第001話 日常の朝の素描
早春、三月初旬の朝日が昇る頃、草原を走る一騎の牝馬の姿があった。キラキラと輝く青毛(あおげ:黒肌黒毛の馬)の逞しい馬体。体高は170cm、頭は小さく四肢は長く、胸や臀部の筋肉は発達した理想的な体型をしている。主を乗せて走る姿は、躍動感に満ちていた。
跨がるは、シュミーズの上に黒いベルトで腰を絞った青いプールポアンを着て、擦り切れた黒い革のズボンをはき、長い金髪をなびかせた青年。黒い革製の胸当てを付け、背には細身のロングソードを斜めにかけて右腰にはショートソード、茶色の乗馬靴を履いている。18歳のしなやかな肉体を躍動する馬体に合わせ、ひとつの生き物のように操っていた。
白く漂う息をまいて、汗の光る額を手の甲で拭う。若々しいその顔は、大きな笑みを浮かべている。
馬を降りた青年は、背に負ったロングソードの柄に右手を添え、目を閉じる。
かっと見開くと、鋭く抜き放つ。片手のまま半身に構え直すと、一頻り剣術の型を使った。
そのロングソードとショートソードは、特異な形に鍛えられていた。
酔狂な鍛治師が、切り裂くことに特化した剣を目指して鍛造したものだった。刃は薄く背は反り、一見華奢に見える。しかし無類の剛性と柔性を併せ持つこの剣は、美しい刃紋と裏腹に凄まじい切れ味を誇る。東方の宝物の中にあった武具を、それに魅せられた鍛治師は完璧に再現した。その後、この二口を残し、その鍛治師を見た者はいないという。
流れるような脚運びと、ゆっくりと確認するように何度も剣筋をなぞる姿は、まるで舞踊のようだった。次の瞬間、右腰のショートソードを左手で抜く。ショートソードで防ぎ、ロングソードで斬りつける。
やがてスピードは徐々に上がり、最後は目にも留まらぬ速さとなった。銀の光が尾を引き、風を斬る音が鋭く鳴る。
この型は、彼が独自に編み出したものだった。この剣は、生半な者では使いこなせない。斬撃の鋭さを誇る代わり、少しでも剣筋がぶれると、刃は瞬く間に欠けてしまう。扱うには、相当な技量が要った。
剣先がぴたりと止まると、深く長い深呼吸。剣を鞘に戻す。
ロングソードを太刀、ショートソードを脇差。この東方の剣を、合わせて『刀』と呼んだ。
「さっ、シルフィード。もう一走りだ」
愛馬に声をかけ、再び跨がる。草原に不規則に立ててある、杭に向かって走らせる。ロングソード=刀を抜き構え、杭をさっと突き刺し素早く戻す。次の杭は、素早く切り裂く。馬上でその動作を、愛馬を走らせながら止まる事なく何回も繰り返す。彼はこうして、暗いうちから毎朝、愛馬の運動と鍛錬を続けていた。
かつて剣とは、短剣のことを云った。しかし騎兵という兵種が現れると、剣では馬上から歩兵に届かなくなったため、槍や矛が騎兵の武器とされた。しかし冶金技術の向上により、細長くても十分な強度を持つ剣を作ることが出来るようになった。
そして開発されたのが、騎兵が馬上から突くための剣、ロングソードである。これに対し歩兵が扱う剣を、ショートソードと呼んだ。
しかし、彼が扱う得物は、その流れとは異なる伝統を歩んで来た。そのため、彼を邪道と呼ぶ者もいた。
鍛錬が終わると、辺りをぐるりと襲歩で走り回ったあと、駈歩で途中に広がる森を抜ける。街道が見えてくると、速歩に落とした。
早朝とはいえ、日が昇る前に出立した徒歩の旅人や商人が、ちらほらと東西に伸びる街道を歩いている。俗に云う『早立ち刻』である朝四の刻頃に出立した人々だ。馬車が通るのは、もう少し後になる。
街道に出ると常歩にして東へ向かい、青年も鞍上でゆったりした体勢をとる。荒かった愛馬の息も、徐々に整っていく。鞍に結わえてあったタオルを取り、汗を拭く。ときおり愛馬の首をやさしく叩くと、ひくひくと耳をうごめかせて嬉しそうなそぶりを見せた。
しばらく揺られていると、街道の先に巨大な壁が見えてきた。高さ40mの砂岩積みの城壁は左右に伸び、見渡す限りに続いているように見える。要所に塔が聳え立ち、城壁の前は深く広い堀になっている。緑の水面には、鴨や家鴨などの群れが浮かんでいる。
