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01 命の重み

お待たせ、待った?

第二節です。




「つまり、ソラシドさんの昔のゲーム仲間を集めるっていうことですね?」



 地獄の一夜を超えて、朝になって、ソラシドとツルギはひとつの答えを出した。このゲームを攻略する上で重要になる答え。


 『仲間を集めて、人数の力で夜を越えよう』


 マンパワーというやつだ。人が沢山いれば物がたくさん集まる。物がたくさん集まれば蓄えになる。蓄えがたくさんあればあの夜だってあるいは超えられるかもしれない。



「だから俺は今からログアウトして、招集をかけてみるドーンと期待してくれよ」



 ソラシドは胸を張って叩いて見せた。そうしてウィンドウパネルからこの世界の外へと出ようと赤いログアウトのスイッチを押そうとする。



「あっちょっと待ってください!ソラシドさん!」


「ん?どうした?」



 一旦待ったをかけるツルギ。曰く、ソラシドが行ってしまう前に一つ見せたいものがあるという。

 「わかった」と一つ返事をすると、島の地下室へと手招いた。









ーーーーー

「【スキル】を習得しよう!」



島の心臓に触れてみてください。

ある条件を達成するたびに【スキル】を一つ習得することができます。

【スキル】にはレア度が存在し、上からそれぞれ、『UR→SR→R→N』の順番となっています。


ーーーーー




 島の心臓の前に、佇む少年少女はソラシドとツルギ。指南書を開き、鼓動が鳴る青白い光を目にする。



「ふーん。スキルの概念があるのか」

「はい!ソラシドさん」



ーーーーーー

【スキル】

マスターが持つ技能。効果を発揮し、戦闘行為や生活基盤の確保の助けになる。


尚、習得スキルは死亡するとリセットされてしまうので注意

ーーーーーー



 スキル。他のゲーム作品にもよくある通り常時発揮されている特殊能力。戦闘RPGといえばコレ、というおなじみの概念だ。



「それでですね、私あの夜の後、スキルの習得条件を達成したって、アナウンスされたんです」


「お?マジ?どんな条件?」


「えっと『習得条件:スポーン時から夜間に一度も死亡することなく朝を迎える』だそうです」


「おお!!」



 ソラシドは思わず喜びを表に出した。そうか、あの夜ツルギを庇ったのは存外無駄じゃなかったのか!と。確かにそういう予想はしていたが、本当に形になるとは思わなんだ。



「よしわかった、習得してみよう!」

「はい!」










[────スキルを習得できます (注:死亡した場合スキルを失います)]


「ちょっとまて不穏すぎる」



 ツルギが島の心臓に手を当てて、いざスキル習得をしようとした瞬間、機械音声がそう解説した。不穏すぎる注釈。ソラシドはこの注釈文とともにこのゲームのデスペナルティの重さを完全に理解した。



「このゲームアレだ。生き残れば生き残るほど死んだ時の喪失感がハンパなくなるやつだ」


「それってやばいんですか?」


「強いメンタルを持てとしか……」


「ひぇ」



  死んだらリセット。なにもかも。必死に積み上げたものも、一つのミスでジェンガのように瓦解する。



「じゃ、じゃあ、今スキル習得するのはやめておきますか?」

「いや、このゲームのことだ、おそらく死んだらどうせ習得条件ごと達成前にリセットされる」



 検証はしていないがそんな気がした。スキル習得を然るべきタイミングまで貯めておくなんて余裕のある行為、このゲームが許してくれるとは思えない。



「なら出し惜しみする必要はない。スキルを習得して損ないんじゃないか?」



 と、ここまで言って、あとは本人に委ねる。



「選択権はツルギにある。これは他の誰でもないお前のゲームだからね」


「わかりました、じゃあ習得してみます!」



 島の心臓とツルギの心臓が同期する。











[────マスター、スキルを習得します。よろしいですか]


 島は、一心同体の宿主であるツルギに話しかけてきた。ツルギはもうゲームの世界観にのめり込んでしまってるのか、順応したように目を閉じ、ゆっくりと頷くのだ。


「お願いします」


 まず最初に、胸から伸びる青い光の一閃は、その輝きを増し、流動を始めた。

 それと同時にテキストが表示される。



[『習得条件:スポーン時から夜間に一度も死亡することなく朝を迎える』習得可能スキルを選出中……]



「ん?」



 これが妙にひっかかる。ソラシドは文章をよく読んで噛み砕く。この言い方はまるで、その条件に対して対応するスキルが複数存在するかのような……



[────該当スキル検索終了。スキルの排出はランダムです]


「おいまさか!」



 島の心臓から発生するエネルギー、管から水が注がれるように、ツルギの身体に流れ込む。当の本人は夢見心地、横で見てるソラシドは戦慄する。



「スキルガチャじゃねえか!!?」



ーーーーー

【スキル】にはレア度が存在し、上からそれぞれ、『UR→SR→R→N』の順番となっています。

ーーーーー



 先程指南書に記された一文から抜粋。つまり、そう。仮に同じ条件達成をしたとして、それが強いか弱いかは習得時の運次第!なんというクソ要素。


 血管をなぞるように、紋様が浮かび上がる。浮かび上がった紋様は、そのまま体から離れて空中に絵を描いた。かと、思えば、渦を巻いて再び胸の中に仕舞われる。大きな心音を一回、二回、三回鳴らして。



 ……ツルギは目を開いた。



ーーーーー

スキル習得結果

ーーーーー

  ⋮

  ⋮

【生存維持】

レアリティ:UR

ーーーーー




「やったー!UR引きました!」

「うおおおおっ!!やりおるぅ!!」



 ツルギ、あまりにも豪運であった。




◆◆◆◆




「と、言うわけで、俺は一旦ログアウトする。お前、くれぐれも死ぬなよ?URスキルの命は重いぜ」

「はい!ガッテン承知!!」

「不安だ……」



 さて、スキル習得がひと段落したところで、仲間集めの話に戻るとする。ソラシドが行うそれはリアルを挟んだ行動なので【-SKY-】から一時離脱。逆にツルギはここに滞在し続ける。



「一応、ログアウトから最大30分間は睡眠状態になってこの場に留まるらしい。それを超える身体が一時消滅して安全になる」


「それじゃあ、逆に30分間は無防備ってことなんですね?」


「そう、まあ30分も離脱しない。その間ちょっと見張っててくれよ」


「了解しました!お待ちしてます!」



 そうしてソラシドはログアウトボタンを押すと、アバターがその場で居眠りを始めるのだった。

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