出会いと別れは紙一重
今回で守矢編はおしまいです
次の日、太陽が少し顔を出した時間帯
「じゃあな。諏訪子、神奈子、速鬼。今まで世話になった」
「やっぱり行っちゃうんだね」
「こっちにもたまには戻ってくるんだよ?」
「また会ったときは酒を飲み交わそう」
五妖精は涙目になっている
そりゃそうか。何年も家族同然のように過ごしてきた奴等と別れるんだもんな
「じゃあ、これを持っていきな。ほら、ソル達も」
神奈子からネックレスのような物を渡される
一本の角のような物に蛇が巻き付き、角の根本には蛙が彫ってある
そして、角の先端付近には、桜の花びらが彫ってある
「これって……」
「まぁ、百励神社と洩矢神社の友好関係を形にしたようなやつだよ」
「素直に贈り物って言えばいいのに」
「別にいいだろ!」
「御二方、今は明朝、近所迷惑ですよ」
『はい……』
しかし、よく出来ている……
ちゃっかり紐まで……
「ま、それを見てここが恋しくなったら遊びに来てよ」
「たまにでいいからさ」
「待ってるぞ」
……あ~…なんか泣きそう……
こんなの前世も含めて貰ったの初めてだ……
「じゃ、俺達は行くよ」
「元気でね」
「風邪ひくんじゃないよ?」
「腕は上げておけよ」
さて、とうとう出発か
「じゃあなとは言わない。またな」
『またね』
「またな」
『遊びに来るよ』
三人に背を向ける
「行くぞ」
『うん!!』
百励神社のある方角に向けて境内を飛び立つ
「たまには遊びに来るんだよ!」
「ちゃんと健康に気を付けるんだよ!」
「俺以外の妖怪にやられるなよ!」
三人の声を聞いて、俺達は百励神社に向けて飛び立った
「……行っちゃったね」
「神奈子、方角は覚えてる?」
「バッチリさ」
「御二方、何を……」
「さて!もうちょっとお天道様が空に上がるまで寝よう!」
「速鬼、朝食は任せたよ」
「……分かりましたよ…………作ったら俺も寝かせてもらいますよ。昨日、三人で徹夜してあれを作ったんですから……」
「あと、失敗したやつの後片付けも」
「いや、酷くないですか?鬼使い荒くないですか?」
『じゃあ、よろしく~』
……全く、あの二柱は…………
俺の首にも、昨日別で作ったものがかかっている
桜の木を主体とし、葉の部分には太陽と月と雲、木の部分には水と風を表した線が彫ってある
「……さて、飯と後片付けを頑張るか」
少し、寂しい生活がつづくな……
守矢神社がだんだんと小さくなっていく
「……折角貰ったんだ。着けるか」
俺はネックレスを首に掛ける
よく見ると、神力でコーティングされてるからかなり丈夫になっている
「なぁ、皆」
「なに?」
「今の百励神社の状況は分かってるな?」
「うん。妖怪がたくさん来てるんでしょ?」
「そうだ」
「私達だけで倒せるかなぁ……」
「大丈夫だ。俺がお前達専用の武器を作った。着いたら渡す」
『えっ!?』
さて、いよいよ披露する時が来たか
この武器は殆どこいつら専用に出来た武器だ
とてもじゃないが、こいつらじゃないと扱えない代物だ
……いや、若干一つ、違うのが混ざっているか
まぁ、そんなとこ……
「って、お~い、赤面五人組。戻ってこ~い」
『ハッ!?』
どんな武器か想像するのはいいが、何故赤面をする
「まぁいい。なるべく急ぐぞ!」
百励神社がどうなってるのか、早く見に行かないと!
次回から新しい章に入ります