街道の終点には、巨大な城門が構えられており、跳ね橋が下ろされている。といっても、橋が上げられる事は滅多にない。ここ十数年は軍勢の入出もないので、15m四方もある大扉も閉ざされたままだ。ごく偶に、巨大な造形物や狩りの獲物を城壁内に入れる場合があるが、そんな時は城壁を回り込んだ場所にある中門を使う。
一般の出入りは、大扉の両脇にある高さ6m、幅4mほどの通用口で行われる。そこは、夜明け前の朝三の刻から夜七の刻まで開けられている。右側が入口、左側が出口で、それぞれ衛士によりチェックが行われている。
青年は馬を降り、手綱を引いて入口へ向かった。まだ朝早い時間なので、市場へ野菜や肉、魚を売りにくる農家や狩人が並んでいる。旅人や商人で賑わうには、まだ二刻ほどあるため、すぐに順番が来た。
「やあ、お帰り。毎朝精が出るな。よく続くもんだよ」衛士の一人が、顔を見るなり感心したように言った。
「これしか取り柄がないからね、腕を磨かなきゃ」笑って、首から下げた市民プレートを見せる。衛士はろくにそれを見ずに、
「はいよ、市民リュシアン・ブルトー、入城。朝五の刻ね」と、羊皮紙に記入した。
「ありがとう。それじゃ、行くよ」衛士と愛馬に声をかけ、青年──リュシアンは門をくぐる。二重の城壁を抜けると、大通りへと出た。
そこには街があった。レンガ造りの建物が、整然と並ぶ。大通りには大きな商店が軒を並べ、荷車がひっきりなしに行き交う。地方からの物産や武具防具、様々な型の流行の服などを扱う、活気に溢れた世界。この時間、まだ人々の姿はまばらだ。
ここは城郭都市エルモント。ラテール王国北西部を締める平原地方、ルグドゥーネス州の中央に位置する州都である。この州は農業、牧畜が主産業であり、王国の穀倉を担っている。
約三万五千人の人口を誇り、外側の城壁は全長7㎞の城壁をなす。州の全土からの物産の集積地であり、百年以上戦のないこの大陸で、富と繁栄の神に祝福された都市である。
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都市の南側に位置する城門から入ったところで、しばし街並みを眺め、佇んだ。
リュシアンはシルフィードの手綱を引き、歩き出す。脇道に入り、内壁に沿って進む。倉庫街の手前で折れると、すぐに一件の大きな厩舎が見える。
『トーヴィ・トゥィッチの厩舎。馬一頭預かり、一日40スゥ』という看板が掛かっている。平均的な宿屋の1泊が1エキュ(100スゥ)、厩舎が併設されていれば飼い葉代15スゥで預けることができる。だが、この厩舎は馬の世話が丁寧だということで、繁盛している。大抵馬房は、ほとんど預かり馬で埋まっていた。
「親父さん、シルフィの世話頼むよーっ」
リュシアンは厩舎内の自分の馬房に愛馬を入れながら、預かり馬の馬房に飼い葉をフォークで配っている男性に叫んだ。愛馬から鞍を外し、鞍置き台に載せる。太刀をチェストに入れ鍵をかける。手入れは後回しにする。
トーヴィ・トゥィッチは50歳くらいのごま塩の短髪で、厳つい顔に無数の皺を刻んでいた。火のついていないパイプを咥えたままニヤリと笑い、片手を上げた。
「おお、任せておきな。さっさと行った、行った。嬢ちゃんが待ってるぞ」と、塩から声で返すと、
「親父さん、からかいっこなしだよ。じゃあな、シルフィ。また、昼中に来るからな」
そう言ってリュシアンは、馬房の鉤に掛けていたシープスキン(羊革)の上着を羽織って脇差のみを腰に佩き、駆け出した。
石畳の街路を、裏町の噴水広場に向かって走る。そこでは小規模な青空市場が開かれている。行商の荷車が寄せ集まっており、近所からの買い物客が姿を見せ始めている。
