無邪気な子供が心から笑ってくれる事ほど、嬉しい事は無い
暮羽の日常です
大チルは俺のアイシクルフォール
『あたいあたいあたいあたいあたいあたいあたい』
「……どうしてこうなった」
「チ、チルノちゃんがいっぱい……」
説明しよう
ちっちゃいチルノが増えた
ざっと十人
へ?どうしてこうなったって?
それはだな、こんなことがあったからだ
「今日もあっついな……」
初夏に入ったとある日、俺は暑さに参って縁側で寝ていた
風鈴もチリンチリンと鳴り、少しは涼しいものの、やっぱり暑い
「スイかフウが居てくれれば暑さもなんとかなるんだが……」
でも、あいつら今日は守矢神社に遊びに行ってるからな~……
居ないやつに言っても仕方がない
だが、どうしても暑い……
あ
「チルノの所に行こう」
もしかしたら、チルノの周りは涼しいかもしれない
~少年移動中~
「お~い、チルノ~」
で、いつもチルノが居る湖まで来たんだが……
やっぱり簡単には見つからないか
地道に探すか
……ん?あの緑色の髪の毛は…………
「大妖精~」
「へ?あ、暮羽さん!!大変なんです!!」
「は?お、おい……手を引っ張るな!!」
一体何があったんだ?
まさか、チルノが溶けたとか……
「これです!!」
「は?水溜まり?集中豪雨でも起きたのか?」
「元チルノちゃんです!!暑さで溶けちゃったんです!!」
……下手にフラグを建てるもんじゃないな…………
「ってかマジで?」
「えらくマジです!!朝起きたらチルノちゃんが殆ど溶けてて……戻ってきたら完全に水に……」
「分かった。じゃあ、適当に容器に入れて……」
「へ?」
面倒だし氷を凍らせるあれでいいか
これに浮く程度の能力でチルノだったものを浮かせて中に入れて情報操作で固まらせる
「これでどうにかならないか?」
「こんなので大丈夫なんですか?」
「多分」
「あたい」
「あ、出てきた」
「本当です……か……」
「あたい」
「あたい」
「あたい」
『あたいあたいあたいあたいあたいあたいあたい』
で、冒頭に至る訳なんだが、
「大妖精、鼻血」
「へ?あ……」
駄目だ、大妖精が駄目な方向に行ってるパターンだ。これ
「……お持ち帰り」
「止めろ」
チルノに手を出しかけた所で大妖精の服の襟を掴んで止める
身長差で大妖精が俺に首元持たれてプラプラしてる絵図が出来上がる
「だって可愛いじゃないですか!!!」
「うん。小さい生き物は俺も好きだ。犬とか猫とか鳥とか。だが、お前は明らかに邪な考えで捕まえようとしてるだろう。鼻血が物語っている」
「違います!!」
「理由は?」
「知能も低下してるようですし、何しても嫌がらないかと……」
「十分邪だよ。大妖精」
「は~な~せ~!」
まさか、大妖精がこうなってるとは思わなかった
大ちゃんはいつも通りっと
「取り合えず、もっかい溶かして一つに固める」
「何でですか!!」
「チルノの貞操のためだ」
「チルノちゃんの貞操は私が貰います!!」
「うるさい変態」
「変態という名の紳士です!!!」
「キリッて音が聞こえるくらいのドヤ顔を止めろ」
駄目だ、この大妖精。早く何とかしないと
「むぐぐ……」
「取り合えず、陽の下に置いておくか」
『あたいあたいあたいあたい』
で、溶けたら今度は違う容器に入れてもう一回纏めて固めれば多分元に戻るだろう
ってか、冷たいな
これから神社にチルノを招こうかな……
涼しいし大妖精の暴走を止めれるし
「秘技、瞬間移動!!」
「は?」
いきなり俺の手から大妖精が消えた
はい?
「チルノちゃん捕まえた!!」
「あ!!!」
気が付いたら大妖精がチルノが入った容器を持っていた
そういえば、原作でもワープしていたような……
駄目だ、すっかり忘れてた
って、逃がすか!!!
