鬼は嘘をつけません
今回は初めての別視点が入ります
分かりにくかったら何か指摘をお願いします
「う~ん……あたまが~……」
「昨日あんだけ飲むからだぞ?」
どうも、暮羽だ
スイが見事に二日酔いになってしまったため、現在は自由行動になっている
「……あと、途中から記憶が無いんだけど……ボク、何かしてた?」
あ……忘れてくれてた
よかったよかった。もし覚えてたら俺が恥ずかしくて死ねる
「いや、あのあとはスイが酒を大量に飲んだ挙げ句爆睡してたぞ?」
「そうなんだ~……でも、何で目を反らしてるの?」
「へ?いや、気のせいだ」
「そう?」
やばい、何とかして誤魔化さないと……
確か、二日酔いは水を飲めば少しは楽になるんだったか?
えっと、次元の中から水筒をっと……
あ、そろそろ川で補充しないとな
「ほれ、水飲め」
「うん……」
水を飲んでからは少し頭痛も収まったらしく、さっきより辛そうには見えなかった
「おい、暮羽」
「ん?速鬼か。いつ戻ってきたんだ?」
「今だ。ソル達が町で呼んでいる。行ってやれ」
「分かった。じゃあ、スイを頼むよ」
「分かった」
多分、食べたいものとかがあるんだろうな。さっさと行ってやるか
暮羽が部屋から出ていっちゃった
代わりに速鬼さんが部屋に入ってきた
「調子はどうだ?」
「まだ少し頭が痛い……」
「そうか。明日には治る。今はゆっくりと休め」
明日には治るか~
早く治したいな~
……そういえば、暮羽って速鬼さんとお酒を飲んでたっけ……
暮羽は目を反らしていたから、速鬼さんに聞いてみよう
「ねぇ、速鬼さん」
「何だ?」
「昨日、酔っぱらった時に、ボク何してた?」
「酒を大量に飲んだあと、暮羽に口付けして爆睡だ」
なんだ~口付けか~
……ゑ?
「くくくくく口付け!!?」
「そうだ。暮羽もそれぐらいで顔真っ赤に……ん?どうした?顔を真っ赤にして」
「え?いや、何でもない!何でもない!」
「そうか?」
い、いや……えっ!?
何でお酒を飲んだ位で口付けなんてしちゃったの!?
それに、何で速鬼さんも止めてくれなかったの!?
「まぁ、今は寝ておけ。明日からまた歩くんだからな」
「う、うん……」
う~……もうまともに暮羽の顔も見れないよ~……
『おいし~』
「そんながっつくな。美味しいものは逃げないからな」
『は~い』
やっぱりそうだったか
旨いもんな。魚の塩焼き
特に皮についた塩が丁度いい感じだし……
おっと、よだれが出そうだ
「スイも来れば良かったのに」
「いや、流石に二日酔いだと無理だろ」
「ふつかよいって、そんなに辛いの?」
「頭が滅茶苦茶痛くなる」
「へ~」
しかし、鬼と妖精五人を連れて旅してるのって、俺だけだよな……
桃太郎だって犬とキジと猿だったし
動物にたいして俺は人形だよ
「あ!次あれ食べたい!!」
「ん?そうか。って、おい!ソル!そんなに走るな!!」
「あの子、暮羽と会う前からそうだから」
「そうだったのか」
「で、それを止めてたのが私」
「お疲れ様。テン」
「ムーンはにこにこして見てるだけだしフウは一緒にはしゃぐし、スイはムーンと一緒に見てるし」
「……ほんと、お疲れ様。テン」
「でも、暮羽と一緒になってからは苦労も減ったわ」
「そう言ってくれると嬉しいよ」
「あのまま生活してたら過労死してたわ」
「大変だったんだな……」
「暮羽もね……」
「あれ?ソルが何処か行っちゃった。フウも」
「「ゑ?」」
スイが寝付いて暫くたった
俺はスイが側に置いていた本とやらを見たものの、頭がどうかしそうだったから止めた
今は酒を持ってきて窓際で飲んでいる
「一人酒は寂しいな……」
いつもはミジャクジ様や洩矢神と飲んでいたからな
そんな事を考えてたら足音がした
この音は暮羽か
「うぃ~す……」
「どうした?暮羽。そんなに窶れて」
「いや、ソルとフウが誘拐されて……それを探しだして、犯人ボコボコにして、それからソル達の買い物に付き合わされた」
ふぬ、大変だったんだな
しかし、あんな小さい女に欲情するやつなど居るんだろうか……
居るんだろうな
「ま、俺は疲れたから寝る。明日の朝、起こしてくれ」
「分かった。ゆっくり眠っておけ」
「そーするよ……」
そう言って暮羽は布団に戻っていった
さて、俺はもう少し酒を飲んでソル達が戻ってきたら寝るか
次回辺りで旅路編の最終話です