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妄想異世界短編集

四聖獣 1300年頃

作者: 王烈夏

四つの方角にそれぞれ聖獣を対応させる習慣がある。

これは、とある宗教から始まり、四聖獣と呼ばれている。


四聖獣の前は三聖と呼ばれるものが有名だった。

天竜、海竜、山亀。

誰もが知る超常の生き物。

赤、青、緑が象徴する色として用いられる。

他に並び立つ生き物はいなかった。


天竜は、青黒い身体で、四本の腕、二つの足、四枚の翼を持ち空を飛ぶ生き物。

身体の色ではなく、瞳の色から象徴する色が赤になっている。

頻繁に飛んでいるのか、個体数が多いのか、空を見上げるとよく見かける。

見つけた時は祈る人が多い。


海竜は、青み掛かった銀色の長い身体で、手足の代わりにヒレを持ち、海に住まう生き物。

見かける事は希だが、他の生き物ではあり得ない歯形を付けた鯨や船が見つかることから恐れられている。

海が荒れるのは海竜の怒りだと思われているが、古代からの言い伝えでは、若い娘を生け贄に捧げた村に

「不味いから二度とするな!」

と返しに来たとあり、海の守り神とされている。


山亀は、山そのものであり動かなければ分からない。

千年周期で目覚めて移動すると記録されており、五百年前の移動では国を跨いだ移動であった事が分かっている。


上から見ると四角形の都市の外壁に、守り神として像を置きたいと考えた時、四隅に配置したいが、三聖だと一つたりない。残り一つで論争が起きた。

並び立つ生き物はおらず、一つだけ神様の像では不釣り合いになってしまう。


当時の教皇は、「猫様を」と推薦したが受け入れられなかった。

結局、獣使いが間に入り、候補の生き物が競いあって勝者を決める事になった。

勝った種族は教会の庇護下で安穏に暮らせることになるため、自薦する生き物も多かった。

競う種目は、妨害有りの競争。街の防壁の間を往復する距離と決まった。

朱雀が優勝候補、次は一角獣、猫は予選敗退。

賭けは大盛り上がりだったが、結果は白虎で番狂わせとなった。

朱雀の最高速度は高空からの滑空が必要で、勝つためには距離が足りなかった。

一角獣は白虎の威嚇に怯えてしまい前に出られなかった。


「虎も猫の仲間だよね。なら像は私の猫様の写しにしよう。」

教皇は推したが、通らなかった。


この時の話が講話の一節になり、似た話で本題を逸らそうとする行為を戒める諺

『虎は虎、猫は猫』

として信者に広がった。

この宗教の信者は詐欺などに騙される事が少なく、行商で成功した者が多いため、この諺も広く世に知られることとなった。

「朱雀、青龍、白虎、玄武」と繋げて言った時の言葉の響きが好きです。

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