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ボーイ・ミーツ・ボーイ  作者: ピリカピリララ
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十一話 決意と涙


 ゴールデンウィークが終わり、学校には名残惜しさとともに緊張感が漂っている。


 五月中旬にはあれが待ち構えている。高校生がさけては通れない関門。そして世の高校世が挫折する最大の難所。後にも先にも死体しか残らない。まさに死屍累々。




 もったいぶらずに発表しよう。定期テストだ。




 高校では定期考査ともいう。僕ら一年生は高校で最初のテストである一学期中間考査を受けることになる。中間考査までおよそ二週間。それと同時に部活も休止期間が設けられる。


 入部早々、部活が十分にできないってのはすこしもどかしい。しかも部室で放課後にお茶ってのは学校に来る楽しみにもなっていた。ぜひとも毎日していきたい。


 しかし、勉学は高校生の本分。正直なところ、やりたくないがそこは割り切ってやるしかないのか…。



 こうして勉強に消極的な僕だが、テストを受けるにあたって目標はある。学年順位で言えば中の上か、上の下を目指していきたい。大分ざっくりとした目標だがこれでいいのだ。


 波風立たない学校生活を送るにあたって目立ちすぎてはいけない。それはもちろん勉強でもだ。学年のトップ集団でもいけないし、最下位争いをするほどの順位でもいけない。まあ、学年の上位に食い込もうっていうのはそんじょそこらの努力では到底成し遂げられないから今から僕が頑張ったところでなのだが。


 しかし成績は悪すぎると、のちのち厄介だ。進級ができなかったり、大学受験をしようとした場合に選択の幅が極端に狭くなってしまう。そこそこの成績は必要なのだ。


 もっともこの丘の上高校は順位を公表しない。というのも、生徒一人ひとりに成績結果とともに順位が記された個票が渡されるため、順位を知るのは己のみとなるのである。順位が張り出されるあれ、憧れていたんだがな。アニメの見すぎか、はたまた時代が時代なのか。


 したがって陰で努力して学年一番をとろうが、他人に漏れなければ波風立つことはないのだ。だけどね、そんなに頑張りたくないの、分かるでしょ。だから中の上か上の下なのだ。中の上か上の下を目指して、勉強頑張るぞー。


 


 そんなしょぼい決意表明をしていると、なぜか余裕の表情をした坊主頭の男が話しかけてきた。



「おうおう!小難しい顔してどうしたんだ〜、誠士郎。クラスのやつらもみんないつもと違う感じだし。なにかあったのか?」



 そう、我が友人打田寅吉である。こいつは悩みなんてなさそうでいいな。というか自信に満ちあふれているかのような印象さえ受ける。



「お前はまた元気なやつだな。なんか良いことでもあったか?坊主頭がいつもより一層輝いて見えるぞ。」


「おっ、わかっちゃった?わかっちゃった?実はこの坊主頭に磨きがかかってるんだよ。なんせ褒められちゃったからな。」


「そんな変わり者どこにいるんだよ。」


「そうそう、ほんとどこにいるんだって感じ、じゃなくて!!!なんで俺を褒めるやつがいないみたいに言うんだよ!」


「いるのか?」


「いるよ!なんでそんなにナチュラルに聞けるんだよ。」


「冗談だよ、それでだれに褒められたんだよ。」


「聞いて驚くなよ。三年の橘先輩だよ。どうだ、驚いたか!」


「だれ?」


「お前知らないのか?野球部の女子マネジャーにしてマネジャー長の橘かおる先輩。マネージャーの仕事をそつなくこなし、その姿はまさに必殺仕事人。それでもお茶目なところもあって男子からの人気はとても高いぞ。」


「へぇー。そんな人がタイガの事を褒めたんだー。」


「そうだ!すごいだろ!」


「たぶんお世辞だと思うよ。」


「ちょっとは尊敬しろよ!あとお世辞とか言うな。」


「具体的になにを褒められたんだ?」


「だから、それがこの坊主頭ってことよ。この頭をみて、可愛くて素敵ね、って言われたんだからな。もうこの頭に磨きをかけるしかないってことよ。雰囲気も悪くなかったし。上手くいったら付き合えるかも!」

 



 実に単純なやつだ。その程度で浮かれるなんてほんとに羨ましいよ。




「まあ部活に恋愛に、それぞれ頑張るのはいんだけどさ。ほどほどにしとけよ。勉強もしなきゃだろうしさ。」


「何いってんだ?勉強なんかより部活と恋愛だろ。今日も部活は全力でやるぞ。」


「何いってんだって、今日から部活休止期間だろ?ほら、二週間後には中間テスト始まってるぞ。」


「そうなのか?まあそんなのはいい。テストより野球だ。俺は入部したばっかだったから今回の春季大会には出れなかったけど、夏の大会には絶対出るぞ!今回は三回戦で負けて、三年生は超悔しそうだったからな。俺が丘の上高校野球部の新星としてチームを勢いづかせるんだ!」




 聞くところによると、このゴールデンウィーク中、野球部は開催されていた春季大会に参加していたらしい。タイガはサポートという立場だったが先輩たちの勇姿に胸を打たれ、チームの敗北に涙を滲ませたようだ。今はやる気が漲っており、部活がなくても自主練に精を出すとのことだ。


 それにしてもテストをないがしろにするのはどうかと思うが…。まあ目指すところは人それぞれだしな。本人がいいならこれ以上言うまい。




■■■



 一週間と少しが経った。僕は人並みにはテスト勉強をし、中間テストの準備はまずまず。三日後に控えたテストもどうにかなるだろう。


 

 そう思っていた矢先だった。


「ぜいじろうぅ…。べんぎょう、おじえてぐでぇぇーーー。」


 

 タイガに泣きつかれた。



報告です。近々本職が忙しくなるので不定期投稿になるかもしれません。そのときはまた連絡をします。申し訳ありません。

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