リュシアンは市場の片隅に立つ、顔見知りの花売りの少女の所に寄った。スイートピーの小さな花束を10スゥで買うと、口のきけない孤児の少女はおじぎをしてにこりと笑った。笑顔を返し手を振って、リュシアンはまた駆け出す。傍らのミルク売りの行商のおばさんが、毎朝の光景に微笑んだ。10スゥで一食、普通の食事が賄える。
南区の商業地域から東区へ進むと、高級住宅街へ出る。労働者は大抵、商業地域の自分の仕事場の近くに住む。この住宅街は、大商人や官吏など高給を食む者たちが住んでいる。
レンガ塀で他の地域と区切られた住宅街の門衛に挨拶し、奇麗に清掃された通りを歩く。邸の門前を掃いているメイド、生け垣を剪定している庭師、各邸を回るさっきのミルク売りの行商の娘さん、パン屋の若旦那。それぞれと挨拶を交わし、リュシアンはひと際大きな邸の、門の前に立つ。朝五の刻半ば、まだ早朝といえた。
「リュシアン様、おはようございます。お嬢様も、お待ちでございますよ」
彼を待っていたらしい、勤勉そうな妙齢のメイドが挨拶する。
「ミレイユさん、『様』はやめてください。俺はそんな人間じゃあ、ないですから」
「それではわたくしも、『さん』はやめていただきますわ、リュシアン『様』」
「これは参りましたね。それでは、案内をお願いします」
毎朝の冗談めかした遣り取りに、互いに笑って庭へ通る。
生け垣を抜けると、奇麗に刈られた芝生が広がっている。庭に続くテラスに面して、フレンチ窓と呼ばれる床まである両開きのガラス窓が設けられており、そこから邸に出入りができる。
テラスにはテーブルと椅子が出されており、テーブルには茶器がセットされ、ポットからは湯気が立ち上っている。
二つの椅子の片方に、彼の愛する女性、17歳の麗人フェリシー・デュボア嬢が座っていた。リュシアンを認めると、笑みを浮かべた。花が開くようだった。
流れる金髪は波をうち、腰まで流れている。大きく感情の豊かな双眸は、蒼く澄み切っている。細くつんと伸びる繊細な鼻筋、よくほころびるサクランボのような唇。絹の室内用ドレスを押し上げるまろやかな双丘に、細くくびれた腰から、なだらかな曲線を描いて脚へと続くライン。彼は彼女に逢うたび、神の造形の神秘を感じていた。
リュシアンは、もう一つの椅子に座る。フェリシー付きの侍女であるミレイユは、テーブルから少し離れた場所に待機した。
「おはよう、リュシィ。今朝も鍛錬だったの?」
「おはよう、フェリ。これが元手だからね、おろそかにはできないよ。はい、これ」
と、スイートピーの花束を渡す。
「ありがとう! いい香りだわ。ミレイユ、花瓶をお願いするわね」
「かしこまりました、お嬢様」ミレイユは、邸へ入っていった。
「ねえ、リュシィ。お父様が、『そろそろ観念して、我がデュボア商会に入る気にならないものか』とおっしゃっていたわ。私としては、あなたの望みの方が大事なのだけれど」
「ありがたいお言葉だけど、やっぱり俺は自分のアソシエを立ち上げて、冒険者として成功したいな。まだ何年か、待たせてしまうけど」
「大丈夫よ。あなたの剣技や馬術には、この街の冒険者では誰も敵わないのでしょう。頭の方だって、お父様が認めるだけあって優秀なのですから、絶対に成功するわ。私は何年でも、待ちます」
「ふふ。他の誰かと縁談でもできたら、そんな庶民的な話し方なんて、できないだろうからね?」
「あっ、酷いですわ。他の誰かとなんか、そんな事ありえませんっ!」ぷいっと頬を膨らませて、そっぽを向いた。
「!? そっちか! ははは」上流階級の礼儀作法の方は眼中にないようで、苦笑した。
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フレンチ窓からテラスを望める広間では、デュボア家の面々が談笑する二人を眺めていた。
「バベット、お茶を淹れてちょうだい。砂糖はいりません。甘いのは、あの二人で充分です」
「まあ、そう言うな、クローディーヌ。お前も可愛い妹の相手を、認めているだろう。来月にはバスチアンも、商談から帰る。夫婦水入らずの休暇をとるといい」
