心を読めるってのも問題
はい、あの姉妹の登場です
「ここが人妖共に平和に暮らせる楽園……」
「お姉ちゃん……」
「大丈夫よ。きっと、ここだったら……」
多分、私達は平和に暮らせる……
「じゃあ、ちょっと出掛けてきますね」
「あぁ、気を付けてな」
「分かってますよ」
どうも、暮羽だ
香李が二十代になりました
かなり美人なのに全く男の話を聞きません
お父さん、心配です
ものっすごく心配です
「親バカ」
「そうだが?」
「開き直った!!?」
開き直られて驚くソル
「まぁ、暮羽はいつもこんな感じじゃん?」
「そうだっけ?」
ソルに呆れた声で言うムーン
「親バカなのはあの子拾った時からでしょ?」
また呆れた声で言うテン
そんなに親バカか?
「そうだよ~。赤ちゃんの時にあの子が泣いたらいつもあたふたして」
「物凄く焦って家中駆け回ったくせに」
「いや、みんなそんなもんだろ?」
『違うと断言できる』
テンさんにソルさんや?断言しないでいただきたいのですが
「けど、あの子ももう二十代だね~」
「私達より胸も……」
「妖精の運命よ……言わないで……悲しくなる……」
テン、そんな泣きながら言うものか?
あ、なんか三人とも自虐気味に笑ってやがる
よく分からんな……
ルーミア(EX)や香李は肩凝るだけって言ってたし
「男の暮羽には分からないわよ!!この苦しみは!!!」
そこまで!!?
「女になれば分かるよ……無いもののありがたさが……」
「もうスイに魔法で……」
「おいやめろ」
魔法で性転換とか洒落にならねぇぞ
いや、戻れるけどさ
「じつはさ~、ちまたにぱっどなるむねをおおきくするものが……」
「それは空しさだけしか残らんぞ」
らしいが
何故そこまで胸に執着するのか
「だったら、暮羽のじょ……」
「やらねぇよ?」
『チッ!!』
聞こえるほど大きな音の舌打ちはするものじゃありません
「だったら揉んでもらって……」
「お勝手に」
「へ?揉んでくれないの?」
「のーせんきゅー」
「どういう意味?」
「やりません」
「酷い……」
「何処がだ」
何故こいつらの無い胸をさわらなけりゃいけな……
「妖力チャージ完了」
「仕留める……」
「最大出力」
あ、やべっ
「逃げるんだよォォォォォ!!!!」
『くたばりゃぁぁぁぁぁ!!!!!!!』
ギャァァァァァァァァ!!!!!!!
~青年調理中~
「空しさしか残んね」
「だね……」
「チルノみたいに一時的に大人になれないかな……」
こいつら……本気でやりやがって……
久々に死ぬかと思った
<コンコン
……ん?お客さん?
一体誰だ?
「は~い、今出ますよ~」
香李の友達か?
ガラガラっと
「あの、あそこの山に住み……ひぃっ!!?」
「よ、妖怪!!!」
は?何で俺が?
「か、か、か、顔!!!」
「悪い、ちょっと待て」
確かここら辺に鏡が……
これはひどい
見せられないよみたいな顔になってる
へ?どれくらいか?
漫画だとモザイクかかるくらい
「あ、悪い。ちょっと待っててくれ」
あ、駄目だ。ガクガク震えてる
まぁ、この顔は酷いから分かるが……
ってか、この姉妹、どこかで見た気が……
ん?何か変わったアクセサリーだな。二人とも目の形したアクセサリー……
あ、古明地姉妹じゃん
しかも、二人とも目がパッチリと開いてるじゃん
~青年顔修理中~
よし、治った
転生者ってことバレないように浮く程度の能力を使ってっと
あ、転生とか、原作知識だけを読まれないように浮かせておくか
「いやぁ、すまんかったな。家族にボコボコにされたばっかりだったよ」
「てっきり新手の妖怪かと……」
「……」
ありゃ、もう一人はガクガクしてる
「あ、自己紹介が遅れました。私、覚妖怪の古明地さとりです」
「……古明地こいし」
「古明地さんだな。俺は桜庭暮羽。取り合えず、ここら辺一体を取り締まって、ここの神様をやってる。虫けらに話すくらい気軽に話してくれ」
「虫けら……」
「流石にそれは……」
ありゃ、一応ボケたつもりだったんだけどな
「ぼけ……ですか?」
あ、心読まれた
まぁ、気にせんといでくれや
「……心を読まれたのに平然とするなんて、変わってますね」
「よく読心術で心読まれるしな。で、古明地姉妹。一体今日は何の用だ?」
「あ、さとりでいいです。その、あそこの山の一角でいいので、土地を借りたいんです」
妖怪の山か……
「はい……流石に無断で住み着くのはどうかと思いまして……」
「あそこは俺の管轄外だしな……あ、別に敬語じゃなくていいぞ」
「そう?じゃあ……彼処に住むにはどうしたらいいのかしら?」
「彼処がいいのか?」
「流石に人里に住むのはどうかと思って……」
そんな遠慮しなくても……
まぁ、流石に妖怪の山は俺も管轄外だし、里の中に家を建てるか
「よし、じゃあ里の大工に頼んでみるか」
『へ?』
おぉ、驚いてる驚いてる
「わ、私達は覚よ!?人里になんか行ったら……」
「いや、ここら辺、普通に人食い妖怪がうろうろして人間と暮らしてるからな?鬼もいるし」
「……は?」
もうこの里は一歩間違えば大戦争を引き起こせるくらいになってるんだよ
「覚なんて変わってるね。とか便利だね。とかしか言われねぇって」
「で、でも……」
「ほら、さっさと下見に行くぞ。ほら、古明地ちゃんも」
「……こいしでいい」
「そっか。だったら、こいしも行くぞ。気に入った所があったら言ってくれ」
えっと、確か空いてる土地って……
数ヵ所はあるかな?
