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10 おはようはデスペナルティと共に




ーーーーー

【擬似孤島型永久重力戦艦-SKY(エスケーワイ)-】へようこそ


ここは島の地下室です。まずはハシゴから登って外の状況を確認しましょう

ーーーーー

 


「ハロー、夜明けの空よ」



 ソラシドは壁をつたい、ハシゴを登る。







 夜が明ける。朝が来る。先程まで島に溢れかえっていたゴブリンたちは姿を消し、代わりに生い茂る緑が照らされる。

 そんな場所にポツンと1人、ソラシドである。



「6デスかぁ」



 ソラシドは最後死んだ。死因は落下による自殺。最初の夜は痛み分けに終わった。

 

 昨日あれだけ頑張って広げた土地 (3敗)も、リスポーンと共に完全に元通り。ちっちゃな島から再スタート。

 胸からは、前と同じように青白い光が島の中枢へと伸びている。



「ソラシドさーーん!!」



 向こうから声がした。遠くの空から、やや大きな浮島がこちらに向かって飛んできているのが見える。その浮島本体からも青い光が伸びていて、こちらの島と繋がっているようだった。

 ソラシドは島の所有者である声の正体もわかった。ついさっきフレンドとなったそのプレイヤー。



「おはよう。ツルギ。昨夜は生き残ったか?」



 ツルギである。彼女はソラシドの島に降り立つと、すぐさま駆け抜けて寄ってきた。

 ────そして。



「ソラシドさんっ!!」

「おっふっ!?近えって!?抱きつくなよお前っ!?」



 力一杯両手でハグをしてきた。

 ツルギはソラシドの胸に顔をうずめて、なんと泣きじゃくっていた。



「うわーーん!!じんばいじだんですよぉぉ!!」


「うわあ!!ガキじゃあるまいしやめろーっ!!」



 ソラシドはツルギを腕で押し返して、距離を取った。彼女は少し行き過ぎたことを自覚してか、一つ謝って涙を拭く。



「お前大袈裟だぜ。ゲームでの死はそんなに重くないぞ」


「すみません。でもなんか、悲しくなっちゃって。私ピュアなんです」


「ピュアって自分で言うのか……いやまあ直情的なのは間違いなさそうだけど」


「なにより再会できてよかったです!」





◆◆◆◆




 ソラシドとツルギは、緑の芝に座り込んで、天空を見上げた。天気は晴れ。"朝の心地よい風"が肌に優しく触れる。ゲームなのにまあよくできたものである。



「まず昨夜の話だが、俺は死んだ。けど俺たちは勝った」


「はい!しっかり生き残りましたよ!私たちの勝ちです!」



 つい先程の夜の状況。あの恐ろしいゴブリン軍団についての感想を語り合う。絵面だけならまさに戦友という二文字がふさわしい。

 だが状況はあまりいいとはいえなかった。手を組んだとはいえ、問題は山積み。



「ひとまず天晴れと祝いたいところだが、はやく次の夜に備えないとな」


「イェッサー!リーダー!」


「先んずは食糧確保が先決だ。夜を迎える前に死んじまったら笑いもんだ」



 このゲームには空腹という概念が存在する。おろそかにすればそのまま餓死。ゲームオーバーだ。



「リンゴを探しましょう!」

「なんでもいい。リンゴ以外でも空腹満たせればなんでも」



 肉でも野菜でも。ソラシドは確信している。きっとこのゲームはコミックみたいなでっかい骨つき肉にかぶりつけるのだと。そしてそれがリンゴよりも遥かに回復力を持っていることを。



「ソラシドさんソラシドさん!他には何か問題あります?私、頑張って解決をお手伝いします!」



 ツルギがぴょんぴょん跳ねながら聞いてきた。やたら懐いている。見た目は普通に成長した女性なのに、まるで子供のようだ。手伝いをしたいと息巻くのも微笑ましく思えるだろう。

