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雨の音の中で


言葉とは不思議だ。


話し手次第で自在に形を変える。



優しかったり、冷たかったり

温かかったり、尖ったり。


同時に責任も生まれると思う。


無責任な事はあまり言えない。


言葉は時として人を深く傷付ける。


僕も優しくて温かい言葉だけを使いたい。






その日天気は良くなかった。

雨が降っていて風も強い。

僕は車をある湖の畔に停めた。


エンジンを切って、ぼんやり湖を眺める。

車に響く雨の音が何故か心地よい。

時折、特に強い風が吹いて車が揺れる。

それすらなんとも言えない心地よさがあった。


木と木の間から見えるどんよりとした

空を眺めながら考え事をする。


僕が考える事の内容はいつも



どうしてこんなにダメなんだろう。


どうして伝えたい事が上手く伝えられない。


上手く出来ない、いかない。


悲しくて、虚しくて、諦めに近い感情。


雨が少し強くなった。


どうしてこんな人間になったんだろう。


変わりたいけど多分無理だ。


赤ちゃんから人生やり直せたらなぁ。


でもやり直せてもこの捻くれた性格は

変わらないんだろうな。


ぐるぐるぐるぐるとそんな事ばかり考えている。


ある日僕は奥さんに

「そんな事ばかり考えてしょーもない。」

と言われた事がある。


その通りだと思う。

頭では分かっている。


自分でも、心楽しく思ってだけ

生きていられたらどんなに素敵だろうと。


あぁ、なんで僕はこんな考えしか

心に芽生えないのだろう。


どうしてこんな人間なんだろうと

ここに繋がる。


昔はこんな感じじゃなかった気がする。


そんな風に思ってみても

過去を振り返れば大して今と変わらない。


僕は今年34になる。

人生語るほど生きてもいないけど

過去を振り返れば、子供時だろうと

学生だろうと社会人だろうと

根本はそんなに変わらない。


僕はずっとこうだった。


電子たばこを湖を眺めながら吸う。

今日は天気が悪いから対岸は霞んで見えない。


その景色がとても綺麗だと思う。


風が吹いている割には

水面は静かに雨の波紋だけを立てている。


しょーもないと言われた時

ごもっともと思う傍ら

好きな人にそんな事を言われて寂しいと思った。

同時に好きでこんな気持ちになってるんじゃない

とも思った。


そりゃ理解は出来ないだろうと。


君は僕じゃないし

僕は君じゃない。


寄り添う事は出来るかもしれないけど

心からの理解なんで人は出来ない。


しょーもないと言いながら笑っていたね。

その笑顔が何を表しているのか

僕は分からないでいた。


そんな事考えなくても大丈夫だよと

安心させようとしたのか

馬鹿にされたのか

呆れているのか

顔色を伺ってばかりの僕だけど


僕は分からないでいた。

それくらい、僕はいつも

深くて暗い所にいた。

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― 新着の感想 ―
誰にも根本から理解されないというのは共感しました。 私も暗い現実味がある作品が好きで書いているので いいなと思いました。
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