お金は俺持ちで大工を雇うか
「い、いいの!?私達なんかに……」
「ほら、気にしないで行くぞ」
まずは彼処からだな
さて、ここからが近道だな
って、こそこそしないできびきび歩く!
「あ、暮羽様。……?あの子たちは?」
「ここら辺に住みたいって言ってる覚妖怪でな。空いてる土地に案内しようと思ってな」
「覚と言うと……あぁ、あの心を読む……」
俺の後ろでビクリと反応する二人
二人とも、大丈夫だからビクッとするな
「あら、気味悪がられてるからどんな子かと思ったら……外見は普通じゃない」
いきなりキョトンとする二人
「てっきり触手がうねうねしてたり真っ黒で二足歩行で頭部に口しかなくて羽生えてたりするイメージだったのに……可愛い子達ね」
そういって帽子越しにこいしの頭を撫でるお姉さん
「心を読めるなんて便利で変わった能力ね。はい、林檎。美味しいわよ?」
と、収穫したてらしい林檎をさとりとこいしに渡す
「あ、ありがとうございます……」
「……ありがと」
「じゃあ、私は行くところがありますので」
「そっか。怪我しないようにな」
「はい、ありがとうございます。じゃあね、えっと……」
「あ、古明地さとりです」
「……古明地こいし」
「さとりちゃんにこいしちゃんね。困った時は何時でも言ってね。それでは、暮羽様」
「あんまり急いで転ぶなよ~」
と、パタパタとちょっと急ぎ足で去っていった
さとりは呆然とし、こいしはちょっと笑顔を浮かべて林檎をかじっている
折角可愛いのに自分から喋らなかったら宝の持ち腐れだぞ
「ふぇ!?」
「ちょっ!?」
あ、心読まれるの忘れてた
「何人の妹を自然に口説いてるのよ」
「い、いや、口説いてなんかないって」
合計三つの目がこっちをジーっとジト目で見つめてくる
一瞬『このロリコンが!!』って聞こえたきがした
ロリコンちゃうわ!!
「し、正直すまなかった」
「ったく……」
「……」
俯いてるこいしとちょっと怒った感じのさとり
いや、もうしないから怒るなよ……
人に見られてないのが幸いだった
「あ、着いたぞ!」
わざと大きな声で話題を逸らす
「ここ?」
「結構広いからな。これだけあれば十分だろう」
「そ、それどころか十分過ぎるわよ!」
「なら決定。ちょいと大工に頼んでくる」
~青年注文中~
「頼んできたぞ」
「え、えっと……あ、ありがとう。お礼は何時か……」
「例なんていらないさ」
「で、でも……」
「じゃあ、ここで幸せに暮らす。それだけでいいさ」
こいしの様子を見るに、噂通り、外だと能力故に結構気味悪がられていたみたいだしな
せめて、ここでは幸せになってほしい
「……あ、ありがとう」
あ、心読まれるんだった
「どうしいたしまして」
こいしの頭を防止ごしに撫でる
「暫くは神社に住むといい」
「そ、そこまでしてもらったら流石に……」
「いいんだよ」
「……お願いしてもいいの?」
「子供は遠慮するな」
「私達、もう子供って歳じゃ……」
「俺から見ればまだ子供だ。はい、決まり。そうと決まれば帰るぞ~」
「ちょっ!!?」
「……ここなら大丈夫かも……」
「……こいしが言うのなら、良いかもしれないわね」
次回からは古明地姉妹を巻き込んでドタバタとやっていきます
ちなみに、こいしのサードアイはまだかろうじて開いている状態です
あと、性格も結構暗いです