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傍観者

作者: 中邑あつし

 私は、ずっと見ていました。


 彼がイジメに遭っているのを知っていて、それでも、ただ見ていることしかできませんでした。


 私には、虐める人の気持ちが解りません。ただ、虐められる人の気持ちは痛いほど解ります。辛かったでしょう。痛かったでしょう。哀しかったでしょうに……。


 それでも、ただ私は、遠くで見ていることしかできませんでした。怖かった。関わることを避けたのです。助けもせず、励ましもできませんでした。ただ、怖くて逃げていたのです。


 彼の救いを求める目が、私に焼き付いています。私は、目を逸らしました。彼から。彼自身から。イジメそのものから。


 でも、彼の恐怖に脅えた顔が、頭に焼き付くのです。私は、思考を逸らしました。頭から。私自身から。人間そのものから。


 だからでしょうか、彼の人に絶望した目が、心に焼き付いて離れないのです。


 私も、虐めている人達と何ら変わりありません。私は、彼を見殺しにしたのです。



 私の敵は、私です。




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― 新着の感想 ―
[気になる点] 誤字一点有り。 「彼自信」→「彼自身」 惜しい! [一言] ファイトですわ!
[良い点] 短文で問題提起でき、読者に自己回帰させる能力は素晴らしいです。 見て見ないふりは、防御姿勢か、単なる回避現象かを考えさせてくれる、正義という言葉が形骸化した世の中に突き刺す作品だったと思い…
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