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私の居場所

作者: 空詩
掲載日:2026/02/03

「今日は出会い運が最高か」


朝のニュース番組を見ながら、26歳の楓は考えた。


知り合いもいない孤独な日々が、もう一ヶ月続いていた。


駅前のコーヒースタンドで注文していると隣にいた男性が、少し照れたように微笑んでいた。

「あの、もしかして先週、荷物落としませんでした?」

「え?」

「駅で拾ってお渡しした者です」


思い出した。引っ越しの荷物を抱えていて、ハンカチを落としてしまった日だ。


「ああ!あの時は本当にありがとうございました」

「いえいえ。偶然ですね。僕、蒼太といいます」


その日から毎朝、コーヒースタンドで顔を合わせるようになった。


「おはようございます」

蒼太が手を振る。その何気ない挨拶が、楓の朝を明るくした。


ある雨の日、二人は相合傘で駅まで歩いた。

「この街、気に入りました?」蒼太が尋ねた。

「最初は寂しかったけど、今は楽しいです」

「それは嬉しいな」


蒼太が立ち止まった。

「実は僕、タロット占いが趣味で。試しに一枚引いてみませんか?」

カードを引くと「太陽」のカード。

「新しい始まりと、明るい未来。大切な人との出会いを示しています」


「占い、当たってるかもしれません」楓が小さく笑った。

「僕もです」蒼太が優しく微笑んだ。

「あなたに出会えて、毎日が変わりました」


雨が上がり、空には虹がかかっていた。

この街での出会いが、全ての始まりだった。


占いは未来の扉を開く鍵。

でも扉をくぐるのは、自分の勇気。


「明日もここで?」

「もちろん。また明日」


楓は初めて、この街が本当の居場所になった気がした。

読んでいただきありがとうございます。

他にも短編を投稿しています。

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