馬鹿と依頼と向日葵と
今回はゆうかりんの登場です
さて、ゆかりんは何時出そうか……
再びまた何日かの時が経った
その間にも依頼はなく、霊陽さん……いや、霊花さんって呼んだ方がいいのか?
まぁ、霊花さんと京の中を散歩してたり、ルーミアと団子食べに行ったり、こいしの無意識散歩に付き合って迷ったり……
まぁ、そんなことの繰り返しだった
そんな平和なら、俺も嬉しいんだけどなぁ
「今日は何処行こうか……」
あっちに居た頃はドタバタしまくりだったから暇することは無かったんだが……
うん。今日は一人で何処か彷徨くか
さて、そうと決まったら適当に準備して……
『すみません!』
……おっと、依頼みたいだ
「はいはいただいま行きますので~」
準備しておいたものを適当にポイして玄関まで小走りで移動する
そして、そのままドアを開ける
「依頼ですか?」
「はい……どうか話だけでも……」
「まぁ、こんなところで話すのもあれなのでどうぞ入ってください」
来たのは女の人一人だけだった
でも、それなりに歳もとってるみたいだし、子供も居るだろうな……
何かあったのか?
ってか、何かないとこんな所には来ないな。うん
「ルーミアとこいしは……出掛けたか?取り敢えず、座ってください」
女の人を座らせ、その正面に俺が座る
確かそこの引き出しに菓子があった筈……あったあった
「どうぞ。安物ですけど」
「はぁ……」
それを出して、コホンと咳払いをして気持ちを切り替える
「で、何のご用でしょうか?」
なるべく大物って雰囲気を出して話しかける
神力出せば簡単なんだろうけど、それだと崇められる。それは流石に嫌だ
「先日の事です……娘が『太陽の畑』に行ったきり帰ってこなくて」
ほうほう。太陽の畑ねぇ……あの風見幽花がいるあの……
「い、今なんと?」
思わず聞き返した
いや、マジで?
「太陽の畑と言いました……」
「おうっふ……」
あ~……こりゃなんかのフラグ建ったかー?
「それで、娘が生きているか……生きていたら連れ戻して欲しいのです……」
花をちぎってたらアウトだな……
「報酬もこれだけしか用意できず……」
女の人の懐から袋に入った金が取り出され、俺と女の人の間に置かれた
「そのせいで陰陽師の方々には門前払いさせられ……」
「でしょうなぁ……」
俺だって原作知識の他に噂で太陽の畑の事は聞いている
行ったものは帰って来れない、凄く強い妖怪がいる等
(自称)凄腕陰陽師だって何人も討伐に行ったらしいが、全員生きて帰ってこなかったらしい
「今、夫と手分けして受けてくれる方を探してるので、これの倍程になると……」
夫さんも居たのね
「中々面倒な依頼ですねぇ……」
「駄目ですよね……すみません、お時間を取らせてしまって……」
女の人が立ち上がって帰ろうとするが、なんとかそれを止めてもう一度座らせる
ちゃんと説得しなければ……と思った矢先、またドアが叩かれた
「すみません、ちょっと客が……」
「は、はぁ……」
誰だよ全く……
こちとら仕事中だってのに……
「誰ですか~?」
「貴様が最近巷でデカイ顔しているという桜庭暮羽か?」
うわぁ、もう服装から見てわかる。こいつ、位が上のお偉いさんだよぉ……
返したい。ケツひっぱたいて投げ返したい
けど、取り敢えず上げておくか
「デカイ顔してませんが、まぁ入ってくださいや。一人客が来てますけども」
「ふん。よかろう」
うわぁ、ぶん殴りてぇ
「すみません、奥さん。ちょっと相席になりますが……」
「こちらは構いませんが……」
「随分と貧乏臭い部屋だな。おい、我を持て成せ」
「チッ……はいはい、ただいま~」
聞こえないように舌打ちをしてお茶を取りに行く
取り敢えず、奥さんの分は高級なお茶にして、あの貴族っぽい馬鹿には超安物でいいや
この高級なお茶はほんと高かった……
「粗茶ですが……」
奥さんに高級なお茶、馬鹿に超安物のお茶を出す
「あら……すっごい美味しい……」
「何だこれは!安物ではないか!」
「え?」
馬鹿の言葉に驚いた奥さんだが、口に指を当て、秘密にしておいてくださいと念を送った
届いたのか何なのかはわからないが、奥さんは微笑んでくれた
「で、依頼はなんでしょうか?」
面倒だが、相手しないと理不尽にキレるし、相手をする
「貴様には風見幽香の討伐を依頼したい」
……もういやー
「貴様も知っているだろう。太陽の畑に居るという花の妖怪だ」
「えぇ知ってますとも」