「待てい!!!」
かなり弱めの霊力弾を一発
「きゃん!!」
「チルノ捕獲っと」
『ヤベェ』
大妖精……なんか頭の中のイメージがこの数分で一気に壊れた……
告白なら真っ正面からしてやれよ
「だって、言っても言葉の意味分かってないんですよ!?好きだと言ってもチルノちゃんは友達として好きと勘違いしてるみたいで!!」
「はいはい。あと、然り気無く心を読むな」
チルノが大分溶けはじめてきたな
戻したときにせめてアドベント状態で出てきてくれよ……
じゃないと大妖精がお持ち帰りして大変な事をされそうだ
「か~え~し~て~く~だ~さ~い~!!」
「お前の物じゃ無かろうに」
背伸びして手の上にあるチルノを取ろうとしてくる
だが、身長差があるので大妖精はチルノを取れない
「あ!暮羽様だ!」
不意に横から幼い声がかかる
「ん?あぁ、里の子供か。あと、様をつけないでくれ」
二人の子供がこっちに寄ってくる
「何してるの?」
「この紳士からこの子を守ってるんだよ」
「むぅ~!!!」
大妖精の顔に手を当ててこっちに来れないようにする
「しんし?」
「まだ知らなくていい。君達は何しに来たんだ?」
「チルノお姉ちゃんと遊びに来たの!!」
チルノ目当てか
子供たちに人気みたいだな
「あ~……チルノは今暑さにやられて寝てるから今日は諦めてくれるか?この紳士を付けるから」
「あ、いつもチルノお姉ちゃんと一緒にいるお姉ちゃんだ!」
「ぁぅぅ……」
もう一回襟を掴んでプラプラさせる
「遊ぼ!お姉ちゃん!!」
「うん。じゃあ、あっちの川に行く?」
「うん!!」
「早く行こ!!」
流石に大妖精も子供の頼みは断れないのか、子供たちに引っ張られていく
さて、紳士が居なくなった事だし
「おっ、溶けたな」
じゃあ、適当な器に移して、固めてっと
「で、暫く待つ」
だが、チルノが溶けるとは思わなかった
今年は例年よりちょっと暑いからな
それか、陽の当たるところでずっと寝てたのか
まぁ、これからは日陰で寝るように言っておかないとな
「……ん?……ふわぁ…………」
「あ、目覚めたか?」
「……よく寝た」
眠そうな目をごしごしと擦りながらチルノが起き上がる
よかった。まだアドベントの服装だ
「……あれ?大ちゃんは?」
「あっちで子供たちと遊んでる」
「……それより、あたいに何があったの?」
「溶けてた。バラバラに固めたら増えた」
「あ~……もしかして、大ちゃんが紳士になった?」
「そうだが?ってか、分かってるのか?」
「大ちゃんがあたいを好きって事と、さっきまでの事は夢で見た」
「なんだ。気付いてたのか」
「ま、まぁね」
顔を若干赤くして頬をポリポリと掻きながら答える
「もしかして、お前、大妖精のことが……」
「な、なに言ってるの!!?別にあたいは大ちゃんのことが好きじゃ……」
「はい、自爆」
「あ……」
顔をトマトみたいに赤くして俯く
なるほど。両思いか
「その内面を向いて言ってやれよ?」
「……うん」
「それより、明日から家(神社)に来てくれないか?暑くて暑くて仕方ない」
「氷水に足でも浸けてたら?冷たいよ?」
「全身暑いんだよ。明日も明後日も晴れだし。ソルにフウも一週間くらい居ないから暑いんだよ……」
ルーミアは居るけど、闇を纏わされても何も見えないだけだし
「分かった。だけど、あの子達を神社の中に入れることになるけど?」
「構わんよ。見られて困る物なんて無いし」
「じゃ、あたいはあっちで遊んでくるから。暮羽も来る?」
「そうだな。川遊びもいいかもな」
「いい大人が川遊びねぇ」
「うるさい。俺だって川に入りたいときもある」
「はいはい」
そのあとは川でチルノ達に混ざって遊んだ
あいつら、俺を転ばせて水を滅茶苦茶ぶっかけてくるから結構タチ悪かった
けど、物凄くいい笑顔をしていたから止めろと言えず笑いながら仕返しするのが積の山だった
あ~……服乾かさないと
とある画像を見てたら思い付いたネタでした
これからは日常パートが十話程続きます
あと、暮羽はチルノ達が来る前は里の子供たちとよく遊んでたりします
大ちゃんはいつも通り