「なっ、お父様、別に羨ましく思ってなど! ただ、余りにも仲がよろしいので……」
「はっはっはっ、良いことだ。マリー=アンジュ、お前もそう思うだろう」
「ええ、そうですわ、あなた。娘たちに良い夫。早く息子と呼びたいですわ、ふふふ」
そこには、少々きつい目元の美女、恰幅の良い口ひげの偉丈夫、ふくよかで優しげな婦人が談笑している姿があった。
高級住宅街に居を構えるといえど、商人である。官吏などは始業が昼九の刻であるからもう少し遅いが、彼らは早朝に起き、朝食を済ますと経営者として朝七の刻には店に入り切り盛りする。
貴族などは、昼九の刻から一刻をかけて軽食の時間とされているが。
「旦那様、ジョスラン・アンペール様がおいででございます」女性使用人が執事のクレマンに来客を告げ、彼が主に来客の名を告げた。
「治安監査官殿か、リュシアンを呼びに来たのかもしれん。通しなさい」
「かしこまりました」
クレマンが来客を連れに戻る。しばらくして、とても小柄な上に痩身で黒髪の、悲しげな顔つきの男を伴って来た。
シュミーズに簡素な装飾のプールポアンを着ている。下半身は生地をたっぷりとったオー・ド・ショースという膝丈の半ズボン。内側からバ・ド・ショースという膝までの靴下を縫いつけ、プールポアンにホックで留めている。足下は『雌牛の唇』とあだ名された水掻きのように先が平たく広がった革靴。上着として、セーと呼ばれる大きな襟がついた袖の短いガウンを着ていた。
平均的な上流市民の服装だが、どうにも配色が地味で着合わせにも無頓着な印象を受ける。デュボア氏は、セーの代わりにシャマールを羽織り、飾りのついた短靴を履いている他は同じような服装なのだが、押し出しがまったく違う。更にデュボア氏は、ビレッタという大きな帽子を、片方の耳を隠すようにかぶっている。
「やあ、アンペール君。リュシアンにご用かな?」
「ギャスパール殿、勘弁してください。子どもの時分と同じように、呼び捨てでお願いします」ジョスランの悲しげな顔が、困ったように更に悲しげになる。デュボア家の者は、この表情が彼の笑顔だと知っているので、一緒に笑った。
「それで、ジョスラン、今回はどちらの調査だね?」
「はい、エルモント南の森林地帯で、未確認の獣の噂が広まっているのです。どうにも怪物のような目撃談で、信用出来かねるのですが……。まあ、私は石壁に囲まれているより、郊外をうろついている方が好きなものですから、こういう仕事ばかり回ってくるのですよ」その顔は悲しげに歪んだ。あくまでも、これが彼の笑顔である。
「ジョォ、私のリュシィを、また長期間連れ出すのね」リュシアンと共に、フェリシーが広間へ入ってきた。
「済まないね、フェリ。やはり護衛をしてもらうのは、腕利きの冒険者でないとね」
「仕方がないわね、そんなに守備隊と治安監査局の仲が悪いのでは。本当は、それでは市民が困るのだけれど。それで、今度はどれくらいの期間を考えているのかしら」
「まずは、二週間だね。それで済まなければ、また二週間の延長だ」
「むぅ」と唸ってフェリシーは、不満そうにジョスランを睨んだ。
「まあまあ。ジョォ、朝食をいただいて行く時間はあるだろう。おじさん、ジョォも一緒に良いですか?」
「良いとも、リュシアン。クレマン、ミセス・オデットに朝食を一人分追加して欲しいと伝えてくれ」
「かしこまりました」と答えたクレマンは、コックへ言付けるため厨房へ向かった。
食堂に移動すると、女性使用人たちが食卓を整え、給仕をするため待機していた。
クレマンは厨房から戻り、サイフォンでカフェを淹れる用意をしている。
食卓に並ぶのはオレンジやグレープなどを絞ったジュースやミルクのピッチャー。クロワッサン、ブリオッシュ、バゲットのパン籠。シャンパンと生ハム。カマンベールチーズ。ローストポテト。マッシュルームソテー。オムレット。ベーコン。ワイン。バターにジャム。