「これが報酬だ」
馬鹿が持ってきた鞄から大量の金を取り出す
奥さんはそれに目を奪われ、もう自分の依頼は受けてもらえないだろうと絶望に染まった顔をしている
「当然、受けるだろうな?」
馬鹿が俺を睨みつけてくる
あ~うぜぇ
「お断りします」
「なんだと!?」
俺の言葉に奥さんも驚いた
「ってな訳で出て行きやがれこの野郎」
「貴様……誰に向かって口を聞いている!」
「あ?誰ってお前だよ」
「貴様……我を侮辱するか!」
「るっせぇ。お前のような奴は大っ嫌いなんだよ。てな訳で……」
馬鹿の首根っこを掴み、そのまま外に連れ出す
「帰りやがれ!」
そのまま馬鹿のケツを蹴りあげる
「ぐおっ!?」
「ケッ。二度と来んな」
俺はドアを閉じた
さて、後は奥さんか
「すみません、お見苦しい所を見せてしまって」
「構いません……ですけど、私程度の依頼じゃ受けてもらえませんよね……」
と言うと、問答無用で出ていこうとする
それを急いで止める
「お、奥さん!受けないとは言ってませんって!」
「ま、まさか……」
「受けさせてもらいますよ。報酬もこれの半分で構いません。全力を持ってやらせて頂きます」
奥さんの顔が一気に明るくなる
「けれど、報酬の方は……」
「娘さんにでも使ってやってください」
そして、俺は立ち上がる
「何処へ……?」
「準備ですよ。今回の相手は大妖怪の中でも最強に近い相手です。完全な装備で行かないとこっちが殺られますから」
まぁ、戦わないのが一番なんだけどな
風見幽花と接触せず、迷ってるだけなら、速保護。そして即退散
接触したてなら俺が囮になって風見幽花と戦う
手遅れならせめて遺品でも持っていく
それが今回の依頼でやること
最後のは俺だって御免だけどな
取り敢えず、符は最高の物を百枚以上。そんでもって俺の愛刀
そして少しの食料と水
……あれ?俺って馬鹿みたいに軽装じゃね?
取り敢えずもう少し符は持っていくか……腐らせておくのもあれだし
そして、奥さんの居る部屋に行く
「奥さんはここで待っててください。俺が死んだら俺の式が大慌てで来ると思いますので。その時は依頼自体無かった事にして頂いて構いませんので」
それだけ伝え、俺は玄関を出た
さて、行こうか……
~青年移動中~
えっと、太陽の畑はあっちだな
うわ~……心臓がバクバク言ってる。帰りて~でも帰れね~
「あれ?暮羽様?」
後ろから声をかけられた
その声は……
「霊花さんか?」
「はい。数日振りです」
霊花さんがなんかすっごい重装備で立っていた
重装備と言っても、符を大量に持ってたりホーミングアミュレットを何個も持ってたりする位だが
「どうしてここに?ここから先は太陽の畑ですよ?」
霊花さんに聞かれたから、取り敢えずここに居る理由を話した
「私と同じですね。私も先ほど男の方に依頼を頼まれたんです」
「って事は目的は同じか」
「暮羽様と一緒なら負ける気がしません!」
いや~……熱くなってるところに水をぶっかけるようだけど、今回は俺も負けるかもしれないからね?
なんやかんやで大妖怪なんて鬼以外初めてだからね?
あれ?俺って言うほど強敵と戦ってない……
ま、まぁ勝てばいいのだよ!!勝てばな!!
「じゃあ一緒に行くか。霊花さん」
「はい!」
~青年等移動中~
えっと、ここが太陽の畑の入口か?
向日葵が凄いし
「うわ~……凄いですね~」
「あぁ……向日葵が凄いな……」
しかもデカイ
俺達の身長を軽く超すほどだった
それに、地面はちゃんと整備されてる。雑草は少しも生えていない
その道を歩いていく
迷いそうだったが、そこは気合だ
「こんな所に妖怪なんて居るんですかね……?」
「さぁな……取り敢えず娘さんを回収したら帰ろう」
「私もそのつもりです。また吸血鬼やゾンビの超大群と戦ったときみたいに何日も戦うのは懲り懲りですからあはは~……」
霊花さん……一体全体何と戦ってきたんだ……
しかも、目が何処か明後日の方向見てるし……
大変だったんだろうなぁ……
……おっ、なんかあそこが拓けてるな
「霊花さん、あそこで休憩しよう」
「ふぇ?あ、そうですね」
良かった、戻ってきた
今度転生してる間に何があったか聞いてみるか……
「……あれ?なんか家が……」
うん。見えるね。家が
これは……あれだ
ミスったァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!
イヤァァぁぁァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!
「あれ?あそこに寝てるのって」
娘さんがベンチで寝てるゥゥゥゥゥ!!?
「って、暮羽様?顔色がもう土の色になってますよ?」
「い、いや……気にしないで……」
ととととと取り敢えず娘さんを回収して……
「あなた達?私の庭で何をしてるのかしら?」
後ろから声かけられた
オワタ
「……あそこに寝てる子を依頼で回収しに来ました」
「あらそうなの?」
くっ、ここは俺が囮になって……
「いいわよ?連れていきなさい」
『……え?』
振り向くと、そこには日傘をさした緑色の髪をショートにした赤目の女性……
確かに風見幽香だ。俺の記憶と容姿がすべて合致した
「あと、あの子にこれをあげてくれない?」
ひゅっと幽香が霊花さんに何かを投げ渡す
「花冠……?」
「枯れかけの子達で作ったものよ。最後に輝かせてあげて」
霊花さんが娘さんを回収しに行く
まぁ、これでなんとかなったのか?
「それよりあなた?」
「俺の事か?」
「すこし……戦ってくれないかしら?」
「は?」
聞き返した瞬間、幽香が一瞬で間合いを詰めた
それと同時に瞬動で後ろに下がり、難を避ける
「暮羽様!?」
「霊陽さん!その子を早く連れていって!ついでに俺の家にいる奥さんもよろしく!」
「ですけど!」
「早く!!」
「……分かりました!」
霊花さんがベンチに寝てる娘さんを抱き上げると、京に向けて飛んでいった
「今まで来たのは弱い奴ばかり……あなたは楽しませてくれるかしら?」
「冗談じゃねぇ。隙を見て帰らせてもらう」
「大丈夫よ。殺しはしないわ」
幽香が日傘を閉じてこっちに向ける
日傘の先端に妖力が溜まっていく
これは……こっちもやらせてもらうか!
「元祖!」
「霊砲!」
『「マスタースパーク」!』
全く同時にマスタースパークが放たれる
数秒の拮抗の後、こっちのマスタースパークが幽香のマスタースパークを押し返し始める
「中々のものね」
「そりゃどうも」
「なら、これならどうかしら?」
幽香が二人に分身した
『「ダブルスパーク」!』
二人の幽香からマスタースパークが放たれ、こっちのマスタースパークが押され始める
これは……あれを使うか
「受けてみな……これが俺の全力全開!」
あっちの世界で知り合ったあいつの言葉を少し使わせてもらう
霊力が手に集まっていき、巨大な玉となる。さらに神力も合わさり、灰色と七色の組み合わさった玉となった
「究極「トワイライトスパーク」!!」
その玉をぶん殴り、全力のトワイライトスパークを幽香に向けてぶっぱなした
「さすがに不味いわね……」
幽香のダブルスパークをトワイライトスパークは一気に飲みこんでいく
「くっ!」
幽香がダブルスパークの発射を止めて横に向けて跳躍し、そのまま俺に向けて突っ込んでくる
俺もトワイライトスパークを止めて幽香を迎え撃つ
最初に日傘て横凪に一閃。それを刀で防ぐ。何故か金属と金属のぶつかる音が聞こえた。その日傘、何製だよ……
続いて放たれた拳を横に手を当て、軌道をそらす
その隙に幽香に向けて拳を振るう
か、かわされる。俺は刀を地面に突き刺し、刀を持っていた右手でもう一発
幽香はそれを同じように日傘を地面に刺し、手を添えて顔面直撃コースの拳をよける
そして、もう一度同じように左手で攻撃するも、よけられる
今度は足を軸に回転し、幽香に向けて裏拳を放つ
が、それを幽香は危なげなくしゃがんで避ける
そして、そのまま俺の足を払った
バランスを崩されたが、地面に両手をつき、後方に向けて飛んだ
そして、追撃しようと突っ込んできた幽香の両手を掴み、腹に蹴りを一発
そのまま巴投げを決め込む
あっぶね~……
「あなた……神様だったのね……」
「分かっちまった?」
「そりゃあ分かるわよ」
幽香は軽口を叩きながらすぐに起き上がる
あの様子だとダメージは殆ど入ってないな
今度はこっちから行かせてもらう!
