝縮させる
トワイライトに似た感じだ。周囲の霊力もかき集め、霊力の球を作る
さらになけなしの魔力も注ぎ込み、神力も注ぎ込む
その時点で球は超巨大になっていた
「な、なんだあれは……」
「纏まるな!散らばれ!!」
俺が今から撃つのが砲撃だと分かったのか、参解して散らばる陰陽師共
十人はルーミアが……あ、終わりかけてる
残りの十人もさっさと片付けるか……
異世界で出会ったあいつ等の技……使わせてもらうぜ
「集束魔法……「スターライトブレイカー・マルチレイド」!!」
その巨大な球を力一杯殴る
刹那、その球から五つの巨大な砲撃が発射され、あまりの事に驚き硬直していた陰陽師五人を呑み込んだ
残り五人!
「な、何をやっている!とっとと封印しろ!!」
「遅い!!」
刀を抜き、瞬動で一人の陰陽師へと接近し、懐に入る
刀を逆に構え、峰の部分に霊力を乗せる
「瞬足「雷光一閃」!!」
峰の部分で陰陽師の体を捉え、力任せにぶん回し、吹っ飛ばす
残り四!!
「喰らえぃ!!」
残った陰陽師四人が霊力弾を単発で放ってくる
威力は……まぁ、そこそこだな
だが、その程度じゃ俺には当たらねぇ
「宝具「エクスカリバー」!!」
刀に霊力を纏わせ、横に思いっきり一振りして霊力の斬撃を飛ばす
その斬撃はいとも容易く霊力弾を切り裂き、四人の内一人が避けきれず斬撃に当たって吹き飛んだ
避けた事でホッとしてる三人の内、一人に瞬動で接近
「必殺「クリムゾンスマッシュ」!」
顎を蹴り上げ、そいつを宙に浮かせる
そのまま軽く飛び上がって飛び蹴りを鳩尾に叩き込み、霊力を爆発させてそいつを吹っ飛ばし、俺はその反動を使って着地する
「たかが一人に……!」
「言ったろ?死ぬって。パイロシューター!」
炎のように赤く揺らめく霊力弾を十五発、一人に向けて放つ
「ッ!この程度!」
そいつはお札を使ってパイロシューターを相殺する
「その程度を相殺した程度で意気がるな。炎符「ナロースパーク・タイラント」!」
そいつに向けてパイロシューターに続けてナロースパーク・タイラントを放った
それもお札で相殺しようとしたが、その程度の札でどうこう出来る出力には設定していない
ナロースパーク・タイラントをまともに受けて吹っ飛び、気絶する
よし、ラスト一人
「悪いが、気絶しておけ」
瞬動で一気に接近する
「撃符「瞬動の拳」」
そのままの勢いで鳩尾を殴り、気絶させる
さて、周りは死屍累々。死んじゃあいないが死屍累々
「……さて、ルーミア。帰るか」
「そうね。とっとと帰りましょう」
こうして、唐突に俺達の京での暮らしは終わりを迎えた
まぁ、あっちに戻ってまた前みたいにバカ騒ぎやって楽しく暮らしていきますかね
と、言うわけでもこたん登場。ですが出番はこの先暫くないと思います
霊陽さんは今後、ゲストとして登場するかもしれません。命蓮寺の方達は星蓮船まで出番カットです
なんやかんやで今までで一番長い章となりました
これで転生人録の話は半分程度終わったかな?次回から適当にドタバタした日常を挟んでからオリジナルの話を挟んで幻想郷での話を書いていきます
あと、ネタ募集中です。書いてほしい話とかあったら感想に書いてください。そうしたらなるべく早く投稿出来るかもしれません