プロローグ
「・・・・・楽斗・・」
暗闇の中自分を呼ぶ声がする。
「・・楽斗・・・聞こえてますか」
相手は見えない。
でも、透き通った少女の声だった。
「君は誰?」
僕は声に出して聞いた・・・つもりだった。
しかし僕の声はこの空間には響かない。
自分の声が聞こえない。
「楽斗・・・この世界には・・音・・がないのですよ」
なのに彼女の声は聞こえる。
音のない世界なのに、彼女の透き通った声は聞こえる。
彼女の声は・・この世界で響いていた。
「・・楽斗・よく聞いてください」
彼女の声がかわった。きっと顔が見えていれば真剣そうな顔をしているだろう。
「あなたの持っている・・腕輪・・・・それ・・を・なくさないで」
うでわ・・?あぁ母ちゃんに、何年か前の誕生日プレゼントで貰ったやつか。
「それはとっても大切なもの・・・絶対に」
?。そんなに大事なものなんだろうか?。普通のものにしか見えないけど。
僕の疑問を打ち消すように、最後に彼女は言った。
「私を忘れないで・・・楽斗」
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