ここまでの量を朝食に摂る家庭は、あまり他にはない。『朝食をしっかり摂る』ということが、デュボア家の家訓と言ってもよい。
朝食が始まると各自、食べたいものを主人であるギャスパールヘ告げる。それをクレマンに伝えると、彼が皿の料理を切り分け、女性使用人たちがそれぞれの皿に給仕した。ギャスパールの給仕は、クレマンが行う。
久しぶりに、昔から食卓を囲んだ顔が揃った喜びに皆、食が進んだ。
最後に、クレマンの淹れたてのカフェを楽しみ、満腹した。
若きリュシアン
幼き日に人生の転機が訪れる
彼が目指す先にあるものとは
次回『リュシアンの事情』
こぼれる涙は仮面で隠せ
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【用語解説】※本編内で説明しきれなかった、あまり馴染みのない用語を解説します。
シュミーズ……現代のフランス語では男性用のワイシャツを指す。中世では男女共に着用する肩から紐で吊るす下着を指し、プールポアンなどの表着の下に着用された。
プールポアン……中世欧州の兵士が鎖帷子の下に着た長袖膝丈の胴着。
革のズボン……庶民から貴族、王族までショースという半ズボンをはいているため、いわゆる長ズボンをはいているのは下層労働者か小作農民。
ロングソード……別名ホースマンズソード。騎兵が馬の手綱を持ちながら主に刺突攻撃に用いる『細く長めの片手剣』。全長は80㎝〜1m。両手で扱うロングソードや、盾と併用するロングソードは存在しない。太身の長剣のようなイメージは勘違いで、実際のロングソードはレイピアのイメージなどに近い。
ショートソード……別名フットマンズソード。歩兵が盾を持って扱う『片手剣』。打撃と刺突に用いる。盾を持たない歩兵が両手で扱う剣はツーハンデッドソード、またはバスタードソードと呼び、ロングソードとは呼ばない。
刀……太刀、脇差などの日本刀。
侍女……女主人の身の回り全ての事柄に気配りをした。女性使用人の中でも別格の位置付け。
フレンチ窓……床面まである両開きのガラス窓。テラスやバルコニーに面して設けられ、出入りができる。正式にはフランス窓。この世界では建築家ロベール・フレンチ氏が考案したということで。
アソシエ……冒険者ギルドに登録する冒険者が派閥を組む、またはコミュニティを形成すること。徒弟制度を取り入れており、ペール(父親 = 長)が配下を管理し鍛えてゆくことになる。クランのこと。
女性使用人……食卓を整え、給仕を行い、訪問者の到来を告げたりした。
執事……食器・酒類を管理し、主人の給仕をするという本来の職務に加え、主人の代わりに男性使用人全体を統括し、その雇用と解雇に関する責任と権限を持つ。主人の身の回りの世話をするとともに、私的な秘書として公私に渡り主人の補佐をした。
シャマール……ふんだんに装飾を施した、高級なガウン。
ビレッタ……大きなベレー帽のような帽子。片方の耳を隠すように被ることが多かった。
コック……一般的に女性のコックが雇われていた。女性の料理人は尊敬の印として独身であっても常に「ミセス○○」と呼ばれていた。キッチンの最高責任者で台所女中、皿洗い女中達を統括していた。
【時間表記】
午前1時 夜一の刻
↓
午前2時 夜二の刻
・・・・・・・・・
午前3時 朝三の刻
↓
午前8時 朝八の刻
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午前9時 昼九の刻
↓
午後3時 昼三の刻
・・・・・・・・・
午後4時 夕四の刻
↓
午後6時 夕六の刻
・・・・・・・・・
午後7時 夜七の刻
↓
午前0時 夜十二の刻
※午前8時40分だと朝八の刻と記される。午前8時50分だと朝九の刻と記される場合もあり、時間に関する感覚は厳密ではない。
【貨幣単位】
1ドニェ(銅貨)= 2円
1スゥ(銀貨)10ドニェ = 20円
1エキュ(金貨)100スゥ = 2000円