 そこでソラシドは一つ、問いを投げる。



「ツルギ、このゲームで重要なことはなんだと思う」



 重要なこと、と聞いて首を傾げる。ピンといていないようだ。



「重要、重要、うーん、なんかこう、頑張ることですね!」

「2点」

「やったぁ!」

「100点満点中」

「そんなぁ」



 ソラシドは肩をすくめながら答えを言ってみせた。



「即戦力だ。いかに夜を凌げるか、それにかかってる」

「つまり……」

「つまり俺たちは、人を集めればいいってわけ。人数の力でこの状況を覆すのが攻略の鍵だね」

「はわっ!」



 うんうん、とソラシドは自分で導いた理論構築に自分で納得していた。

 その横で少女はぱーーっと満面の笑みで返す。これぞ冒険。心震わす響き。



「仲間ですね!!」

「そういうこと。『健全で、文化的で、最低限の衣食住を安全かつ満足に行える環境づくり』には、仲間の力が必要不可欠!」



 正解、100点を上げようと人差し指をさす。ツルギは嬉しそうにしている。

 それは期待感、ワクワク感に溢れていて、ソラシドが同調してしまうくらい。



「ツルギ、これからもっと、面白くなるぜ!!」

「はい!!」



 ────広くも、狭い、電脳の空。朝の光が2人を照らし、未来の話で笑い合う。

 それを形容するなら"友情"で、目の前にいるのは友人で。


 文の月、三十日、空の二つの島の下、少年少女は出会い語らう。





◆◆◆◆




「ところでソラシドさん、仲間ってどうやって探すんですか?」



 ツルギは周囲を見回す。



「こんな広大な空じゃ、人に出会える確率って結構低い気がするんですよ」



 確かにそうだった。現にこの2人が出会ったのも偶然でしかなく。そんなに都合よく3人、4人と人に遭遇するとも限らない。

 人員を集めようにも周りに人がいなければ成立しない話だった。

 だがしかし、余裕そうな顔をしているその男、ソラシドである。



「野良の奴と出会って仲間になるのは難しい……じゃあ簡単な話、元から話がわかる奴と双方で会いに行けばいい」

「元から話がわかる奴……?」



 はてさて誰のことを指しているか、ツルギにはわからなかった。



「曰く、最終決戦において最もダメージを出した人物は彼ではない……」

「……さいしゅう?」



 戸惑う彼女を無視して、少年は続ける。



「曰く、攻撃を一点に抑え込んで後続を導いたのも彼ではない……」



 彼が思い浮かべる景色はそう。今はもう見れない亡き彼の地での思い出だった。



「しかし彼はそれをおこなったプレイヤーたちを率いていた」



 そこではあるプレイヤーの名が、燦然と輝き、大いなる実績を打ち立て続けた。


 MMORPG【オリジンアーツ-online-】にて。討伐モンスター総数:52億6552万3739体。世界ランキング1位。


 プレイヤーランクはカンスト。これは世界で12人のみ。その中でも世界4位、日本1位のスピードで到達。


 無限ダンジョンイベントでは1万5288エリアを踏破しこの記録が破られたことはない。


 最高難易度と名高いレイドダンジョン【月蝕】唯一のソロ制覇者。


 ラストダンジョン【未来の永劫を願い】を踏破した。


 倉庫の中に眠る、サーバーの中には彼の輝かしい栄光があった。

 名実ともに世界最強と言っていい、そのプレイヤーの名は────。



「その名は"ソラシド"。【かつて伝説を率いた英雄】という異名は、飾りじゃないぜ」



 名乗り、誇り、即ち、勝利宣言。



「────ここに伝説をもう一度集結させる。それが、このゲームを完全攻略する方法だ」









ーーーーーー

廃人ゲーマーズ(7)

ーーーーーー


英雄<オリオン終わって1週間経つけど、なにやってる?



狂戦士<【私立魔王学院高校モンスターズ・ハイスクール


竜騎士< マンドラゴラを栽培して地球侵略するゲームを始めました


聖女<教えない

狙撃手<俺氏も故郷に帰りましたwwwwww

魔術師<やっぱMOBAかなー

軍師<【インセクトコロニー】あとカードゲーム


狂戦士<@英雄 そういうお前はなにしてん?



英雄<【-SKY-】

ーーーーー



第一節、終了です。次回から本格的にメンバー集めが始まります。


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