13話「Your duty~白雪編~」
正弥が衝撃的な事実を聞いたその夜。
彼の夢にでた少女は、また別の少年達の夢にも・・・。
「おやすみなさいです」
「はい、修羅君おやすみ」
僕は用意された自室に行く。
しかし、ここは僕の家じゃない。
この家は少し古いが、2階建ての一戸建てで、門の前の表札には、【竜宮】という文字が刻まれている。
ここは、竜宮君の家なんだ。
何故僕がここにいるかというと、僕は今ここに住んでいるから。
何故僕がここに住んでいるのかというと・・・。
僕は幼いころ・・・といっても小学生のころだけど、に両親を事故で失っているからだ。
自動車での事故、相手は飲酒運転だったらしいけど、その時の僕には飲酒運転の意味が分からなくて、何故事故が起こったのかしばらく理解できなかった。
ただ、父さんや母さんが戻ってこない事は分かってた。
そんな時、竜宮君の家族の人が身寄りのない僕を引き取ってくれた。
それから、竜宮君と僕は兄弟みたいに生活している。
竜宮君のお母さん、僕の義理のお母さんは、僕にも自室を用意してくれた。
僕はその部屋で寝たり、たまに勉強したりしている。
自室へ向かう階段を上る。
竜宮君はお風呂に入っているのか、歌声が下から響いていた。
見かけによらず結構上手い。
僕はクスクス笑いながら、階段を上りきって自室に入った。
自室で独りになると、急に父さんと母さんの顔が出てくるから怖い。
今の生活も悪くない、いや、むしろ楽しいのにな・・・。
血って怖いね、うん。
そんなことをボーッと考えながら、僕は自分の部屋の椅子に座って、椅子を回した。
猛烈な速度で回転する椅子、それに乗っていると・・・。
正直酔った。
うえ・・気持ち悪っっ!!
それからしばらくすると。
「母さんーもう寝るー」
下から竜宮君の声が聞こえた。
もうそんな時間か・・・、確かに時計は0:00くらいを指している。
僕は健康が第一だと思ってる、だからもう寝よう。
別に・・・勉強が嫌なわけじゃないんだからねっっ!!
いそいそと言い訳を探すようにベットに潜りこむ。
そして、僕はベットに入り、夢へと飛び出して行った。
「白雪・・・」
急に声が聞こえた。
「え?なに?」
あ、あれ?僕の声が聞こえない。
どうしたのこれ・・・?
声は女の子のようだ、おとなしめな感じの。
「あの・・これはなに?」
もう一度声を出してみた、だけど僕には自分の声が聞こえない。
でも、女の子の声は僕に聞こえている。
その子には僕の声が聞こえてるのかな?
そんな疑問を覚えていると、女の子がもう一度話し出した。
「貴方に・・・伝えます・・」
途切れ途切れの声。聞こえにくいけど、僕は耳をすました。
「貴方は・・癒者・・これから・・・始まる・・・争・・いを・・防ぐの・・が・・義務」
へ?どういうこと?
僕は相手に言葉が伝わっているのかが分からないので、首をかしげた。
すると女の子は、それが伝わったのかもう一度話し出した。
「癒者は・・・争いで・・傷ついた人・・の・・心身を・・・癒す・・人間・・・」
争い?争いってなにが起こるんだろう・・??
僕はますます分からなくなり、もう一度首をかしげた。
そういえばこの声は何処から聞こえているのだろう、周りに声の源となるはずの少女の姿はない。
っていうかこれ夢だよね。さっき寝てたし。
その時、僕の頭の中に一人の少年が出てきた。
「あ、もしかして君って林堂君の夢に出てきた子?」
思わず声を出す。
そういえば少し前、林堂君という最近できた友達から、夢に女の子が出てくるって言われたっけ?
自分の声が聞こえない場所で女の子に話しかけられるって。
今まさに僕の状態じゃん。
すると、女の子は僕の声が聞こえていないのか、勝手に話を続けた。
「貴方・・・に・・頼みが・・・。楽斗・・の・・腕輪を・・・癒して」
腕輪・・・。
そうだ、あの時変なリストバンドを見せてもらったんだ。
いろいろあってうやむやになってたけど、林堂君も腕輪とか言ってたような・・・気がする。
「わかった、いや、よくわかんないけど・・・いいよ、やってみる」
あれ?僕なんでやってみるなんて言ったんだろう・・・。
それだけ、女の子の声には強制力があった。
僕が自分の発言を取り消そうとした瞬間、最後の声が響いた。
「よろしく・・・お願い・・し・・ます」
そして、朝が来る。
「・・・変な夢見ちゃったな」
僕はベットの上で身体を起こしながら呟いた。
「修羅君ーご飯ー」
下から竜宮君のお母さんの声が聞こえる。
気にしてもしょうがない、それとなく林堂君に聞いてみよう。
僕はそう思って、下に降りていった。
次回予告
14話 「Your duty~竜宮編~」




