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東方転生人録  作者: 黄金馬鹿
百励編其の二
61/84

娘は大切にしましょう

ちょっと短いです

「マスタースパーク!!!」

「ぎゃぁぁぁ!!!」


ったく、これで何人目だ?


なんだか最近、自分が強いと盲信している陰陽師がこの里に次々に現れている


「夢想天生……!!」

「ぐはぁっ!!?」


その陰陽師達を撃退するのも一々面倒な訳で、最近は香李も手伝ってくれている


香李だけで相手した人数も含めれば三十人はいるだろう


だが、香李ももう四十代後半だ


段々と老化も始まっている


外見はまだ二十代にしか見えないが


「はぁ……はぁ……」

「大丈夫か?香李」

「はい……」


霊力の量が増えたとしても体力はそう簡単には増えない。それに、香李は実践慣れなんてしていない


ぶっちゃけ、旅の時は殆ど俺が相手してたし、香李が戦ったのなんて妖怪の山の連中が攻めてきたとき位で、後は春告精を撃ち落とす時くらいだ


「神様が頑張ってるのに、巫女が休んでられませんから……」

「……ほんと、親孝行な娘を持って幸せだよ。今日は帰った方がいい。少し休め」

「すみませんがそうさせてもらいます……」


取り合えず、香李を帰らせる


夢想天生なんて使って無茶なんかするなっての


……さて、


「残りの馬鹿を潰すか」


数はあと二人ほど。木の影で奇襲を狙っている


このまま誘導弾で潰しても構わないが、ここはちょっと遊ぼう


わざと背中を向けてその場に胡座をかく


で、徐に水筒の中の水を飲む


それを隙とみたのか、馬鹿が札を投げてきた


その札を掴み、瞬動で陰陽師の後ろに回り込み、そのまま蹴りを入れて吹っ飛ばす


吹っ飛ばし、片足が地面に着いた所でもう一度瞬動。零距離でマスタースパークを放つ


これで終わり


「格が違うんだよ。格が」


適当に陰陽師共をひっとらえてそのまま里のそとまでポイする


死にはしないだろう


「見事なものね」

「ん?さとりか。これくらいは朝飯前さ」

「貴方、鬼神とかじゃないかしら?強さが出鱈目よ」

「馬鹿言うな。俺より強いやつなんてまだまだ居る」

「まぁ、それはいいわ」


ってか、何しに来たんだ?


「……あの子、そろそろ寿命でしょ?」

「……そうだな。十年持つか持たないか……だな」


五年後には戦いなんて出来やしないだろう


「あの子が死んだらどうするつもり?」

「新しい巫女を探す」

「何時ものように?」

「……それしか無いだろうが。蘇生なんか出来やしない。出来たとしてもそれはこの世への冒涜だ」

「そこまで聞いたわけではないわ。ただ、どうするのか聞いただけよ」

「そうかい」

「娘はあの子だけなの?」

「俺の娘は香李だけだ」


今までも、これからもな


「そう。十年後はざめざめ泣かないようにね。あの世であの子が心配するわよ?」

「んな自信ねぇよ」


そう言って軽く笑いながら帰路につく


毎回毎回、巫女さんが死ぬ度に泣いてるが、人が死ぬのに慣れる事が出来るのなんてそりゃあ妖怪や妖精か根っからの神様位だろう


現人神には少しキツすぎる


あ、着いた


「ただいま~」


そのまま玄関から神社の中に入り、自室に入る


はぁ……あと数十年って所か……


人間の寿命は短いな……だけど、それが儚くて愛しい……


あいつにとっては一生でも、俺達にとっては須臾に過ぎない


何時からだろうか……百年が短いと感じるようになってきたのは……


前世は百年なんて言ったら長ぇと言いながらふざけて笑ってたのに……


今や千年すら短いように感じてしまう


諏訪子達はそれが当たり前なんだろうな


……さて、今日は俺が夕飯を作るとするか


何時までも香李に作ってもらうのは気が引けるしな


例え、あと数十年だとしても、精一杯愛情注いで育てますかね




「……暮羽も、思い詰めることがあるのね」


私が覗いた彼の心の中は迷いで一杯だった


自分に何が出来るか、何をしてやろうか、そんなことが


私は子供なんて持ったことは無い。ましてや人間の子供なんて


だから、彼にはいい助言なんて出来やしない


普通はあんなに長生きしてきた生き物は命が散るのに慣れてしまう。勿論、何百年と生きてきた私もこいしも


もう何度も、命が散っていく瞬間を見てきた


彼もそうだろう。まぁ、人間の心があるのに、命が目の前で散るのに慣れろ。なんて無茶ぶり、言える筈が無いけれどね


でも、彼がずっとざめざめ泣いてたらこっちまで気が滅入ってしまうわ。勿論、凹んでてもね


人間の子供を持つってのも考えものね


さて、また陰陽師が来たみたいね。懲りないわね。ほんと


「彼等はお疲れでしょうし、私がお相手しようかしら」

「それには及ばないわよ」

「あら、ルーミア」


まぁ、居たのは分かってたけどね


「私がやるわ」

「それを手伝うと言ったら?」

「……足引っ張らないでよ?」

「分かってるわよ。あんな人間程度に負けやしないわ」


せめて、こういう苦労くらいは変わってあげないとね

次回、百励編其の二完結です

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