一歩踏み込むと同時に瞬動。そのまま二歩、三歩と踏み出す
「三歩必殺!!」
三歩目を踏み出すと同時に全力の拳を幽香に向けて放つ
「甘いわ」
が、幽香は拳の横に手を添え、三歩必殺を横にそらす
俺はその勢いを殺さず、幽香の横を倒れるように通り抜け、地面に手を付くと同時にその手を軸に回転、そのまま幽香に向けて蹴りを放つ
が、幽香はそれを腕で受け止め、俺の顔面を蹴り上げようとしてくる
俺は片手を地面離し、蹴りを手で受け、そのまま吹っ飛ぶ
受身をとって地面を滑りながら着地し、瞬動で幽香の後ろに回り込む
そして、首に向けて手刀を一閃
が、幽香はそれをしゃがんで避ける
そして、そのまま拳を鳩尾に当てようとしてくるが、体を無理矢理そらし、それをかわし、しゃがんだまま、幽香の顔に向けて拳を放った
が、それと同時に幽香も拳を放っていた
俺と幽香は全く同時に拳を寸止めした
「まさか私と互角に渡り合えるなんてね……久々にぞくぞくしたわ」
「こっちは恐怖的な意味でぞくぞくしっぱなしだけどな……」
「そう……まぁ、今日は特にこのまま続ける理由もないし止めさせてもらうわ」
幽香は立ち上がり、刺してある日傘を引っこ抜いてブンブンと振り回し土を払った
俺も羽桜刀を抜けとり、血払いの要領で土を振り払い、鞘に収めた
「私は花さえ無事なら何もしないわ。それだけ覚えておいて」
「分かった。けど、お前を退治しに来る馬鹿どもは?」
「殺すわ。ウザったいもの。返して私が降参したとか噂が広まったら嫌だもの」
「まぁ、そうだろうな。けど、せめて半殺しにしておいてくれないか?ちょっと殺し過ぎて俺が駆り出されたら嫌だ」
「善処するわ」
幽香は土が日傘に付いてない事を確認すると、日傘をさした
「私は風見幽香よ。フラワーマスターと言われているわ」
「俺は桜庭暮羽。ここから離れた土地で神様やってる。現人神だ」
「もう会うことは無いでしょうけど、私以外の奴に殺されたら許さないわよ?あなたを殺すのは私」
「おいこら」
「悔しいもの。ここまで互角の戦いされたら」
「じゃあもう二度と会わねぇ。まだ転生してくる娘を待ってる途中だ」
「子持ちだったのね。まぁいいわ。とにかく、私以外の奴には殺されないようにしなさい。とは言っても、あなたを殺すのは本当に気が向いた時になりそうだけど」
「はいはい」
軽口叩きながら、俺は改めて周りを見渡す
辺り一面向日葵だらけだ
確かに、これは太陽の畑とも言えるな
「もし、娘が転生してきたらここに来てもいいか?ここまで綺麗な向日葵畑はこの世のどこにも無いだろうしな」
「嬉しいこと言ってくれるわね。いいわよ。特別に許してあげる」
「ついでに飲みに来てもいいか?」
「お酒?なら私にも飲ませなさい。それが条件よ」
「了解。とびっきりの酒をご馳走してやる」
「待ってるわよ。それじゃ、死なないようにね」
幽香は踵を返すと、赤色の屋根の家に向かって歩いていった
……さて、俺も帰るとするか。久々に接戦をして疲れた
~青年移動中~
「ただいま~」
「あ、暮羽様!」
家に帰ると、丁度霊花さんがお茶をお盆に乗せて来客用の部屋に持っていく所だった
「だ、大丈夫でしたか!?」
「ちょっとキツかったが、なんとかなった。あと、あそこに花見に行くのも許可してくれた」
「本当に何があったんですか!?」
ご想像にお任せしますよと言いながら、来客用の部屋に入ると、奥さんと旦那さんと思われる男性、そして花冠を被って笑顔の娘さんがいた
「取り敢えず、依頼は完了でいいですかね?もう風見幽香とは戦いたくないのが本心なんですが……」
「はい!本当にありがとうございました……本当になんとお礼を言えば……」
「気にしないでください。それよりも、娘さんをちゃんといい子に育ててあげてくださいね」
「はい!」
俺と霊花さんの言葉に奥さんと旦那さんは涙目になりながら返事をした
まぁ、一件落着だな
「そういえば……何故あの方の依頼は受けなかったのですか?報酬も私達と比べて格段に良かったのに……」
と、奥さんが聞いてきた
あの方って言うと……あの馬鹿か
「なに、簡単な事ですよ」
ふっ、と軽く笑った後、俺は本心から思ったことを言った
「ああいう馬鹿は嫌いなんですよ。俺は」
なんかネタが尽きかけ。そして三人称視点が恋しいです
今回はルーミアとこいしとぬえの出番はありませんでした
次回は神社で留守番組+さとりの日常かな?
あと、余裕もあれば霊陽さんの何回もの人生をダイジェストで番外編として投稿しようと思います
でわでわ、また次回、お会いしましょう
なるべく来週の内には投稿したいなー