序章 王家の恥
初短編です。さらっと読めます。
久しぶりの投稿。
諸事情で色々なバタバタが重なっておりました……処理能力とエネルギーがもっともっともっと欲しいものです。
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一部修正。
言い回しに加えて、平仮名を漢字に、あるいは漢字を平仮名に。
また。皆、みな、みんな、皆んな。どの字を使おうかを迷い一度「皆」で揃えようとも思ったのですが、やはり「みな」は「皆」そして「みんな」は「皆んな」(捨て仮名と呼ぶのでしょうか)の字を使う事にしました。
「この者の母は貴族ではなくてね、王家の恥なんだ」
兄は何の色も浮かべずに、第ニ側妃殿が常々言い聞かせているのであろう言葉を口にした。
それを聞いた、兄の遊び相手として王宮に招かれている貴族家の、ぼくより年上に見える子供が、目を蔑みの色に変えた。
「ルイも大変なんだね」
「本当。ルイ、そんなのと同じ血が半分も流れてるなんて可哀想」
口には皆一様に嘲りをのせている。
さすが子供、短慮だ。
だが、ぼくよりも年上なのだから、ぼくよりも考えが深くあって然るべきではないのか。
まず、王の実子である兄もぼくも、王である父に次ぐ地位なのだ。正妃たる后妃殿であれ、我が国では兄やぼくより一段低い地位となっている。
次に、これは誰にでも分かるだろうが、兄やぼくは王族で、彼らは貴族だ。仮にぼくが卑しい身とされ王籍に名を連ねていないとしても、兄は王を父に、侯爵家出身の側妃殿を母に持つ、血筋の明らかな第三王子なのだ。兄直々に許しがあったとしても、人前で呼び捨てにするなどあってはならない。
また、「こんなのと同じ血が流れている」とは兄を通り越し王家に対する不敬にあたる。
兄やぼくが「王家の者」である根拠は王たる父の血ゆえである。自分達が貴族としてあるのも「貴族家当主の子」であるがゆえだというのに、何を考えているのか。
まあもっとも、彼らがぼくを「卑しい者」と即断した事から見て「教育」は受けていなかったのだろう。その事からも王家が「外した」家なのだと分かる。
ああ、そう。
母が「貴族ではなく」ぼくの存在が結果として「王家の恥」である点は事実といえよう。だが王宮に招かれたというのに失態を犯した彼らの判断と事実は異なる。
ぼくの母は神女、即ち神の娘であり神籍にある人ならざる存在、国王よりも尊き存在だ。
そして王家の恥とは即ち、神女から男女の情けを賜った事、そしてぼくを授かった事で当代の王家の繁栄が確定した事を指す。
第二側妃殿は信仰心が篤く、だからといって神に縋らず、神に誇れる己であろうとする精神の人物だ。
であるから、神の恩恵に与り繁栄が約束された事を、王への情けと合わせても、己らの努力だけではあまりに足りないと判断されたがゆえである、と常々嘆いているのだ。
まあ、兄もそこは分かっていてのあの発言だ。あとでどうせ今回の発言と態度を理由に彼らの家の調査を加速させる気だろう。
王宮にある者はただでさえ忠誠心が厚い。十数代前には問題のある王もいたが、ぼくの父であるところの王やさらにその父王、さらにその先代と、国の操縦が巧み且つ真っ当な王がここ何代か続いているからだ。
それに加え、神に連なるぼくという存在は家臣からも王族の皆からも求心力が、ね。我が事ながらため息をつく日もあるほど。
もっとも、その理由の一端はぼくが神に連なる身であるが故に王位にはつかないと確定している事、にあるのだろうけど、それをぼくは「悪くない」と感じてる。
ぼくを王に据え神の力を取り込むのではなく、己の足で立とうとするとは中々に立派ではないか。
だから、ぼくは「あくまで王族として」この国を見守っていこうと思っている。
まあ、少々寿命は長いだろうから、兄上達の子孫の最後も看取ることになるだろうけど、自分の家族が愛してやまないであろう存在を見守る役割をこなせるんだ、素晴らしいよね。
だってね、ぼくの周りの人々は国のために繋がったというのに、皆んな本当に愛情深いんだ。
だからね、ぼくは神に連なる身であって神ではないけど、もらった愛情を命尽きるまでしっかり返していきたいと思ってるんだよ。
だから。
まずは、兄と王家に不敬なこのお貴族殿らにはきちんと分からせないとね。
本作が読者の皆さんにとって楽しいものであったなら嬉しく思います。
最後までお読みいただきありがとうございました!
もし良ければこの短編から更に話を広げた連載版( https://ncode.syosetu.com/n3021jv/ )も楽しんでいただけたならと思います。
※連載版は本作をベースに展開した話となり、第一話が短編と同文である、といった形ではないのでご注意ください。
よろしくお願いします!